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6 来訪者達
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「大丈夫かい?何だか顔色が悪いようだけど?」
ジェイクが心配そうに声を掛けてきた。
「は、はい……大丈夫……です……」
けれど身体の震えが止まらなかった。ただでさえこの身体は私の身体では無いというのに、そのうえ十年後の世界だなんて……。
「そうかい?とても大丈夫そうには見えない。食事が済んだらまたベッドで休んだほうがいい。何しろ二日間も目が覚めなかったし、さっきだって気を失ってしまったじゃないか」
「ですが……」
私はもう一度部屋の中を見渡した。ここにはベッドは一つしかない。私がベッドを使ってしまえば、彼は何処に寝るのだろう。
すると、私が何を考えているのか分かったのだろうか。ジェイクが笑った。
「もしかすると、ベッドのことを気にしているのかな?それなら大丈夫だよ。ほら、あそこに木のベンチがあるだろう?この二日間俺はあそこで寝ていたんだ。藁を敷けば十分ベッドになるんだ」
ジェイクが指さした先には壁にピタリと寄せられている木製ベンチが置かれている。
「だったら、私がそこで休ませて頂きます」
「何言ってるんだい?病人で……しかも女性にあんな場所で寝かせるわけにはいかないよ。俺のことは気にしなくていいから」
そして笑いかけてくるジェイク。
「ですが……やはり申し訳ないです」
そのとき……。
ドンドンッ!
扉を激しく叩く音が聞こえた。そのあまりにも乱暴な叩き方は尋常ではない。するとジェイクは眉をしかめた。
「やれやれ……また『奴ら』か。最近はおとなしいかと思っていたのに」
ため息をついてジェイクは立ち上がると、私の方を振り向いた。
「ユリアナ。君は奥の部屋に隠れていたほうがいい」
「はい……分かりました」
その顔にただならぬ雰囲気を感じ取った私は頷いた。
「君は聞き分けがいいね。俺がいいと言うまでは絶対にあの部屋から出ては駄目だよ」
ジェイクが扉に向かったので、私は急いで奥の部屋に移動した。するとやはりそこは厨房になっており、かまどや水瓶が置かれていた。
調理台と思しきテーブルの下に隠れると、私は息を潜めてジェイクが来るのをじっと待った。
少しの間、隣の部屋で人の話し声らしきものが聞こえていた。やがて扉が閉まる音が聞こえ、ギシギシと床を踏みしめる音が近づいて来る。
「……ユリアナ?どこだい?」
ジェイクの声だ。
「ここです、ジェイクさん」
テーブルの下から這い出てくると、驚いた様子で私を見た。
「へぇ、まさかテーブルの下に隠れているとは思わなかった。ユリアナは中々警戒心が強いんだね。でも良いことだよ」
「あの……先程は誰が訪ねてきたのですか?」
ジェイクの厳しい表情が気になったので聞かずにはいられなかった。
「さっき、扉を叩いたのは『タリス』の兵士たちだよ。彼らは名目上、この集落一体を守っている警備兵として配置されているけれど……」
そこで再びジェイクの顔が厳しくなった。
「そんなのは建前だよ。奴らは俺たちを守ってなどくれない。奴らの本当の目的はこの集落で俺たちから食料を巻き上げているだけに過ぎない。大体、たった10人程度の兵力で、どうやってこの集落を守れるっていうんだ?」
「そうだったのですか?」
この集落にどのくらいの数の人々が暮らしているのかは分からないけれども、戦時下で集落をわずか10人規模の兵力で守れるはずなどない。
「奴らは定期的に集落を訪れ……貴重な食料を奪っている。そのくせ、敵が攻め込んで来た場合は真っ先に逃げだす、最低な集団だ。現に昨年敵の兵士たちが攻めてきた時……奴らはこぞって逃げ出したんだ。」
ジェイクの声には……憎悪が滲み出ていた――。
ジェイクが心配そうに声を掛けてきた。
「は、はい……大丈夫……です……」
けれど身体の震えが止まらなかった。ただでさえこの身体は私の身体では無いというのに、そのうえ十年後の世界だなんて……。
「そうかい?とても大丈夫そうには見えない。食事が済んだらまたベッドで休んだほうがいい。何しろ二日間も目が覚めなかったし、さっきだって気を失ってしまったじゃないか」
「ですが……」
私はもう一度部屋の中を見渡した。ここにはベッドは一つしかない。私がベッドを使ってしまえば、彼は何処に寝るのだろう。
すると、私が何を考えているのか分かったのだろうか。ジェイクが笑った。
「もしかすると、ベッドのことを気にしているのかな?それなら大丈夫だよ。ほら、あそこに木のベンチがあるだろう?この二日間俺はあそこで寝ていたんだ。藁を敷けば十分ベッドになるんだ」
ジェイクが指さした先には壁にピタリと寄せられている木製ベンチが置かれている。
「だったら、私がそこで休ませて頂きます」
「何言ってるんだい?病人で……しかも女性にあんな場所で寝かせるわけにはいかないよ。俺のことは気にしなくていいから」
そして笑いかけてくるジェイク。
「ですが……やはり申し訳ないです」
そのとき……。
ドンドンッ!
扉を激しく叩く音が聞こえた。そのあまりにも乱暴な叩き方は尋常ではない。するとジェイクは眉をしかめた。
「やれやれ……また『奴ら』か。最近はおとなしいかと思っていたのに」
ため息をついてジェイクは立ち上がると、私の方を振り向いた。
「ユリアナ。君は奥の部屋に隠れていたほうがいい」
「はい……分かりました」
その顔にただならぬ雰囲気を感じ取った私は頷いた。
「君は聞き分けがいいね。俺がいいと言うまでは絶対にあの部屋から出ては駄目だよ」
ジェイクが扉に向かったので、私は急いで奥の部屋に移動した。するとやはりそこは厨房になっており、かまどや水瓶が置かれていた。
調理台と思しきテーブルの下に隠れると、私は息を潜めてジェイクが来るのをじっと待った。
少しの間、隣の部屋で人の話し声らしきものが聞こえていた。やがて扉が閉まる音が聞こえ、ギシギシと床を踏みしめる音が近づいて来る。
「……ユリアナ?どこだい?」
ジェイクの声だ。
「ここです、ジェイクさん」
テーブルの下から這い出てくると、驚いた様子で私を見た。
「へぇ、まさかテーブルの下に隠れているとは思わなかった。ユリアナは中々警戒心が強いんだね。でも良いことだよ」
「あの……先程は誰が訪ねてきたのですか?」
ジェイクの厳しい表情が気になったので聞かずにはいられなかった。
「さっき、扉を叩いたのは『タリス』の兵士たちだよ。彼らは名目上、この集落一体を守っている警備兵として配置されているけれど……」
そこで再びジェイクの顔が厳しくなった。
「そんなのは建前だよ。奴らは俺たちを守ってなどくれない。奴らの本当の目的はこの集落で俺たちから食料を巻き上げているだけに過ぎない。大体、たった10人程度の兵力で、どうやってこの集落を守れるっていうんだ?」
「そうだったのですか?」
この集落にどのくらいの数の人々が暮らしているのかは分からないけれども、戦時下で集落をわずか10人規模の兵力で守れるはずなどない。
「奴らは定期的に集落を訪れ……貴重な食料を奪っている。そのくせ、敵が攻め込んで来た場合は真っ先に逃げだす、最低な集団だ。現に昨年敵の兵士たちが攻めてきた時……奴らはこぞって逃げ出したんだ。」
ジェイクの声には……憎悪が滲み出ていた――。
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