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第26話 興奮が止まらない
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中へ入ると『太陽の部屋』は酷いことになっていた。私達は観葉植物の影に隠れながらこっそりと彼らの様子を伺っていた。何故私達が隠れるように彼らのド修羅場を見学しているか…それには私にある確信があったからだ。
「おい!お前達正気なのかっ?!カジノ場以外で金銭を掛けてカードゲームなど犯罪だぞっ!!」
クラウス伯爵は顔を真っ赤にさせてデニムとマリア嬢を叱責している。
「マリア!貴女、この男に騙されたのよね?そうよね?そうに決まっているのよね?!お願い、そうだと言って頂戴っ!!」
エリザベート様は娘に膝にすがりついて泣き崩れている。
「デニム様っ!一体どういう事なのですかっ?!昨日も2人の女性とお見合いしたそうじゃないですか!私を騙したのですかっ?!」
ジェニー嬢はデニムに掴みかかっている。
「お嬢様!落ち着いて下さい!」
侍女の少女は慌てている。
「ち、違うわっ!!わ、私は賭け事なんかしたくないって言うのにデニム様に無理やり勧められたのよ!!お、お酒だってそうよ!!」
「何を言うんだ?!マリア嬢!!君から先に金銭を掛けようと言ってきたのだろう?!お酒だって勝手に飲み始めたくせに!!」
何と!この場に及んでこの2人、互いの罪をなすりつけあっている。全く似た者同士である。だがこの際、どちらが嘘をついているかなど今となっては問題ではない。
金銭を掛けた賭け事していた事実は覆せないのだから。
しかし大変なド修羅場状態だ。6人は入り乱れて互いに口汚く罵り合って、もう私達の手が出せる範疇を超えている。
「フレディ」
その騒ぎの中、私は背後に控えているデニムのフットマンを務めているフレディに冷静に声を掛けた。
「はい、奥様」
「ちゃんと写真撮影している?」
「ええ、勿論でございます。修羅場の様子から、テーブルに乗っているカードの山に金銭…バッチリ撮影しています」
フレディはパシャパシャと写真を取りながら、笑顔で声を弾ませている。
「そう?ばれないようにしっかり撮影していてね?」
「はい、かしこまりました」
そして次に私は背後にいる使用人たちに声を掛ける。
「いい?皆。今の日時と状況を良く観察して覚えておいてね?後に重要証言になる可能性があるから。彼らの会話も各々良く書き取っておくように」
『はい!』
それぞれの役目を持った使用人たちは一斉に頷く。うん、本当に頼もしい仲間たちだ。そしてその修羅場は私の思惑通り徐々に収束へと向かっていく。
「し、しかし…この状況…我々が口を閉ざしてれば済む話ではないか?」
クラウス伯爵が言った。やはりそうきたか!
「え、ええ…そうですわね。確かに私達さえ黙っていれば…」
婦人も納得したかのように頷いた。
そしてクラウス伯爵はすっかり怯えて震えているデニムとマリア嬢に言い聞かさせた。
「いいか?ここでは何も行われなかった。ただお前達2人は見合いをしていただけだ。分かったな?」
デニムとマリア嬢はコクコクと激しく頷く。
やはり彼らは今回の掛け賭博の件を自分たちの中で封印する気だったのだ。しかし、こちらは既に証拠写真も取ったし、万一の為に彼らの会話の概要はメモを取らせて貰っている。
私は背後にいる皆にそっと言った。
「皆、彼らに気づかれないように今のうちにそっと部屋を出るわよ」
仲間達は無言でうなずく。そして私達は静かに、バレないように部屋を後にした。
部屋を出ると私は皆声を掛けた。
「皆、ご苦労さま。いつもの仕事場に戻っていいわ」
私の言葉に彼らはゾロゾロと引き返し、それぞれの持ち場へと帰って行った。私1人を残して。
フフフ…。状況証拠は全て揃った。デニムをはじめ、クラウス伯爵は自分たちの罪を隠蔽することにした。しかし、そうは問屋が卸さない。状況証拠は全て私達の手に握られているのだ。デニムを懲らしめるためには…申し訳ないがマリア嬢にも共倒れしてもらう。どのみち、2人は違法賭博をしていたのだから。
私は彼らが部屋から出てくるのを興奮で胸を踊らせながら待っていた―。
「おい!お前達正気なのかっ?!カジノ場以外で金銭を掛けてカードゲームなど犯罪だぞっ!!」
クラウス伯爵は顔を真っ赤にさせてデニムとマリア嬢を叱責している。
「マリア!貴女、この男に騙されたのよね?そうよね?そうに決まっているのよね?!お願い、そうだと言って頂戴っ!!」
エリザベート様は娘に膝にすがりついて泣き崩れている。
「デニム様っ!一体どういう事なのですかっ?!昨日も2人の女性とお見合いしたそうじゃないですか!私を騙したのですかっ?!」
ジェニー嬢はデニムに掴みかかっている。
「お嬢様!落ち着いて下さい!」
侍女の少女は慌てている。
「ち、違うわっ!!わ、私は賭け事なんかしたくないって言うのにデニム様に無理やり勧められたのよ!!お、お酒だってそうよ!!」
「何を言うんだ?!マリア嬢!!君から先に金銭を掛けようと言ってきたのだろう?!お酒だって勝手に飲み始めたくせに!!」
何と!この場に及んでこの2人、互いの罪をなすりつけあっている。全く似た者同士である。だがこの際、どちらが嘘をついているかなど今となっては問題ではない。
金銭を掛けた賭け事していた事実は覆せないのだから。
しかし大変なド修羅場状態だ。6人は入り乱れて互いに口汚く罵り合って、もう私達の手が出せる範疇を超えている。
「フレディ」
その騒ぎの中、私は背後に控えているデニムのフットマンを務めているフレディに冷静に声を掛けた。
「はい、奥様」
「ちゃんと写真撮影している?」
「ええ、勿論でございます。修羅場の様子から、テーブルに乗っているカードの山に金銭…バッチリ撮影しています」
フレディはパシャパシャと写真を取りながら、笑顔で声を弾ませている。
「そう?ばれないようにしっかり撮影していてね?」
「はい、かしこまりました」
そして次に私は背後にいる使用人たちに声を掛ける。
「いい?皆。今の日時と状況を良く観察して覚えておいてね?後に重要証言になる可能性があるから。彼らの会話も各々良く書き取っておくように」
『はい!』
それぞれの役目を持った使用人たちは一斉に頷く。うん、本当に頼もしい仲間たちだ。そしてその修羅場は私の思惑通り徐々に収束へと向かっていく。
「し、しかし…この状況…我々が口を閉ざしてれば済む話ではないか?」
クラウス伯爵が言った。やはりそうきたか!
「え、ええ…そうですわね。確かに私達さえ黙っていれば…」
婦人も納得したかのように頷いた。
そしてクラウス伯爵はすっかり怯えて震えているデニムとマリア嬢に言い聞かさせた。
「いいか?ここでは何も行われなかった。ただお前達2人は見合いをしていただけだ。分かったな?」
デニムとマリア嬢はコクコクと激しく頷く。
やはり彼らは今回の掛け賭博の件を自分たちの中で封印する気だったのだ。しかし、こちらは既に証拠写真も取ったし、万一の為に彼らの会話の概要はメモを取らせて貰っている。
私は背後にいる皆にそっと言った。
「皆、彼らに気づかれないように今のうちにそっと部屋を出るわよ」
仲間達は無言でうなずく。そして私達は静かに、バレないように部屋を後にした。
部屋を出ると私は皆声を掛けた。
「皆、ご苦労さま。いつもの仕事場に戻っていいわ」
私の言葉に彼らはゾロゾロと引き返し、それぞれの持ち場へと帰って行った。私1人を残して。
フフフ…。状況証拠は全て揃った。デニムをはじめ、クラウス伯爵は自分たちの罪を隠蔽することにした。しかし、そうは問屋が卸さない。状況証拠は全て私達の手に握られているのだ。デニムを懲らしめるためには…申し訳ないがマリア嬢にも共倒れしてもらう。どのみち、2人は違法賭博をしていたのだから。
私は彼らが部屋から出てくるのを興奮で胸を踊らせながら待っていた―。
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