25 / 72
第25話 突入!!
しおりを挟む
「それで、こんな場所で集合して一体何がどうなっているのだね?娘の見合いはどうなったのだ?」
クラウス家のご当主が首を傾げる。
「え…?お見合い?」
ジェニー嬢の顔色がサッと変わる。ついに…ついに始まった!湧き上がる興奮を抑えつつ、私は言った。
「実は…皆様に大変残念なお知らせがあります」
「な、何ですか?残念なお知らせとは…!」
エリザベート様が声を震わせる。ジェニー嬢も不安気にしているが、クラウス家の手前もあるのか口を閉ざしている。
「実は…デニム様はあろうことか、複数人の女性達とお見合いをしているのです。しかも同一日に」
「「「「えええっ?!」」」」
4名の来賓客たちは驚きの声をあげる。
「まだ昨日からお見合いは始まったばかりではありますが、昨日も2名の令嬢達とお見合いをすませております」
しかし、両方とも失敗だった事は伏せておいた。その方が盛り上がるだろう。
「な、何と言うことだ…!」
案の定、クラウス家の当主は怒りの為に顔を赤らめて身体を震わせている。それは当然だろう。貴族のお見合いで通常は複数同時進行で行われる事などあってはいけないからだ。あの馬鹿デニムは自分達さえ黙っていればバレないとでも思っていたのだろうが、そうはいかない。
「そ、そんな…」
気の毒なジェニー嬢は今にも泣きそうになっている。それを侍女の少女が慰めている。
「まさか…貴女は今日お見合いにいらしたのかしら?」
エリザベート様が声を震わせながらジェニー嬢に尋ねた。
「は、はい…本日16時からお見合いだったのですが…」
「な、何だと?!もうすぐ17時になるではないか!いくら同日に見合いをするにしても…次の見合い相手を1時間も待たせるとは…何て誠意の無い男なのだ。いや、それ以前に何時間も2人きりで一体中で何をしているとうのだ?!」
もはやクラウス家当主の興奮は止まらない。そして私もこの後に起こる展開が待ち遠しくてウズウズしている。
「あなた!このドアを開けて2人が何をしているのか確かめましょう!」
エリザベート様が手に持っていた扇子を折り曲げそうな勢いで両手で握りしめながら言う。
「ああ!そうだな!」
当主も首を激しく振りながら答える。
「あの!私も確認させて下さい!」
ジェニー嬢が手を挙げる。
「ああ、そうだな。君も見合いに来ているのだからな。よし、一緒にせーので中に入ろう!」
「ええ、4人で突入しましょう!」
クラウス夫妻とマリア嬢及び侍女の少女は結託した。もうここまでくれば私が進行役を務める必要も無いだろう。見物人に徹することにした。そして周りを見渡せば、クララやフレディをはじめ、仲間?達もワクワクしているのか目をキラキラさせている。
「よし!では行くぞ!」
今やリーダーはクラウス伯爵になった。
「「「はい!」」」
声を揃えて返事をするエリザベート様とジェニー嬢に侍女。
クラウス伯爵はドアノブを握りしめ、勢いよくガチャリと開けて部屋の中へ飛び込んでいく。そしてその後に続くエリザベート様とジェニー嬢達。
その直後―
「うわあああ!!お、お前達!!何てことをしている!!」
「マリア!何て事を!!」
「ああ?!お、お父様!お母様!こ、これはっ!!」
「げ!な、何でここへ…!!」
「デニム様…!別の女性とお見合いなんて酷いですわ!!」
途端に大騒ぎが起こり始めた。私は中へ入らずとも誰の叫び声なのか全て分かってしまった。
「さあ、皆!我々も突入よ!」
私は背後に使えている仲間たちに声をかける。
『はい!!』
全員が声を揃える。
そして私達は一斉にド修羅場の真っ只中へ突入した―。
クラウス家のご当主が首を傾げる。
「え…?お見合い?」
ジェニー嬢の顔色がサッと変わる。ついに…ついに始まった!湧き上がる興奮を抑えつつ、私は言った。
「実は…皆様に大変残念なお知らせがあります」
「な、何ですか?残念なお知らせとは…!」
エリザベート様が声を震わせる。ジェニー嬢も不安気にしているが、クラウス家の手前もあるのか口を閉ざしている。
「実は…デニム様はあろうことか、複数人の女性達とお見合いをしているのです。しかも同一日に」
「「「「えええっ?!」」」」
4名の来賓客たちは驚きの声をあげる。
「まだ昨日からお見合いは始まったばかりではありますが、昨日も2名の令嬢達とお見合いをすませております」
しかし、両方とも失敗だった事は伏せておいた。その方が盛り上がるだろう。
「な、何と言うことだ…!」
案の定、クラウス家の当主は怒りの為に顔を赤らめて身体を震わせている。それは当然だろう。貴族のお見合いで通常は複数同時進行で行われる事などあってはいけないからだ。あの馬鹿デニムは自分達さえ黙っていればバレないとでも思っていたのだろうが、そうはいかない。
「そ、そんな…」
気の毒なジェニー嬢は今にも泣きそうになっている。それを侍女の少女が慰めている。
「まさか…貴女は今日お見合いにいらしたのかしら?」
エリザベート様が声を震わせながらジェニー嬢に尋ねた。
「は、はい…本日16時からお見合いだったのですが…」
「な、何だと?!もうすぐ17時になるではないか!いくら同日に見合いをするにしても…次の見合い相手を1時間も待たせるとは…何て誠意の無い男なのだ。いや、それ以前に何時間も2人きりで一体中で何をしているとうのだ?!」
もはやクラウス家当主の興奮は止まらない。そして私もこの後に起こる展開が待ち遠しくてウズウズしている。
「あなた!このドアを開けて2人が何をしているのか確かめましょう!」
エリザベート様が手に持っていた扇子を折り曲げそうな勢いで両手で握りしめながら言う。
「ああ!そうだな!」
当主も首を激しく振りながら答える。
「あの!私も確認させて下さい!」
ジェニー嬢が手を挙げる。
「ああ、そうだな。君も見合いに来ているのだからな。よし、一緒にせーので中に入ろう!」
「ええ、4人で突入しましょう!」
クラウス夫妻とマリア嬢及び侍女の少女は結託した。もうここまでくれば私が進行役を務める必要も無いだろう。見物人に徹することにした。そして周りを見渡せば、クララやフレディをはじめ、仲間?達もワクワクしているのか目をキラキラさせている。
「よし!では行くぞ!」
今やリーダーはクラウス伯爵になった。
「「「はい!」」」
声を揃えて返事をするエリザベート様とジェニー嬢に侍女。
クラウス伯爵はドアノブを握りしめ、勢いよくガチャリと開けて部屋の中へ飛び込んでいく。そしてその後に続くエリザベート様とジェニー嬢達。
その直後―
「うわあああ!!お、お前達!!何てことをしている!!」
「マリア!何て事を!!」
「ああ?!お、お父様!お母様!こ、これはっ!!」
「げ!な、何でここへ…!!」
「デニム様…!別の女性とお見合いなんて酷いですわ!!」
途端に大騒ぎが起こり始めた。私は中へ入らずとも誰の叫び声なのか全て分かってしまった。
「さあ、皆!我々も突入よ!」
私は背後に使えている仲間たちに声をかける。
『はい!!』
全員が声を揃える。
そして私達は一斉にド修羅場の真っ只中へ突入した―。
16
お気に入りに追加
737
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
【完結】貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
【完結済み】婚約破棄致しましょう
木嶋うめ香
恋愛
生徒会室で、いつものように仕事をしていた私は、婚約者であるフィリップ殿下に「私は運命の相手を見つけたのだ」と一人の令嬢を紹介されました。
運命の相手ですか、それでは邪魔者は不要ですね。
殿下、婚約破棄致しましょう。
第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。
応援して下さった皆様ありがとうございます。
リクエスト頂いたお話の更新はもうしばらくお待ち下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる