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第4章 5 王宮付き神官シモン
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「イリヤ様・・・。まさかこのように酷い傷の状態で・・・今まで歩いて堪えていたのですか?」
「ええ・・・シモン様。」
するとシモンは私を見つめながら言った。
「イリヤ様。私に様付けは必要ありません。どうぞシモンとお呼び下さい。」
「そんなに・・・アイリスの傷の具合は酷いのか?」
オスカーが心配気にシモンに尋ねる。
「ええ・・・よくここまで歩いてこられたかと思います。」
シモンの表情を見る限り・・・私の両足の傷は相当重症なのかもしれない。でも、本当にこの程度の傷・・・大丈夫なのに。だってこれ以上の酷い傷を私は過去に負わされているのだから。しかも皮肉なことに今、目の前にいるオスカーによって・・。
「アイリス・・・。」
すると突然オスカーが私の頭の後ろに手を回すと、そのまま自分の胸に押し付けてきた。
「すまなかった・・・俺がお前に怪我を負わせたようなものだ。もっと早く気づいてやれれば・・・。」
オスカーは肩を震わせて謝罪してきた。なので私は言った。
「いいえ。そんな事気になさらないで下さい。靴を脱いでいた事はオスカー様はご存じなかったのですから、オスカー様の責任ではありません。」
「しかし・・・。」
そこをシモンが声を掛けてきた。
「お話は後にした方がよろしいでしょう。今は一刻も早く傷の手当てをしなければ。」
「ああ、そうだな。どうだ?すぐに治せそうか?」
「ええ・・大丈夫です。お任せください。」
シモンは言うと、私の足の裏に手を添えた。ズキリとする痛みに思わず眉をしかめてしまう。
「イリヤ様。申し訳ございません。痛むでしょうが・・・少しだけ我慢をして下さい・・。」
すると、不思議な現象が起こり始めた。シモンの両腕が金色に輝きだしたかと思えば、そのまばゆい光が徐々に私の足の裏に吸い込まれてゆき、徐々に痛みが薄れていくのが分かった。
ひょっとして・・これが神官の祈りの力というものなのだろうか・・・?
「はい、もう大丈夫でございます。」
シモンは顔を上げて私を見ると、そっと身体を離した。私は足裏を確認すると、確かに傷跡は綺麗に消え去り、出血の跡すら残されていない。
「ありがとうございます。それにしても・・本当に凄いです。何て素晴らしい力なのでしょう。」
私はシモンに言うと、突如オスカーが間に割って入って来た。
「どれ、俺にも傷の具合を見せてみろ。」
突然オスカーが私の目の前にしゃがむと足首を掴んで自分の眼前に私の足の裏を向けた。危うくその勢いで後ろに倒れそうになってしまった。
「キャアッ!」
い、いきなり何て事を・・・っ!
しかし、オスカーはそれに構わずにじっくり私の足の裏を見て傷が綺麗に消えているのを確認し・・・初めて自分が何をしていたのか気付き、顔を真っ赤に染めた。
「あ・・!す、すまんっ!つい・・お前の傷の状態が心配になって・・・悪かった。」
オスカーはすぐに手を放すと謝罪すると、シモンの方を向くと声を掛けた。
「シモン、助かった。流石は元王宮付きの神官だな。」
え・・?元王宮付きの神官・・?それでは彼は元々は王宮の教会の神官だったのだろうか?先程の彼らといい、シモンと言い・・この集落は一体・・・・?
しかし私の疑問をよそにどんどん話は進んでいく。
「シモン。時間が無い。すぐに馬と・・アイリスの足に合うサイズの靴を用意してくれ。」
「はい、承知致しました。」
シモンは身を翻すと、部屋の中に置かれた本棚に触れた。するとその本棚がグルリと回転すると、そこに隠し扉が出現した。
「さあ、オスカー様。イリヤ様。早くこちらへ。」
シモンはドアを開け、中へ入ると言った。
「よし、行くぞ。アイリス。」
オスカーは再び私を抱き上げると、シモンの後に続いた―。
「ええ・・・シモン様。」
するとシモンは私を見つめながら言った。
「イリヤ様。私に様付けは必要ありません。どうぞシモンとお呼び下さい。」
「そんなに・・・アイリスの傷の具合は酷いのか?」
オスカーが心配気にシモンに尋ねる。
「ええ・・・よくここまで歩いてこられたかと思います。」
シモンの表情を見る限り・・・私の両足の傷は相当重症なのかもしれない。でも、本当にこの程度の傷・・・大丈夫なのに。だってこれ以上の酷い傷を私は過去に負わされているのだから。しかも皮肉なことに今、目の前にいるオスカーによって・・。
「アイリス・・・。」
すると突然オスカーが私の頭の後ろに手を回すと、そのまま自分の胸に押し付けてきた。
「すまなかった・・・俺がお前に怪我を負わせたようなものだ。もっと早く気づいてやれれば・・・。」
オスカーは肩を震わせて謝罪してきた。なので私は言った。
「いいえ。そんな事気になさらないで下さい。靴を脱いでいた事はオスカー様はご存じなかったのですから、オスカー様の責任ではありません。」
「しかし・・・。」
そこをシモンが声を掛けてきた。
「お話は後にした方がよろしいでしょう。今は一刻も早く傷の手当てをしなければ。」
「ああ、そうだな。どうだ?すぐに治せそうか?」
「ええ・・大丈夫です。お任せください。」
シモンは言うと、私の足の裏に手を添えた。ズキリとする痛みに思わず眉をしかめてしまう。
「イリヤ様。申し訳ございません。痛むでしょうが・・・少しだけ我慢をして下さい・・。」
すると、不思議な現象が起こり始めた。シモンの両腕が金色に輝きだしたかと思えば、そのまばゆい光が徐々に私の足の裏に吸い込まれてゆき、徐々に痛みが薄れていくのが分かった。
ひょっとして・・これが神官の祈りの力というものなのだろうか・・・?
「はい、もう大丈夫でございます。」
シモンは顔を上げて私を見ると、そっと身体を離した。私は足裏を確認すると、確かに傷跡は綺麗に消え去り、出血の跡すら残されていない。
「ありがとうございます。それにしても・・本当に凄いです。何て素晴らしい力なのでしょう。」
私はシモンに言うと、突如オスカーが間に割って入って来た。
「どれ、俺にも傷の具合を見せてみろ。」
突然オスカーが私の目の前にしゃがむと足首を掴んで自分の眼前に私の足の裏を向けた。危うくその勢いで後ろに倒れそうになってしまった。
「キャアッ!」
い、いきなり何て事を・・・っ!
しかし、オスカーはそれに構わずにじっくり私の足の裏を見て傷が綺麗に消えているのを確認し・・・初めて自分が何をしていたのか気付き、顔を真っ赤に染めた。
「あ・・!す、すまんっ!つい・・お前の傷の状態が心配になって・・・悪かった。」
オスカーはすぐに手を放すと謝罪すると、シモンの方を向くと声を掛けた。
「シモン、助かった。流石は元王宮付きの神官だな。」
え・・?元王宮付きの神官・・?それでは彼は元々は王宮の教会の神官だったのだろうか?先程の彼らといい、シモンと言い・・この集落は一体・・・・?
しかし私の疑問をよそにどんどん話は進んでいく。
「シモン。時間が無い。すぐに馬と・・アイリスの足に合うサイズの靴を用意してくれ。」
「はい、承知致しました。」
シモンは身を翻すと、部屋の中に置かれた本棚に触れた。するとその本棚がグルリと回転すると、そこに隠し扉が出現した。
「さあ、オスカー様。イリヤ様。早くこちらへ。」
シモンはドアを開け、中へ入ると言った。
「よし、行くぞ。アイリス。」
オスカーは再び私を抱き上げると、シモンの後に続いた―。
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