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第6章 12 2番目の婚約候補者
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え・・・?父は今一体何と言ったのだろう?第2王子アンソニー様との婚約・・?第一私は以前自分が生きた世界では第2皇子とは会ったことすらないのに・・?
「お父様・・・その、第2王子アンソニー様とは・・一体おいくつなのでしょうか?」
私は声を震わせながら尋ねた。
「アンソニー様は・・・今年8歳になられたばかりなのだ・・・。アイリス、お前とは10歳差がある・・・。」
グラリ。
あまりの衝撃的な話で私は眩暈を起こし、ソファの上に倒れこんでしまった。
「アイリスッ!大丈夫かっ?!しっかりしなしさいっ!」
父が青ざめて駆け寄って来ると、私を抱き起してくれた。
「アイリス・・・。」
父は心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「お父様・・・。その話・・・お断りする事は出来ないのですか・・?」
「いや・・それは無理な話だ・・・。」
「何故ですかっ?!」
私は父の袖にしがみつくと必死で尋ねた。
「もし・・この話を断ればウィンザード家は・・・軍を率いてこの都市を攻めると言っているのだ。」
「・・・!そ、そんな・・・・っ!」
「でも・・・でも、まだ望みはある・・・。アンソニー様はまだ8歳だ。陛下はまだアンソニー様が幼いという理由で・・正式に婚約発表をするにはまだ後10年は発表をするつもりはないそうだ。だから我々はその間にウィンザード家の言いなりになる振りをして・・いずれはどこかで反旗を翻せるように力を貯めておくつもりだ。第一、お前とアンソニー様では年も違い過ぎるし・・とりあえず今は仮婚約と言う形に決定したのだよ。」
「お・・・お父様・・・。」
そんな・・・。いずれは反旗を翻す?それでは70年前と同じ歴史をたどってしまう事になる・・。
「すまない。アイリス・・・。お前ばかりいつも犠牲になってしまって・・・。それにしても・・・何故陛下は我らイリヤ家に固執するのだろう?他にも婚約者候補なら隣国の姫君だっているのに・・・。」
父は頭を押さえながらため息をついた。そう・・父はフリードリッヒ3世の本当の狙いを知らない・・・。公爵家であるイリヤ家に固執しているのではなく・・私自身に固執していると言う事を・・・。でも、後10年は猶予があると言うのなら・・その間にウィンザード家にかかっている『エルトリアの呪い』とフリードリッヒ3世にとりついている悪魔を引き剥がす方法が見つかれば・・何とかなるかもしれない。
その為には何としてもオスカーをフリードリッヒ3世に引き渡すわけにはいかない。
「お父様・・・オスカー様は今酷い傷を負っているのです。なのでどうか出て行かせる等恐ろしいことを言わないで下さい。」
私は父に懇願した。このままオスカーを引き渡せば・・・彼は用済みとして処理されてしまうかもしれない。
「駄目だ。アイリス。たとえお前の頼みでも・・それだけは聞き入れる事は出来ない。」
父はきっぱりと言い切った。・・・もうこれ以上頼んでも恐らくは無駄だろう。
「分かりました・・・。なら、私が・・・直接オスカー様に伝えに行きます・・。」
ソファから立ち上ると私は父に言った。
「ああ・・・そうしてくれ。きっとお前の話なら・・・オスカー様もおとなしく聞き入れてくれるだろうからな・・・。こちらは別にオスカー様を引き渡すつもりはないのだ。ただ静かにイリヤ家から去ってもらえるだけでいいのだから。」
父はようやく少しだけ口元に笑みを浮かべると言った。
「はい・・・。ではオスカー様のもとへ参ります。失礼いたします。」
父に頭を下げ、部屋を後にすると私は速足でオスカーが眠っている救護室へと向かった―。
「お父様・・・その、第2王子アンソニー様とは・・一体おいくつなのでしょうか?」
私は声を震わせながら尋ねた。
「アンソニー様は・・・今年8歳になられたばかりなのだ・・・。アイリス、お前とは10歳差がある・・・。」
グラリ。
あまりの衝撃的な話で私は眩暈を起こし、ソファの上に倒れこんでしまった。
「アイリスッ!大丈夫かっ?!しっかりしなしさいっ!」
父が青ざめて駆け寄って来ると、私を抱き起してくれた。
「アイリス・・・。」
父は心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「お父様・・・。その話・・・お断りする事は出来ないのですか・・?」
「いや・・それは無理な話だ・・・。」
「何故ですかっ?!」
私は父の袖にしがみつくと必死で尋ねた。
「もし・・この話を断ればウィンザード家は・・・軍を率いてこの都市を攻めると言っているのだ。」
「・・・!そ、そんな・・・・っ!」
「でも・・・でも、まだ望みはある・・・。アンソニー様はまだ8歳だ。陛下はまだアンソニー様が幼いという理由で・・正式に婚約発表をするにはまだ後10年は発表をするつもりはないそうだ。だから我々はその間にウィンザード家の言いなりになる振りをして・・いずれはどこかで反旗を翻せるように力を貯めておくつもりだ。第一、お前とアンソニー様では年も違い過ぎるし・・とりあえず今は仮婚約と言う形に決定したのだよ。」
「お・・・お父様・・・。」
そんな・・・。いずれは反旗を翻す?それでは70年前と同じ歴史をたどってしまう事になる・・。
「すまない。アイリス・・・。お前ばかりいつも犠牲になってしまって・・・。それにしても・・・何故陛下は我らイリヤ家に固執するのだろう?他にも婚約者候補なら隣国の姫君だっているのに・・・。」
父は頭を押さえながらため息をついた。そう・・父はフリードリッヒ3世の本当の狙いを知らない・・・。公爵家であるイリヤ家に固執しているのではなく・・私自身に固執していると言う事を・・・。でも、後10年は猶予があると言うのなら・・その間にウィンザード家にかかっている『エルトリアの呪い』とフリードリッヒ3世にとりついている悪魔を引き剥がす方法が見つかれば・・何とかなるかもしれない。
その為には何としてもオスカーをフリードリッヒ3世に引き渡すわけにはいかない。
「お父様・・・オスカー様は今酷い傷を負っているのです。なのでどうか出て行かせる等恐ろしいことを言わないで下さい。」
私は父に懇願した。このままオスカーを引き渡せば・・・彼は用済みとして処理されてしまうかもしれない。
「駄目だ。アイリス。たとえお前の頼みでも・・それだけは聞き入れる事は出来ない。」
父はきっぱりと言い切った。・・・もうこれ以上頼んでも恐らくは無駄だろう。
「分かりました・・・。なら、私が・・・直接オスカー様に伝えに行きます・・。」
ソファから立ち上ると私は父に言った。
「ああ・・・そうしてくれ。きっとお前の話なら・・・オスカー様もおとなしく聞き入れてくれるだろうからな・・・。こちらは別にオスカー様を引き渡すつもりはないのだ。ただ静かにイリヤ家から去ってもらえるだけでいいのだから。」
父はようやく少しだけ口元に笑みを浮かべると言った。
「はい・・・。ではオスカー様のもとへ参ります。失礼いたします。」
父に頭を下げ、部屋を後にすると私は速足でオスカーが眠っている救護室へと向かった―。
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