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第18話 話が通じない男
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「兎に角…私の魅力の話はいいですから、まずはアルトと私の婚約破棄問題について相談しませんか?」
おでこに手をやり、ため息をつきながらトビーに言った。
「おい、別に俺はお前の魅力の話なんかしていないぞ?まぁそんな話はどうだっていいが…一番良い方法はお前が婚約者の心をビクトリアから奪えばいいだけの話だろう?婚約者がお前の事を好きになれば全て丸く収まるじゃないか。いいか?お前とアルトが婚約破棄を取り消せば、ビクトリアは自動的に振られる事になる。そして俺は振られて傷心のビクトリアにさり気なく近付き、慰めてやる。そうするとビクトリアは俺の魅力に気付き、2人は晴れて恋人同士になる…誰もが笑顔で皆が幸せになれる。そうは思わないか?」
「は…?何ですか…それ…?ふざけないで下さいよっ!」
何て身勝手な言い分なのだろう。私は相手が上級生である事も忘れて声を荒げてしまった。
「別にふざけてなんかいない。俺はいつだって大真面目だ」
「真面目に話しているのなら、尚更質が悪いですね。それって結局全て私に丸投げって事じゃないですか。そもそもアルトが私に関心を寄せてくれていれば…ビクトリアさんの事を好きになる筈ないじゃありませんか…」
自分で言ってて悲しくなってきた。
「だから、お前が自分の魅力を上げて婚約者の心を取り戻せばいいだろう?」
駄目だ。この人はどうやら全く話が通じないらしい。
「…だったらもういいです…。私、これからアルトの所へ行って婚約破棄されてきます。失礼しました」
「え?何だって?」
トビーが目を見開いて私を見るも、お構いなしに背を向けて歩き出そうとした時―。
「おいっ!ちょっと待てっ!」
突然腕が伸びて来て私はトビーに羽交い絞めにされてしまった。
「な、何するんですかっ?!く、苦しい…は、離して下さいっ!」
じたばたもがくも私とトビーでは身長差がありすぎるし、所詮男の力に敵うはずが無い。
「ふざけるなよっ!お前っ!婚約破棄を受け入れるだと?冗談じゃないっ!そんな事絶対にさせてたまるかっ!」
「だ、だったらご自分でも努力されたらどうですかっ?!」
「え?努力…?努力ってどんな努力だよ」
ようやくトビーは手を緩めてくれたので、その隙にササッと距離を取ると私は言った。
「ええ、そうです。まずビクトリアさんがアルトにフラれたところをトビーさんが慰める…というところから、そもそも間違いです。いいですか?今からビクトリアさんの理想の男性になれるように努力するべきなのです。そうは思いませんか?」
「…確かにお前の言う事は一理あるな…。だがビクトリアの理想の男性って…どんなタイプなんだ?」
首をひねるトビーに言った。
「そんなの決まっているじゃありませんか。アルトのようなタイプが理想なのですよ。だから今…2人は恋人同士で…」
言っている傍から再び悲しみがじわじわこみあげて来て涙が滲んでくる。
「あーっ!また、お前はそうやって泣くっ!面倒くさい奴だな。もう…」
「だ、だからそういうデリカシーの無い所が…。ウグッ。駄目なんじゃないですか…グスッグスッ。こ、こういう時は…黙ってハンカチを差し出して…あ、相手が落ち着いた頃を見計らって…話を聞いてあげるものじゃないですか…?」
「成程…ふむふむ。それで…?」
「あ、後は…」
こうして私は泣きながらトビーに女性の扱い方のアドバイスを行う羽目になるのだった―。
おでこに手をやり、ため息をつきながらトビーに言った。
「おい、別に俺はお前の魅力の話なんかしていないぞ?まぁそんな話はどうだっていいが…一番良い方法はお前が婚約者の心をビクトリアから奪えばいいだけの話だろう?婚約者がお前の事を好きになれば全て丸く収まるじゃないか。いいか?お前とアルトが婚約破棄を取り消せば、ビクトリアは自動的に振られる事になる。そして俺は振られて傷心のビクトリアにさり気なく近付き、慰めてやる。そうするとビクトリアは俺の魅力に気付き、2人は晴れて恋人同士になる…誰もが笑顔で皆が幸せになれる。そうは思わないか?」
「は…?何ですか…それ…?ふざけないで下さいよっ!」
何て身勝手な言い分なのだろう。私は相手が上級生である事も忘れて声を荒げてしまった。
「別にふざけてなんかいない。俺はいつだって大真面目だ」
「真面目に話しているのなら、尚更質が悪いですね。それって結局全て私に丸投げって事じゃないですか。そもそもアルトが私に関心を寄せてくれていれば…ビクトリアさんの事を好きになる筈ないじゃありませんか…」
自分で言ってて悲しくなってきた。
「だから、お前が自分の魅力を上げて婚約者の心を取り戻せばいいだろう?」
駄目だ。この人はどうやら全く話が通じないらしい。
「…だったらもういいです…。私、これからアルトの所へ行って婚約破棄されてきます。失礼しました」
「え?何だって?」
トビーが目を見開いて私を見るも、お構いなしに背を向けて歩き出そうとした時―。
「おいっ!ちょっと待てっ!」
突然腕が伸びて来て私はトビーに羽交い絞めにされてしまった。
「な、何するんですかっ?!く、苦しい…は、離して下さいっ!」
じたばたもがくも私とトビーでは身長差がありすぎるし、所詮男の力に敵うはずが無い。
「ふざけるなよっ!お前っ!婚約破棄を受け入れるだと?冗談じゃないっ!そんな事絶対にさせてたまるかっ!」
「だ、だったらご自分でも努力されたらどうですかっ?!」
「え?努力…?努力ってどんな努力だよ」
ようやくトビーは手を緩めてくれたので、その隙にササッと距離を取ると私は言った。
「ええ、そうです。まずビクトリアさんがアルトにフラれたところをトビーさんが慰める…というところから、そもそも間違いです。いいですか?今からビクトリアさんの理想の男性になれるように努力するべきなのです。そうは思いませんか?」
「…確かにお前の言う事は一理あるな…。だがビクトリアの理想の男性って…どんなタイプなんだ?」
首をひねるトビーに言った。
「そんなの決まっているじゃありませんか。アルトのようなタイプが理想なのですよ。だから今…2人は恋人同士で…」
言っている傍から再び悲しみがじわじわこみあげて来て涙が滲んでくる。
「あーっ!また、お前はそうやって泣くっ!面倒くさい奴だな。もう…」
「だ、だからそういうデリカシーの無い所が…。ウグッ。駄目なんじゃないですか…グスッグスッ。こ、こういう時は…黙ってハンカチを差し出して…あ、相手が落ち着いた頃を見計らって…話を聞いてあげるものじゃないですか…?」
「成程…ふむふむ。それで…?」
「あ、後は…」
こうして私は泣きながらトビーに女性の扱い方のアドバイスを行う羽目になるのだった―。
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