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第22話 4人目の見合い相手には
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「皆!仕上げにかかるわよ!」
勢いよく厨房のドアを開けるや否や、私はその場にいる全員を見渡すと言った。
「奥様、デニム様のご様子はどうでしたか?」
シェフが心配そうに声を掛けて来るがそれは当然だろう。何しろアルコールたっぷりケーキを作ったのは他でもない彼なのだから。
「ええ、貴方は完璧な仕事をしてくれたわ。あの馬鹿『太陽の部屋』で何をしていたと思う?」
つい先ほどの光景を思い出して興奮してしまった私はデニムを『あの馬鹿』呼ばわりしてしまったが、最早ここには驚く人間は1人もいなかった。
「それでデニム様は何をしてらしたのですか?」
1人の料理人が尋ねて来た。
「良くぞ聞いてくれたわ。何と、あいつはとうとう屋敷内でカードゲームで金銭をかけていたのよ!」
「何と!このお屋敷でですか?!しかもお見合い相手と?!」
「ええ、そうよ。デニムはとんでもない事をやってしまったのよ。」
シェフはあまりのショックで、身体をグラリと傾けさせる。他の料理人たちも私の話に驚いて頭を抱えてしまった。
「ああ…デニム様がここまで愚かだったとは…」
「全く同感だ」
「カジノなんかにはまるから…」
彼らがここまで驚くのも無理はない。なにしろカジノ場以外の場所で金銭をかけたカードゲームは法律で堅く禁じられているからだ。しかも相手が悪かった。見合い相手の年齢は16歳。彼女の年齢であれば本来カジノも保護者同伴でなければ法律で禁止されている。それを堂々と破っているのだ。彼女にだって当然罰が下されるだろう。だが始めから彼女は気に入らなかった。見合い前から結婚すれば自分が得られる利益の事ばかり気にするような人物なのだから。しかもそれを屋敷に仕えるメイドに尋ねるなんて言語道断ではないだろうか?
「はいはい、皆落ち着いて!」
パンパンと手を叩くと私は皆を見渡すと言った。
「とりあえず、今『月の部屋』でデニムの見合い相手のジェニー嬢が待っているの。彼女の為に美味しいお茶とお茶菓子を持って行ってあげたいのよ。ただし、これからちょっとした騒ぎになるかもしれないから、念の為にハーティーも用意して貰えるかしら?」
「奥様。それではお茶とお茶菓子のリクエストはありますか?」
シェフが尋ねて来た。
「ええ。実はね、今デニムを待っているジェニー嬢はとっても素敵なお嬢さんなのよ。読書が好きな方で、今『月の部屋』で星座にまつわる本を侍女の方と一緒に読んでいるわ。だから彼女たちへのお茶菓子は手を汚さずに簡単に食べる事が出来るドライフルーツが良いと思うの。そしてドライフルーツときたらやっぱり出すべき飲み物は紅茶かしらね?」
「かしこまりました!ドライフルーツならすぐにご用意できます。ではお待ちいただけますか?」
シェフは胸を叩いて言う。本当に頼りがいがあるシェフだ。もしデニムの逆鱗に触れて彼がクビになるような事があれば、実家のシェフとして雇ってあげよう。
等と考えているうちにすぐにお茶とお茶菓子の用意がなされた。
「お待たせいたしました。奥様」
シェフは小さめのワゴンを私の前に持ってきてくれた。ワゴンの上には様々なドライフルーツが入った皿と、ティーポット、2名分のティーカップが乗せられている。
「ありがとう、皆!これを置きに行けばいよいよ次は仕上げに取り掛かるからね!」
「奥様ファイト!」
「応援してますよ!」
「何だかワクワクしますね」
私は皆の激励を受けて厨房を出た。
もうすぐデニムのお見合い計画をぶっ潰す事が出来るのだ。
私は笑みを浮かべながらワゴンを押して『月の部屋』へと向かった―。
勢いよく厨房のドアを開けるや否や、私はその場にいる全員を見渡すと言った。
「奥様、デニム様のご様子はどうでしたか?」
シェフが心配そうに声を掛けて来るがそれは当然だろう。何しろアルコールたっぷりケーキを作ったのは他でもない彼なのだから。
「ええ、貴方は完璧な仕事をしてくれたわ。あの馬鹿『太陽の部屋』で何をしていたと思う?」
つい先ほどの光景を思い出して興奮してしまった私はデニムを『あの馬鹿』呼ばわりしてしまったが、最早ここには驚く人間は1人もいなかった。
「それでデニム様は何をしてらしたのですか?」
1人の料理人が尋ねて来た。
「良くぞ聞いてくれたわ。何と、あいつはとうとう屋敷内でカードゲームで金銭をかけていたのよ!」
「何と!このお屋敷でですか?!しかもお見合い相手と?!」
「ええ、そうよ。デニムはとんでもない事をやってしまったのよ。」
シェフはあまりのショックで、身体をグラリと傾けさせる。他の料理人たちも私の話に驚いて頭を抱えてしまった。
「ああ…デニム様がここまで愚かだったとは…」
「全く同感だ」
「カジノなんかにはまるから…」
彼らがここまで驚くのも無理はない。なにしろカジノ場以外の場所で金銭をかけたカードゲームは法律で堅く禁じられているからだ。しかも相手が悪かった。見合い相手の年齢は16歳。彼女の年齢であれば本来カジノも保護者同伴でなければ法律で禁止されている。それを堂々と破っているのだ。彼女にだって当然罰が下されるだろう。だが始めから彼女は気に入らなかった。見合い前から結婚すれば自分が得られる利益の事ばかり気にするような人物なのだから。しかもそれを屋敷に仕えるメイドに尋ねるなんて言語道断ではないだろうか?
「はいはい、皆落ち着いて!」
パンパンと手を叩くと私は皆を見渡すと言った。
「とりあえず、今『月の部屋』でデニムの見合い相手のジェニー嬢が待っているの。彼女の為に美味しいお茶とお茶菓子を持って行ってあげたいのよ。ただし、これからちょっとした騒ぎになるかもしれないから、念の為にハーティーも用意して貰えるかしら?」
「奥様。それではお茶とお茶菓子のリクエストはありますか?」
シェフが尋ねて来た。
「ええ。実はね、今デニムを待っているジェニー嬢はとっても素敵なお嬢さんなのよ。読書が好きな方で、今『月の部屋』で星座にまつわる本を侍女の方と一緒に読んでいるわ。だから彼女たちへのお茶菓子は手を汚さずに簡単に食べる事が出来るドライフルーツが良いと思うの。そしてドライフルーツときたらやっぱり出すべき飲み物は紅茶かしらね?」
「かしこまりました!ドライフルーツならすぐにご用意できます。ではお待ちいただけますか?」
シェフは胸を叩いて言う。本当に頼りがいがあるシェフだ。もしデニムの逆鱗に触れて彼がクビになるような事があれば、実家のシェフとして雇ってあげよう。
等と考えているうちにすぐにお茶とお茶菓子の用意がなされた。
「お待たせいたしました。奥様」
シェフは小さめのワゴンを私の前に持ってきてくれた。ワゴンの上には様々なドライフルーツが入った皿と、ティーポット、2名分のティーカップが乗せられている。
「ありがとう、皆!これを置きに行けばいよいよ次は仕上げに取り掛かるからね!」
「奥様ファイト!」
「応援してますよ!」
「何だかワクワクしますね」
私は皆の激励を受けて厨房を出た。
もうすぐデニムのお見合い計画をぶっ潰す事が出来るのだ。
私は笑みを浮かべながらワゴンを押して『月の部屋』へと向かった―。
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