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第2話 内密で様子を見に行きます
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「こ、こ、こ…。」
父は離婚届があまりにショックだったのか言葉が出なくなってしまった。
「大変!お父さんがショックで鶏になってしまったわ!」
マリーもパニックのあまり、わけの分からない事をいう。そして当の私が1人冷静に離婚届とセットで郵送されてきた手紙に目を通していた。手紙の内容はこうだった。
『フェリシアへ
君と結婚して、早2年の歳月が流れたが未だに君は子供を産まない。父も母もこれ以上孫を待つのは限界だ、そんな嫁はさっさと離婚してもっと年の若い女性と再婚するようにと勧めている。今まで父と母を説得してきたが、これ以上は限界だ。やはり俺も子供が欲しい。今回、君が実家に里帰りしたのも何かの縁だろう。このまま俺と離婚してくれ。同封した離婚届けにサイン後、速やかに俺の元へ送るように。君の持っていたドレスとアクセサリーはコネリー家で買ったものなので返却は出来ない。しかし恨むのはやめてくれよ?これは君が子供を出産できなかった罰だと思ってくれ。尚、慰謝料にも応じられない。君の次の幸せを心より祈る。
デニムより 』
は?何これ…全く意味が分からないのですけど?
「な、な、何だっ?!こ、こ、このふざけた内容の手紙はっ!」
父は今にも卒倒しそうな勢いで髪をかきむしっている。
「本当にふざけた手紙ね…!私が出産したばかりの身体でなければゴルフクラブを持って殴り込みに行ってやるのに…っ!!もともと子供なんか生まれっこ無いのに!」
普段はおしとやかだが、怒りのあまり理性が切れると豹変する妹の顔が久々に現れた。
そう、何故妹が『生まれっこ無いのに!』と言ったのかは理由がある。それは結婚して2年になるのに私、フェリシア・コネリーとデニム・コネリーは世間でいう『白い結婚』のままだったからだ。
デニムは初めから私との結婚を拒絶していた。恐らく結婚当初から今回の計画を練っていたのかもしれない…。
あれは2年前の事だった。
元々私たち一家は貴族ではなく、商売で財を成したいわゆる成金家系だった。見栄っ張りの父と母はどうしても貴族の仲間入りをしたく、ありとあらゆる方法で貴族になる方法を探し…ついに、今にも没落寸前の伯爵家に目を付けた。そこの子息と私の年齢がたまたま近いという事と、私には恋人も決まった相手もいなかったことから当人同士の意見を無視し、お互いに顔も知らないまま結婚式を挙げることになってしまったのだった―。
この私たちの結婚により、コネリー家は大金を得ることが出来、我が家は伯爵家の称号を得る事が出来た。
教会で初めて顔を合わせた夫であるデニムは当時23歳で、栗毛色の髪を持つ中々のハンサムな男性で優しい面立ちをしていた。きっとこの人となら初対面でもうまくやって行けるだろうと思っていたのに…。
「やられたわ…。デニムは初めから私とは離婚するつもりで結婚したのね。あれほど結婚を嫌がっていたのに、最終的には素直に応じたからおかしいと思っていたのよ。だけどデニムの両親だって、私たちの結婚生活がどういう状態か知っていたはずなのに‥。」
私とデニムがあの屋敷で寝室が別々だったのは彼の両親だけでなく、全ての使用人が
知っていた。食事だって私だけは別室で食べさせられ、彼らの一家団欒には入れて貰えなかった。それでも私はあの家の為に精一杯尽くしてきたつもりだったのに、まさかこのような言いがかりをつけられて離婚届けを送り付けてくるとは…。
「どうするのだ?フェリシア。まさかこのまま離婚届にサインをして書類を送るつもりなのか?」
どうしても貴族という称号を手放したくない父はオロオロしている。
「何言ってるのっ?!お父さん!こんなの離婚に決まっているでしょうっ?!剃刀と一緒にサインをした離婚届を送り付けてやればいいのよっ!」
一方の妹は怒りが収まらない。
「まあまあ‥‥2人とも落ち着いて。」
私は冷静に言う。
「何か妙案があるのかい?」
「離婚する気になったのね?!」
父とマリーが尋ねてくる。
「離婚届にサインもしないし、郵送もしない。とりあえず…内密で様子を見に行ってくるわ。」
まずは敵情視察?からだ。
離婚するのは少しも構わないけれども、このままおとなしく離婚などしてやるものですか―。
父は離婚届があまりにショックだったのか言葉が出なくなってしまった。
「大変!お父さんがショックで鶏になってしまったわ!」
マリーもパニックのあまり、わけの分からない事をいう。そして当の私が1人冷静に離婚届とセットで郵送されてきた手紙に目を通していた。手紙の内容はこうだった。
『フェリシアへ
君と結婚して、早2年の歳月が流れたが未だに君は子供を産まない。父も母もこれ以上孫を待つのは限界だ、そんな嫁はさっさと離婚してもっと年の若い女性と再婚するようにと勧めている。今まで父と母を説得してきたが、これ以上は限界だ。やはり俺も子供が欲しい。今回、君が実家に里帰りしたのも何かの縁だろう。このまま俺と離婚してくれ。同封した離婚届けにサイン後、速やかに俺の元へ送るように。君の持っていたドレスとアクセサリーはコネリー家で買ったものなので返却は出来ない。しかし恨むのはやめてくれよ?これは君が子供を出産できなかった罰だと思ってくれ。尚、慰謝料にも応じられない。君の次の幸せを心より祈る。
デニムより 』
は?何これ…全く意味が分からないのですけど?
「な、な、何だっ?!こ、こ、このふざけた内容の手紙はっ!」
父は今にも卒倒しそうな勢いで髪をかきむしっている。
「本当にふざけた手紙ね…!私が出産したばかりの身体でなければゴルフクラブを持って殴り込みに行ってやるのに…っ!!もともと子供なんか生まれっこ無いのに!」
普段はおしとやかだが、怒りのあまり理性が切れると豹変する妹の顔が久々に現れた。
そう、何故妹が『生まれっこ無いのに!』と言ったのかは理由がある。それは結婚して2年になるのに私、フェリシア・コネリーとデニム・コネリーは世間でいう『白い結婚』のままだったからだ。
デニムは初めから私との結婚を拒絶していた。恐らく結婚当初から今回の計画を練っていたのかもしれない…。
あれは2年前の事だった。
元々私たち一家は貴族ではなく、商売で財を成したいわゆる成金家系だった。見栄っ張りの父と母はどうしても貴族の仲間入りをしたく、ありとあらゆる方法で貴族になる方法を探し…ついに、今にも没落寸前の伯爵家に目を付けた。そこの子息と私の年齢がたまたま近いという事と、私には恋人も決まった相手もいなかったことから当人同士の意見を無視し、お互いに顔も知らないまま結婚式を挙げることになってしまったのだった―。
この私たちの結婚により、コネリー家は大金を得ることが出来、我が家は伯爵家の称号を得る事が出来た。
教会で初めて顔を合わせた夫であるデニムは当時23歳で、栗毛色の髪を持つ中々のハンサムな男性で優しい面立ちをしていた。きっとこの人となら初対面でもうまくやって行けるだろうと思っていたのに…。
「やられたわ…。デニムは初めから私とは離婚するつもりで結婚したのね。あれほど結婚を嫌がっていたのに、最終的には素直に応じたからおかしいと思っていたのよ。だけどデニムの両親だって、私たちの結婚生活がどういう状態か知っていたはずなのに‥。」
私とデニムがあの屋敷で寝室が別々だったのは彼の両親だけでなく、全ての使用人が
知っていた。食事だって私だけは別室で食べさせられ、彼らの一家団欒には入れて貰えなかった。それでも私はあの家の為に精一杯尽くしてきたつもりだったのに、まさかこのような言いがかりをつけられて離婚届けを送り付けてくるとは…。
「どうするのだ?フェリシア。まさかこのまま離婚届にサインをして書類を送るつもりなのか?」
どうしても貴族という称号を手放したくない父はオロオロしている。
「何言ってるのっ?!お父さん!こんなの離婚に決まっているでしょうっ?!剃刀と一緒にサインをした離婚届を送り付けてやればいいのよっ!」
一方の妹は怒りが収まらない。
「まあまあ‥‥2人とも落ち着いて。」
私は冷静に言う。
「何か妙案があるのかい?」
「離婚する気になったのね?!」
父とマリーが尋ねてくる。
「離婚届にサインもしないし、郵送もしない。とりあえず…内密で様子を見に行ってくるわ。」
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