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10 十年前の出来事 1
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「ユリアナ様が行方不明になった日の出来事は今でも昨日のことのように思い出されます……。お部屋にいないということに気付いたのは深夜近くのことでした。嵐が強まり、メイドが部屋の様子を見に行ったのです。すると部屋の中はもぬけの殻でした。そこで初めてユリアナ様がいないことに気付いたのです」
「そうだったのね……」
すると、ラルフが尋ねて来た。
「ユリアナ様、一体あの日は何処へ行かれたのですか? 我々は真っ先にクラウス王子を疑いました。けれど、あの夜は嵐があまりにも酷く……しかも真夜中だったということでシュタイナー王家の元に向かえなかったのですよ?」
「その通りよ。私はクラウス王子に呼び出されたの。ただし、離宮にね。誰にも内緒で来るようにと言われていたので、御者のサムだけに行先を告げて連れて行って貰ったのよ」
「離宮……そうでしたか。やはり……」
エドモントが悔しそうに唇を噛む。
「嵐が過ぎ去った翌日、すぐに我々は公爵様達と一緒に城へ向かいました。けれど陛下とクラウス王子からはユリアナ様はこちらにはいらしていないと言われて、取りつく島も無く追い払われてしまったのです」
私は黙って話を聞いていた。確かに陛下もクラウス王子も嘘はついていない。私は城には行っていないのだから。
「我々はシュタイナー王家に仕える者達です。言うことを聞かざるを得ませんでした。そこで我々は自力でユリアナ様の行方を捜すことにしたのです。来る日も来る日も手掛かりを求めて、様々な場所で聞き込みを行い……ついに有力な手掛かりを得ることができました。それがシュタイナー王家の離宮です」
エドモントの話は続く。
「城では有力な手が仮を掴めなかった我々は離宮へ向かいました。すると離宮へ続く森の木々があちこちで強い衝撃を受けたのか。折れている場所があったのです。地面には馬車のワダチの後も残されていました。そしてイヤリングが落ちていたのです。そのイヤリングをみた公爵様がユリアナ様にプレゼントした物に違いないと仰りました」
「え……?イヤリングが……?ちょっと待って。でももっと手っ取り早く確認することは出来なかったの? 森に壊れた馬車は無かったのかしら?」
「……」
ジェイクは先ほどから無言で私たちの話を聞いている。
「いいえ、馬車はありませんでした」
首を振るエドモント。馬車が消えていたなんて…‥‥
「そう……」
返事をして、私は肝心なことに気付いた。
「そうだわ、そう言えばサム、彼は……亡くなってしまったのよね?」
あの状態ではとても生きているとは思えなかった。すると意外な言葉がエドモントの口から飛び出る。
「それが分からないのです」
「分からない?」
一体どういうことなのだろう?
「サムはずっと行方不明のままです」
「え? 行方不明……?」
と言う事は、サムの遺体は馬車と一緒に始末されてしまったと言う事なのだろうか?
私はその事実に背筋が寒くなるのを感じた――
「そうだったのね……」
すると、ラルフが尋ねて来た。
「ユリアナ様、一体あの日は何処へ行かれたのですか? 我々は真っ先にクラウス王子を疑いました。けれど、あの夜は嵐があまりにも酷く……しかも真夜中だったということでシュタイナー王家の元に向かえなかったのですよ?」
「その通りよ。私はクラウス王子に呼び出されたの。ただし、離宮にね。誰にも内緒で来るようにと言われていたので、御者のサムだけに行先を告げて連れて行って貰ったのよ」
「離宮……そうでしたか。やはり……」
エドモントが悔しそうに唇を噛む。
「嵐が過ぎ去った翌日、すぐに我々は公爵様達と一緒に城へ向かいました。けれど陛下とクラウス王子からはユリアナ様はこちらにはいらしていないと言われて、取りつく島も無く追い払われてしまったのです」
私は黙って話を聞いていた。確かに陛下もクラウス王子も嘘はついていない。私は城には行っていないのだから。
「我々はシュタイナー王家に仕える者達です。言うことを聞かざるを得ませんでした。そこで我々は自力でユリアナ様の行方を捜すことにしたのです。来る日も来る日も手掛かりを求めて、様々な場所で聞き込みを行い……ついに有力な手掛かりを得ることができました。それがシュタイナー王家の離宮です」
エドモントの話は続く。
「城では有力な手が仮を掴めなかった我々は離宮へ向かいました。すると離宮へ続く森の木々があちこちで強い衝撃を受けたのか。折れている場所があったのです。地面には馬車のワダチの後も残されていました。そしてイヤリングが落ちていたのです。そのイヤリングをみた公爵様がユリアナ様にプレゼントした物に違いないと仰りました」
「え……?イヤリングが……?ちょっと待って。でももっと手っ取り早く確認することは出来なかったの? 森に壊れた馬車は無かったのかしら?」
「……」
ジェイクは先ほどから無言で私たちの話を聞いている。
「いいえ、馬車はありませんでした」
首を振るエドモント。馬車が消えていたなんて…‥‥
「そう……」
返事をして、私は肝心なことに気付いた。
「そうだわ、そう言えばサム、彼は……亡くなってしまったのよね?」
あの状態ではとても生きているとは思えなかった。すると意外な言葉がエドモントの口から飛び出る。
「それが分からないのです」
「分からない?」
一体どういうことなのだろう?
「サムはずっと行方不明のままです」
「え? 行方不明……?」
と言う事は、サムの遺体は馬車と一緒に始末されてしまったと言う事なのだろうか?
私はその事実に背筋が寒くなるのを感じた――
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