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第111話 私とカイの結婚式

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 シスターエレナの祈りの元、私とカイは2人で永遠の愛を誓い合った。そして皆の祝福を浴びながら誓いのキスを交わした。カイはキスしながら私に言った。

「愛しているよ、アゼリア」

「私も、カイを愛してる」

それは今までで一番幸せなキスだった…。


式が終わり、皆の祝福の声を聞きながら2人で腕を組んで教会の外へ出ると、大きな鐘が鳴り響き、教会の子どもたちが次々とお花を投げてくれた。そこにはあの時、私にバラをくれた少年、ヤンもいた。

「ヤン、あの時…私にバラをくれてありがとう」

ヤンに声を掛けると、彼は真っ赤な顔で私を見上げた。

「アゼリア様…僕の事、覚えていてくれたんですか?」

「ええ、当然よ。だって私…あんなに心のこもったプレゼントを貰ったのはあの時が生まれて初めてだったのだから」

「アゼリア様…」

涙ぐむヤンの頭をそっと撫でて、教会の鐘を見上げて私は驚いた。

「まぁ…!マルセル様にオリバーさん…!」

何と教会の金を鳴らしていたのはマルセル様とオリバーさんだったのだ。カイも驚いたのか、目を見開いて2人を見つめている。そこへベンジャミンさんがやってきた。

「アゼリア、結婚おめでとう」

「ありがとうございます」

頭を下げた。

「カイザード王太子様もおめでとうございます」

「うん、ありがとう」

ベンジャミンさんはカイにも挨拶をすると私を見た。

「アゼリア、こんな席で…フレーベル家の事を言うのはどうかと思ったのだけど、丁度王太子様も一緒だから報告させてもらうよ」

「ええ、お願いします」

「フレーベル家の義理の両親は懲役100年を言い渡されたよ。つまり一生刑務所から出られなくなったって事さ。そして義理の妹モニカは国外追放されたよ。全財産を奪われてね。二度とこの国に戻ることは許されない罰を下されたんだ。僕の良く知っている裁判官の人にフレーベル家の裁きをお願いしたからね。それに王族の人達もこのフレーベル家の事件に関わっていたし…十分重い罪を背負うことになったと思うよ。ごめん…こんなめでたい席で…でも、この機会を逃したらいつ話せるか分からなかったから…」

ベンジャミンさんは頭を下げてきた。

「いえ、いいんです。フレーベル家の事は…気になっていたので。でも…そういう罰が下されたのですね…」

けれど今となっては私の心にはフレーベル家での出来事は全て終わった事…過去の出来事でしか無い。

「教えて頂き、ありがとうございます」

頭を下げると、カイがベンジャミンさんに言った。

「ありがとう、フレーベル家の裁きに協力してくれて」

「い、いえ!僕に出来るのはそれくらいでしたから…!で、では失礼しますっ!」

ベンジャミンさんは慌てて、私達から離れていく。何故なら私とカイの周りには話をしようと式に出席している人達が集まってきていたからだ。

「アゼリア、疲れるといけないから…あそこのベンチに座って皆で話をしよう。皆さんも移動しましょう!」

カイは私を抱きかかえるとベンチへ向かって歩いてく。頭上には青い空が広がり、厳かな鐘の音が響き渡っている。

ベンチに移動した私達は皆で輪になって話に花を咲かせ…私とカイの幸せな結婚式は終わりを告げた。

そしてその日の夜、私とカイはしっかり抱き合って眠りに就いた―。



****


 結婚式の翌日―


 自室でいつもの点滴と輸血治療の終わった後、ヨハン先生が言った。

「アゼリア、今日の予定はどうなっているんだい?」

「はい。今日はカイが素敵な場所へ連れて行ってくれるそうです」

ベッドの上で私は答えた。

「素敵な場所…ひょっとしてあの場所の事かな?」

片付けをしながらヨハン先生が首を傾げる。

「あの場所って…何か心当たりでもあるのですか?」

するとヨハン先生が笑いながら言った。

「それは僕の口から聞かないほうが良いと思うよ?連れて行ってくれるのはカイザード王太子様なのだから」

「え?ええ…分かりました。では楽しみにしておきますね」

するとタイミングよく、開いている扉からカイが顔をのぞかせた。

「診察は終わりましたか?」

「はい、終わりました」

ヨハン先生が返事をする。

「アゼリア、体調はどうだい?」

カイは私の側に来ると、そっと手に触れてきた。

「ええ、点滴と輸血のお陰で元気よ」

「それは良かった…」

カイは笑みを浮かべると、次にヨハン先生を見た。

「…どうでしょう?アゼリアを連れ出しても良いですか?」

「ええ、とりあえず1時間程休んだ後なら大丈夫ですよ」

「良かった、アゼリア。外出出来るって。今日はこれから素敵な場所へ連れて行って上げるよ」

「素敵な場所って何処なの?」

「それは着いてからのお楽しみだよ?」

そう言って、カイは笑みを浮かべた―。




※ 残り2話で完結です
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