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23 合流
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「く、来るな……! この……悪魔め……!」
背中に大やけどを負ったクロードは苦しげに顔を歪めながら床の上に座り込んでいる。
「悪魔? それはこっちのセリフよ。私を殺しただけでは飽き足らず……よくも私の大切な家族たちの命まで……!」
私はゆっくりと二人に近づく。
「だ、誰か……!」
オフィーリアが恐怖で声をあげたそのとき――
こちらに向かって駆け寄ってくる無数の足音が聞こえてきた。恐らく騒ぎを聞きつけて衛兵たちがこちらに向かってきたのだろう。
だが、そんなのは既に想定済みだ。私の邪魔をする者たちは全員敵だ。
まとめて始末するだけだ。
右手に再び炎の玉を作り出したその時――
「ユリアナ様!!」
突然背後から名前をよばれ、驚いて振り向く。すると大勢の騎士たちを引き連れて現れたのは、なんとエドモントだったのだ。
「エドモント!? な、何故ここに!?」
「はい。我らは傷病兵を偽り、この城に既に潜伏していたのです。反撃の準備が整い次第、敵を殲滅しようと計画を立てていたのです。でも、まさかユリアナ様がここへ現れるとは思いもしませんでした……」
「エドモント……それに、皆。また再び会えるとは思わなかったわ」
私は騎士たちの顔を見渡した。
「き、貴様ら!! 一体……何をしたのだ!」
髪を振り乱して叫ぶクラウス。すると、エドモントが不敵な笑みを浮かべる。
「おや……誰かと思えば……あなたはクラウス殿下ではありませんか? もっともあなたほどの高貴な血筋の方は一介の騎士の顔など覚えていないでしょうな? 我らに謀反の罪を被せて、牢屋送りにした者のことなど……?」
「ひ……!」
クラウスの顔に怯えが走る。
「え、衛兵たちはどこなのよ! 私達を……いえ、私を守る衛兵は!」
絶叫するオフィーリアに別の騎士が答える。
「さぁな? もうどこにもいないんじゃないか?」
そしてこれみよがしに血まみれの剣を二人に向けた。
「な、何……! ま、まさか……!」
「そうだ、良いことを教えて差し上げましょう。あのホールに運び込まれていた傷病兵たち……あれは全て俺たちだったのですよ。瀕死の重傷を負ったふりをして、この城に潜入したというわけです」
エドモントが不敵に笑みを浮かべる。
「まさか、それでは……?」
クラウスの顔が青ざめる。
「はい、そうです。油断していたこの城の衛兵たちなど、所詮我らの敵ではありません。もうこの二人を護衛する騎士はどこにもいません」
「そ、そんなバカな……!」
「……」
怯えるクラウスの隣では、言葉を無くしたオフィーリアが呆然と目を見開いている。
「ユリアナ様、この二人をどうされるおつもりですか?」
エドモントが尋ねてきた。
「そんなことは決まっているわ……即刻処刑よ」
冷たい声で私は言い放った――
背中に大やけどを負ったクロードは苦しげに顔を歪めながら床の上に座り込んでいる。
「悪魔? それはこっちのセリフよ。私を殺しただけでは飽き足らず……よくも私の大切な家族たちの命まで……!」
私はゆっくりと二人に近づく。
「だ、誰か……!」
オフィーリアが恐怖で声をあげたそのとき――
こちらに向かって駆け寄ってくる無数の足音が聞こえてきた。恐らく騒ぎを聞きつけて衛兵たちがこちらに向かってきたのだろう。
だが、そんなのは既に想定済みだ。私の邪魔をする者たちは全員敵だ。
まとめて始末するだけだ。
右手に再び炎の玉を作り出したその時――
「ユリアナ様!!」
突然背後から名前をよばれ、驚いて振り向く。すると大勢の騎士たちを引き連れて現れたのは、なんとエドモントだったのだ。
「エドモント!? な、何故ここに!?」
「はい。我らは傷病兵を偽り、この城に既に潜伏していたのです。反撃の準備が整い次第、敵を殲滅しようと計画を立てていたのです。でも、まさかユリアナ様がここへ現れるとは思いもしませんでした……」
「エドモント……それに、皆。また再び会えるとは思わなかったわ」
私は騎士たちの顔を見渡した。
「き、貴様ら!! 一体……何をしたのだ!」
髪を振り乱して叫ぶクラウス。すると、エドモントが不敵な笑みを浮かべる。
「おや……誰かと思えば……あなたはクラウス殿下ではありませんか? もっともあなたほどの高貴な血筋の方は一介の騎士の顔など覚えていないでしょうな? 我らに謀反の罪を被せて、牢屋送りにした者のことなど……?」
「ひ……!」
クラウスの顔に怯えが走る。
「え、衛兵たちはどこなのよ! 私達を……いえ、私を守る衛兵は!」
絶叫するオフィーリアに別の騎士が答える。
「さぁな? もうどこにもいないんじゃないか?」
そしてこれみよがしに血まみれの剣を二人に向けた。
「な、何……! ま、まさか……!」
「そうだ、良いことを教えて差し上げましょう。あのホールに運び込まれていた傷病兵たち……あれは全て俺たちだったのですよ。瀕死の重傷を負ったふりをして、この城に潜入したというわけです」
エドモントが不敵に笑みを浮かべる。
「まさか、それでは……?」
クラウスの顔が青ざめる。
「はい、そうです。油断していたこの城の衛兵たちなど、所詮我らの敵ではありません。もうこの二人を護衛する騎士はどこにもいません」
「そ、そんなバカな……!」
「……」
怯えるクラウスの隣では、言葉を無くしたオフィーリアが呆然と目を見開いている。
「ユリアナ様、この二人をどうされるおつもりですか?」
エドモントが尋ねてきた。
「そんなことは決まっているわ……即刻処刑よ」
冷たい声で私は言い放った――
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