46 / 98
24 出発
しおりを挟む
エドモントとラルフが隠れ家に戻ってきたのは真夜中の午前2時過ぎだった。
「おふたりとも……一体何をされていたのですか?」
「おやすみになっていらっしゃらなかったのですか?」
エドモントとラルフは私とジェイクがダガーから飾りの宝石を引き抜いている姿を見て目を丸くしている。
「ええ、ジェイクと話し合ったのだけど……やはりこの先、散り散りになってしまった仲間たちを集めるには馬車が無いと大変だろうと話し合ったの。だけど、馬車を手に入れるとしても、お金が必要でしょう?」
「まさか、そのために資金を作る為に、ダガーの宝飾飾りを外していたのですか?」
エドモントが尋ねる。
「ええ、貴金属類は今のような時代でも価値があるものでしょう?」
「確かにそうですが……」
エドモントは机の上に置かれた宝石を見つめる。その数は30粒ほどだ。
「でも、これだけあれば馬と荷馬車を手に入れられそうですね」
ラルフがエドモントに尋ねる。
「……ああ。確かに。保存食も手に入れられるかもしれない」
その言葉に私は顔を上げた。
「……保存食?」
「はいそうです。ユリアナ様、実は酒場のマスターが我らの持ち込んだワインを偉く気に入ってくれたのですよ。だからこちらの知りたかった情報を得ることが出来ました」
ラルフが上機嫌で話してくる。
「酒場のマスターの話によると、現在『アレス王国』内では牢屋が東西南北に四箇所設置されているそうです。ちなみに我々は南の地区の牢屋に入れられておりました。牢屋の場所が記された地図をもらうことが出来ました」
エドモントがテーブルの上に地図を広げた。
「今現在我々がいる場所はここです。そしてここから東の方角には『オーリンズ』地区があります。ここが今現在一番近い地区ですが……ここにはこの国一番大きな牢屋があるそうです。まずはこの地区を目指そうかと思ってます。それでも二十キロ程離れてはいるのですが」
「二十キロ……歩くと確かにかなり距離があるわね」
とてもではないが、そんな長い距離をこのか弱い身体で歩けそうには無かった。
「なので、早速朝になったらこの宝石を持って町に出て馬と馬車を手にれましょう」
エドモントの話に私達は頷いた――
****
翌朝9時――
少し遅めに起床した私達は隠れ家を出た。エドモントが隠れ家の入り口を塞ぐ仕掛けに触れると、巨大な岩が動きだす。
ゴゴゴゴゴゴ……
やがて完全に岩が閉じると、そこは単なる岩肌に変わっている。
「次にここへ戻るときには中間を連れて来るときね」
フード付きマントで全身を覆った私はポツリと呟く。
「ええ、そうですね」
ラルフが頷く。
「では出発しましょう」
エドモントが声を掛けた。
「行こうか、ユリアナ」
「はい」
ジェイクの言葉に返事をすると、私達は隠れ家を後にした――
「おふたりとも……一体何をされていたのですか?」
「おやすみになっていらっしゃらなかったのですか?」
エドモントとラルフは私とジェイクがダガーから飾りの宝石を引き抜いている姿を見て目を丸くしている。
「ええ、ジェイクと話し合ったのだけど……やはりこの先、散り散りになってしまった仲間たちを集めるには馬車が無いと大変だろうと話し合ったの。だけど、馬車を手に入れるとしても、お金が必要でしょう?」
「まさか、そのために資金を作る為に、ダガーの宝飾飾りを外していたのですか?」
エドモントが尋ねる。
「ええ、貴金属類は今のような時代でも価値があるものでしょう?」
「確かにそうですが……」
エドモントは机の上に置かれた宝石を見つめる。その数は30粒ほどだ。
「でも、これだけあれば馬と荷馬車を手に入れられそうですね」
ラルフがエドモントに尋ねる。
「……ああ。確かに。保存食も手に入れられるかもしれない」
その言葉に私は顔を上げた。
「……保存食?」
「はいそうです。ユリアナ様、実は酒場のマスターが我らの持ち込んだワインを偉く気に入ってくれたのですよ。だからこちらの知りたかった情報を得ることが出来ました」
ラルフが上機嫌で話してくる。
「酒場のマスターの話によると、現在『アレス王国』内では牢屋が東西南北に四箇所設置されているそうです。ちなみに我々は南の地区の牢屋に入れられておりました。牢屋の場所が記された地図をもらうことが出来ました」
エドモントがテーブルの上に地図を広げた。
「今現在我々がいる場所はここです。そしてここから東の方角には『オーリンズ』地区があります。ここが今現在一番近い地区ですが……ここにはこの国一番大きな牢屋があるそうです。まずはこの地区を目指そうかと思ってます。それでも二十キロ程離れてはいるのですが」
「二十キロ……歩くと確かにかなり距離があるわね」
とてもではないが、そんな長い距離をこのか弱い身体で歩けそうには無かった。
「なので、早速朝になったらこの宝石を持って町に出て馬と馬車を手にれましょう」
エドモントの話に私達は頷いた――
****
翌朝9時――
少し遅めに起床した私達は隠れ家を出た。エドモントが隠れ家の入り口を塞ぐ仕掛けに触れると、巨大な岩が動きだす。
ゴゴゴゴゴゴ……
やがて完全に岩が閉じると、そこは単なる岩肌に変わっている。
「次にここへ戻るときには中間を連れて来るときね」
フード付きマントで全身を覆った私はポツリと呟く。
「ええ、そうですね」
ラルフが頷く。
「では出発しましょう」
エドモントが声を掛けた。
「行こうか、ユリアナ」
「はい」
ジェイクの言葉に返事をすると、私達は隠れ家を後にした――
13
お気に入りに追加
465
あなたにおすすめの小説
皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)
浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。
運命のまま彼女は命を落とす。
だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
【完結】貴方たちはお呼びではありませんわ。攻略いたしません!
宇水涼麻
ファンタジー
アンナリセルはあわてんぼうで死にそうになった。その時、前世を思い出した。
前世でプレーしたゲームに酷似した世界であると感じたアンナリセルは自分自身と推しキャラを守るため、攻略対象者と距離を置くことを願う。
そんな彼女の願いは叶うのか?
毎日朝方更新予定です。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる