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第88話 盛り上がる2人
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「あ、面会が終わったのですね?」
面会室を出て、受付の前を通ると先程私を対応してくれた警察官が声を掛けてきた。
「はい、元夫と話をしてきました。一体どれ位の刑になるのでしょうね?元夫は私が保釈金を支払いに来たと思っていたようですが…」
「そうですね~。すみません、私はまだ下っ端なのでその辺りの話は何も知らないので…」
若い警察官は申し訳なさ気に言う。
「それで義母と義父はどうなったのでしょう?」
「ああ、その2人でしたら借金相手に返済するあてが全く無いという事で、相手の方のお屋敷で使用人として無給で一生働かされる事で手を売ったらしいですね。…これもここだけの話ですよ?貴方が囚人の元妻という事でお話させて頂いているのですから」
警察官は資料をパラパラめくりながら言う。
「えっ?!そうなのですかっ?!」
何と、あの見栄っ張りで強欲で、気位ばかり高い義父と義母が使用人として一生無給で働かされる事になるとは…!
「なんて、いい気味なの…」
「え?何かおっしゃいましたか?」
警察官が尋ねてくる。
「いえ、何でもありません。どうも教えて頂き、ありがとうございました。それでは私はここで失礼致します」
頭を下げると、私はウキウキした気持ちで警察署を後にした。フフフ…それにしても何て気分が良いのだろう。ラファエルは逮捕されるし、義母と義父は使用人として生涯無給で働かされる…。
「これでやっと無念を晴らしてあげられたわ」
ウキウキしながら私は言い…ピタリと足を止めた。
無念を晴らしてあげられた…?
一体誰の…?
こで何故かふと、ほんの少しだけ違和感を感じた。
「まぁ、別に構わないけどね」
そして私はモンド伯爵家を目指した―。
****
「ただいま」
屋敷へ戻るとアネットがエントランスの掃除をしていた。
「あ、お帰りなさい。ゲルダさん。…どうしたんです?随分ご機嫌そうですけど…?」
私がニコニコ笑顔で戻ってきたからだろう。不思議そうな顔で私を見る。
「ええ。これが喜ばずして何というの?実はね、警察署に収監されているラファエルに面会に行ってきたのよ」
「え?!な、何故アイツの所へ行ったのですかっ?!」
アネットも相当ラファエルに恨みが溜まっていたのだろう。名前を言う代わりにアイツ呼ばわりをするほどなのだから。
「ええ、今朝ジョシュアさんに聞いたのだけど…ついにノイマン家の屋敷が売りに出されるらしいのよ。それで私の家からの支援金で散々贅沢な買い物をしてきたから、まだその財産が残っているかどうか確認しに行ったのよ」
尤も無様な姿のラファエルを拝んで見たい気持ちもあったからである。でもまさか本当に警察に収監されていたとは…ウェルナー侯爵の本気度がうかがえる。
「それで?アイツどんな様子でしたか?」
掃除の手を止めてアネットが食いついてきた。
「ええ、それはもう見るも無様な様子だったわ…聞いてちょうだいよ。ラファエルったら無精髭なんか生やしていたのよ~ヨレヨレのシャツにサスペンダー付きのズボンを履かされて…」
「ええ~何ですかそれ?無様なものですね~笑っちゃいます」
アネットは楽しそうに話を聞いてくる。
「それにね、ラファエルの両親は借金返済の当てが無い為、借金相手の屋敷で一生無給で働かされることが決まっているらしいのよ」
「いい気味です!散々贅沢してきたのですから…バチがあたったのですよ、バチがっ!」
こうして、私とアネットはノイマン家の話で盛り上がるのだった―。
面会室を出て、受付の前を通ると先程私を対応してくれた警察官が声を掛けてきた。
「はい、元夫と話をしてきました。一体どれ位の刑になるのでしょうね?元夫は私が保釈金を支払いに来たと思っていたようですが…」
「そうですね~。すみません、私はまだ下っ端なのでその辺りの話は何も知らないので…」
若い警察官は申し訳なさ気に言う。
「それで義母と義父はどうなったのでしょう?」
「ああ、その2人でしたら借金相手に返済するあてが全く無いという事で、相手の方のお屋敷で使用人として無給で一生働かされる事で手を売ったらしいですね。…これもここだけの話ですよ?貴方が囚人の元妻という事でお話させて頂いているのですから」
警察官は資料をパラパラめくりながら言う。
「えっ?!そうなのですかっ?!」
何と、あの見栄っ張りで強欲で、気位ばかり高い義父と義母が使用人として一生無給で働かされる事になるとは…!
「なんて、いい気味なの…」
「え?何かおっしゃいましたか?」
警察官が尋ねてくる。
「いえ、何でもありません。どうも教えて頂き、ありがとうございました。それでは私はここで失礼致します」
頭を下げると、私はウキウキした気持ちで警察署を後にした。フフフ…それにしても何て気分が良いのだろう。ラファエルは逮捕されるし、義母と義父は使用人として生涯無給で働かされる…。
「これでやっと無念を晴らしてあげられたわ」
ウキウキしながら私は言い…ピタリと足を止めた。
無念を晴らしてあげられた…?
一体誰の…?
こで何故かふと、ほんの少しだけ違和感を感じた。
「まぁ、別に構わないけどね」
そして私はモンド伯爵家を目指した―。
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「ただいま」
屋敷へ戻るとアネットがエントランスの掃除をしていた。
「あ、お帰りなさい。ゲルダさん。…どうしたんです?随分ご機嫌そうですけど…?」
私がニコニコ笑顔で戻ってきたからだろう。不思議そうな顔で私を見る。
「ええ。これが喜ばずして何というの?実はね、警察署に収監されているラファエルに面会に行ってきたのよ」
「え?!な、何故アイツの所へ行ったのですかっ?!」
アネットも相当ラファエルに恨みが溜まっていたのだろう。名前を言う代わりにアイツ呼ばわりをするほどなのだから。
「ええ、今朝ジョシュアさんに聞いたのだけど…ついにノイマン家の屋敷が売りに出されるらしいのよ。それで私の家からの支援金で散々贅沢な買い物をしてきたから、まだその財産が残っているかどうか確認しに行ったのよ」
尤も無様な姿のラファエルを拝んで見たい気持ちもあったからである。でもまさか本当に警察に収監されていたとは…ウェルナー侯爵の本気度がうかがえる。
「それで?アイツどんな様子でしたか?」
掃除の手を止めてアネットが食いついてきた。
「ええ、それはもう見るも無様な様子だったわ…聞いてちょうだいよ。ラファエルったら無精髭なんか生やしていたのよ~ヨレヨレのシャツにサスペンダー付きのズボンを履かされて…」
「ええ~何ですかそれ?無様なものですね~笑っちゃいます」
アネットは楽しそうに話を聞いてくる。
「それにね、ラファエルの両親は借金返済の当てが無い為、借金相手の屋敷で一生無給で働かされることが決まっているらしいのよ」
「いい気味です!散々贅沢してきたのですから…バチがあたったのですよ、バチがっ!」
こうして、私とアネットはノイマン家の話で盛り上がるのだった―。
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