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第52話 見合いを嫌がる男
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「ゴホンッ!それではデニム様は明後日のお見合いを受けたくはない、と言う事ですね」
私がフェリシアだとばれる前にさっさと退散した方が良さそうだ。適当にデニムの話を聞いて、適当に答えよう。
「ああ…しかもどうやら相手のブレンダ・マーチンはどうやら俺の事が気に入ってししまったらしいのだ」
デニムは腕組みすると唸るように言う。うん?何だって?
「ブレンダ様に気に入られた…とは?」
「ああ、俺達の身上書を交換した時ブレンダ嬢が俺の写真を見て気に入られてしまったようなのだ。ほら、俺はこの通り顔がいいからな?」
前髪をかきあげながら偉そうに言うデニム。このナルシスト男め、言っておくが顔しか取り柄の無い男は私にしてみれば少しも魅力を感じない。私だって本当はこんな男と結婚したくは無かったのだが、父に泣きつかれてやむなくコネリー家へ嫁いできたのだ。第一、目の前のクズ男…最初は見合い相手に私ではなく、年若いマリーを所望していたのだから。だがマリーにはトマスという恋人がいた。そこで当時恋人もいなかった私が嫁いできたのである。
「作用でございますか。けれど身上書を交換して顔写真も見られたのであれば、事前にブレンダ様のお顔をご存知だったのですよね?何故こんなギリギリまでお見合いの話を引き伸ばしたのですか?」
大体明後日が見合いだと言うのに、この馬鹿デニムは断れると思っているのだろうか?
「写真詐欺だったのだ…」
突如デニムがボソリと言った。
「へ?」
「あの女…別人の女の写真を身上書と一緒に送りつけてきた。つまり…あいつは嘘をついたんだよ!何って最低な女だ!偽りの写真を送ってくるなんて!」
デニムは突然憤慨し始めた。しかし、見合い相手を責める資格が自分にあると思っているのだろうか?この男は私と離婚してもいないのに、堂々と見合いをしているのだから!
「くっそ~…!何っで俺があんなブスデブ女と見合いしなくてはならないのだ?同じ空気すら吸いたくないと言うのに…」
同じ空気すら吸いたくない…。
目の前の阿呆デニムは私と同様の事を考えているらしく、少なからずその事でショックを受けてしまった。ひょっとするとこの男は私とどこか似たような思考回路を持っていたのだろうか?
「デニム様。何故身上書の写真が偽物だと分かったのですか?」
「今から2時間ほど前の事だ。今頃母が本物のブレンダの写真を持ってきたのだ。数日前に、本物のブレンダ嬢の写真が届けられたと言って」
「え?そうなのですか?」
それなら何故義母はもっと早くデニムに写真を見せなかったのだろう?
「くっそー!母は俺がこの写真を見たら見合いを断るんじゃないかと危惧し、あえて俺にギリギリまで隠していたんだ!」
面食いデニムは悔しそうに言う。
「へえ~…そうなんですかっ!」
義母もなかなかやるな。余程デニムの見合いを成功させたいのだろう。だが…これはある意味最大級の嫌がらせをすることが出来るかもしれない。
「駄目だ!やはりお前に相談しているうちに絶対に見合いをしたくなくなってきた!おい、メイッ!何とか見合いをしないですむ方法を考えてくれないかっ?!頼むっ!あんなブスデブ女と仮に結婚しなくてはならなくなったとしたら俺の人生一巻の終わりだ!」
とうとうクズデニムは私に泣きついてくるのだった―。
私がフェリシアだとばれる前にさっさと退散した方が良さそうだ。適当にデニムの話を聞いて、適当に答えよう。
「ああ…しかもどうやら相手のブレンダ・マーチンはどうやら俺の事が気に入ってししまったらしいのだ」
デニムは腕組みすると唸るように言う。うん?何だって?
「ブレンダ様に気に入られた…とは?」
「ああ、俺達の身上書を交換した時ブレンダ嬢が俺の写真を見て気に入られてしまったようなのだ。ほら、俺はこの通り顔がいいからな?」
前髪をかきあげながら偉そうに言うデニム。このナルシスト男め、言っておくが顔しか取り柄の無い男は私にしてみれば少しも魅力を感じない。私だって本当はこんな男と結婚したくは無かったのだが、父に泣きつかれてやむなくコネリー家へ嫁いできたのだ。第一、目の前のクズ男…最初は見合い相手に私ではなく、年若いマリーを所望していたのだから。だがマリーにはトマスという恋人がいた。そこで当時恋人もいなかった私が嫁いできたのである。
「作用でございますか。けれど身上書を交換して顔写真も見られたのであれば、事前にブレンダ様のお顔をご存知だったのですよね?何故こんなギリギリまでお見合いの話を引き伸ばしたのですか?」
大体明後日が見合いだと言うのに、この馬鹿デニムは断れると思っているのだろうか?
「写真詐欺だったのだ…」
突如デニムがボソリと言った。
「へ?」
「あの女…別人の女の写真を身上書と一緒に送りつけてきた。つまり…あいつは嘘をついたんだよ!何って最低な女だ!偽りの写真を送ってくるなんて!」
デニムは突然憤慨し始めた。しかし、見合い相手を責める資格が自分にあると思っているのだろうか?この男は私と離婚してもいないのに、堂々と見合いをしているのだから!
「くっそ~…!何っで俺があんなブスデブ女と見合いしなくてはならないのだ?同じ空気すら吸いたくないと言うのに…」
同じ空気すら吸いたくない…。
目の前の阿呆デニムは私と同様の事を考えているらしく、少なからずその事でショックを受けてしまった。ひょっとするとこの男は私とどこか似たような思考回路を持っていたのだろうか?
「デニム様。何故身上書の写真が偽物だと分かったのですか?」
「今から2時間ほど前の事だ。今頃母が本物のブレンダの写真を持ってきたのだ。数日前に、本物のブレンダ嬢の写真が届けられたと言って」
「え?そうなのですか?」
それなら何故義母はもっと早くデニムに写真を見せなかったのだろう?
「くっそー!母は俺がこの写真を見たら見合いを断るんじゃないかと危惧し、あえて俺にギリギリまで隠していたんだ!」
面食いデニムは悔しそうに言う。
「へえ~…そうなんですかっ!」
義母もなかなかやるな。余程デニムの見合いを成功させたいのだろう。だが…これはある意味最大級の嫌がらせをすることが出来るかもしれない。
「駄目だ!やはりお前に相談しているうちに絶対に見合いをしたくなくなってきた!おい、メイッ!何とか見合いをしないですむ方法を考えてくれないかっ?!頼むっ!あんなブスデブ女と仮に結婚しなくてはならなくなったとしたら俺の人生一巻の終わりだ!」
とうとうクズデニムは私に泣きついてくるのだった―。
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