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フレーベル家の事情 ③
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アゼリアは私達の子供として公表した矢先、義父は兼ねてから患っていた病気で他界した。代わりに後見人となった弁護士が私達を監視する事になったのだ。
私もダミアンもアゼリアに見向きもしなかった。元々私達の子供ではないし、結婚する為の手段でしかなかったからだ。しかし、優秀な子供に育てなくてはいけない。この子が6歳になるまでに頭の良い子にならなければ私は破滅だ。離婚されて行き場を失う。しかし、それはダミアンにとっても同じだった。だから私とダミアンは教育だけはしっかり受けさせた。
アゼリアはとても頭の良い子供だと言う事もアリスンから聞かされた。
成程…きっとアリスンの教育が良かったのだろう。それならもし私に本当の自分の子供が生まれたらアリスンに教育して貰おう。
そして、2年後…私はモニカを出産した。私はすぐにアゼリアからアリスンを奪い、教育係にした。さぞかし、頭の良い娘に育ってくれるに違いない…。
しかし、娘のモニカはどうしようもない位、頭が悪い娘に育っていった。
それと同時に湧き上がって来るアゼリアへの嫉妬。アゼリアは本当に頭が良かった。いくら勉強しても身につかなかった私やダミアンとは大違いだったし、馬鹿にされているようにも感じた。
本当はとっくに手放したかったが、世間には実の娘として公表していた。
だから手元に残し、徹底的に苛め抜いた。使用人たちがアゼリアを虐めているのも知っていたが、それを無視した。
愚かな私やダミアンはアゼリアが血の繋がらない娘だとばれているとは気付かなかったのだ。そしてダミアンが浮気をしていた事にすら。
そしてついにアゼリアはマルセル様に連れられて、この家を出て行った―。
****
「お母様…私退屈で死にそうだわ…社交界からの招待状も1通も来ないし、縁談の話も無いし…」
モニカが愛犬を膝の上に乗せながら言う。
「何を呑気な事を言ってるの?今だってマルセル様の件で時々警察が聞き込みに来ているって言うのに…」
刺繍をしながら、ジロリとモニカを睨み付けた。
本当に最近のモニカを見ていると、あまりの能天気さにイライラして来る。モニカは私以上に馬鹿だった。私が得意な刺繍すら全く出来ないのだから。頭が悪い上に、不器用なんて最悪だ。これだから世間にモニカを紹介出来ないのだ。
「あ~あ…マルセル様、タイプだったのにな~。もう一度私に会いに来てくれないかしら?」
「マルセル様はアゼリアに会いに来ていたとはっきり言ったでしょう?いい加減に目を覚ましなさい!それよりも痺れ薬を飲ませた家の娘と結婚する気になると思っているの?!」
「何よ!痺れ薬を入れたのはお母様でしょ!私じゃないわよ!」
「うるさい!この馬鹿娘!」
「馬鹿に生まれたのは親のせいよ!」
その時―
「た、大変ですっ!奥様!お、王室の…この国の王太子様がお見えになりました!どうしてもこの屋敷の主にお会いしたいと仰せです!」
長年勤めるこの屋敷の執事がノックもせずに飛び込んできた。
「え?!王太子様がっ?!確かこの間、帰国してきたのよね?22歳の若く、美しい方だって聞いてるわ!」
モニカが目の色を変えてソファから立ち上がり、はずみで犬が床に転がり落ちた。
「王太子様が…一体何故‥?」
呆然としているとモニカが言った。
「きっと、結婚相手を探しに来たのよ。何処かで私の噂を聞いて会いに来たのだわ!」
モニカの噂と言えば、馬鹿な娘という噂しか世間には伝わっていないはず…しかし、相手は王太子様。ひょっとすると馬鹿な娘を結婚相手にしたいのかもしれない。その方が扱いやすいのだろう。
「分ったわ!すぐに一番のもてなしの準備をして頂戴!最高級の茶葉にお菓子でおもてなしをするのよ。さ、モニカ。私達もドレスアップするわよ」
「はい、お母様!」
こうして私とモニカは衣裳部屋へと向かった。
この後…破滅が訪れる事も知らずに―。
私もダミアンもアゼリアに見向きもしなかった。元々私達の子供ではないし、結婚する為の手段でしかなかったからだ。しかし、優秀な子供に育てなくてはいけない。この子が6歳になるまでに頭の良い子にならなければ私は破滅だ。離婚されて行き場を失う。しかし、それはダミアンにとっても同じだった。だから私とダミアンは教育だけはしっかり受けさせた。
アゼリアはとても頭の良い子供だと言う事もアリスンから聞かされた。
成程…きっとアリスンの教育が良かったのだろう。それならもし私に本当の自分の子供が生まれたらアリスンに教育して貰おう。
そして、2年後…私はモニカを出産した。私はすぐにアゼリアからアリスンを奪い、教育係にした。さぞかし、頭の良い娘に育ってくれるに違いない…。
しかし、娘のモニカはどうしようもない位、頭が悪い娘に育っていった。
それと同時に湧き上がって来るアゼリアへの嫉妬。アゼリアは本当に頭が良かった。いくら勉強しても身につかなかった私やダミアンとは大違いだったし、馬鹿にされているようにも感じた。
本当はとっくに手放したかったが、世間には実の娘として公表していた。
だから手元に残し、徹底的に苛め抜いた。使用人たちがアゼリアを虐めているのも知っていたが、それを無視した。
愚かな私やダミアンはアゼリアが血の繋がらない娘だとばれているとは気付かなかったのだ。そしてダミアンが浮気をしていた事にすら。
そしてついにアゼリアはマルセル様に連れられて、この家を出て行った―。
****
「お母様…私退屈で死にそうだわ…社交界からの招待状も1通も来ないし、縁談の話も無いし…」
モニカが愛犬を膝の上に乗せながら言う。
「何を呑気な事を言ってるの?今だってマルセル様の件で時々警察が聞き込みに来ているって言うのに…」
刺繍をしながら、ジロリとモニカを睨み付けた。
本当に最近のモニカを見ていると、あまりの能天気さにイライラして来る。モニカは私以上に馬鹿だった。私が得意な刺繍すら全く出来ないのだから。頭が悪い上に、不器用なんて最悪だ。これだから世間にモニカを紹介出来ないのだ。
「あ~あ…マルセル様、タイプだったのにな~。もう一度私に会いに来てくれないかしら?」
「マルセル様はアゼリアに会いに来ていたとはっきり言ったでしょう?いい加減に目を覚ましなさい!それよりも痺れ薬を飲ませた家の娘と結婚する気になると思っているの?!」
「何よ!痺れ薬を入れたのはお母様でしょ!私じゃないわよ!」
「うるさい!この馬鹿娘!」
「馬鹿に生まれたのは親のせいよ!」
その時―
「た、大変ですっ!奥様!お、王室の…この国の王太子様がお見えになりました!どうしてもこの屋敷の主にお会いしたいと仰せです!」
長年勤めるこの屋敷の執事がノックもせずに飛び込んできた。
「え?!王太子様がっ?!確かこの間、帰国してきたのよね?22歳の若く、美しい方だって聞いてるわ!」
モニカが目の色を変えてソファから立ち上がり、はずみで犬が床に転がり落ちた。
「王太子様が…一体何故‥?」
呆然としているとモニカが言った。
「きっと、結婚相手を探しに来たのよ。何処かで私の噂を聞いて会いに来たのだわ!」
モニカの噂と言えば、馬鹿な娘という噂しか世間には伝わっていないはず…しかし、相手は王太子様。ひょっとすると馬鹿な娘を結婚相手にしたいのかもしれない。その方が扱いやすいのだろう。
「分ったわ!すぐに一番のもてなしの準備をして頂戴!最高級の茶葉にお菓子でおもてなしをするのよ。さ、モニカ。私達もドレスアップするわよ」
「はい、お母様!」
こうして私とモニカは衣裳部屋へと向かった。
この後…破滅が訪れる事も知らずに―。
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