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第3章 10 もう一人のオスカー
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グオオオオオオオッ!!
怖ろしい咆哮は物凄い速さでここへ近づいてくるのが分かった。
こ・・怖い・・何が来ると言うの・・?オスカーは何から逃げろと言ってるの・・?そして目の前にいるオスカーは頭を両手で抱え込んで何やら苦しんでいるように見える。
「オ・・オスカー様っ!」
私はたまらず、大声でオスカーを呼んだ。すると同時に部屋の中に2匹の大きな真っ
黒な獣が風のように飛び込んでくると、オスカーの両脇でピタリと止まった。
な・・・・何・・・あの獣は・・犬・・・?
その2匹の犬は恐ろしく大きな姿をしていた。大きな口からは鋭い歯が見え、だらりと伸びた舌からは涎がしたたっている。アーモンド型の目は金色に光り、私を捕らえて離さない。
「「ガルルルル・・・・。」」
2匹の犬は頭を低く下げ、今にも飛びかかりそうな態勢で低く唸っている。
「フフフ・・・・。」
すると、あれ程苦しんでいたはずのオスカーが何故か突然笑い始めた。
「オスカー様・・・?ど・・・どうされたのですか・・・。」
するとオスカーはゆらりと顔を上げた。その瞳は金色に光り・・・今までに一度も見たことが無い程の恐ろしい雰囲気を身にまとっている。
「アイリス・イリヤ・・・。お前は・・犬が苦手だったよな・・・?こいつらで犬に慣れてみると良い・・・。アルス・・・カルロス・・・お前等の出番だ・・あの女に飛びかかれ・・・。」
すると、2匹の犬の目が怪しく光った。
「「ガウッ!!!」」
2匹の犬は同時に私に飛びかかろうとした瞬間・・・。
「やめろーっ!!」
そこへドアから飛び込んできたのは・・・!
「オ・・・オスカー様ッ?!」
私は目を疑った。今、私に目に前にいるのはオスカー。では・・・・あそこに現れたオスカーは一体・・・?
「チッ!!」
目の前のオスカーは短く舌打ちすると言った。
「ターゲット変更だ。あの男を襲えっ!」
すると2匹の犬は方向転換し、入口にいたオスカー目がけて飛びかかって行く。
「ガウッ!!」
「グワウッ!!」
「オスカー様っ!!」
私は悲鳴をあげた。
「来いっ!!」
するとオスカーは腰に剣を差していたのか、鞘から引き抜くと最初に飛びかかって来た犬の首目がけて剣を振り下ろした。
ズバッ!!
鈍い音と共に、切られた犬はまるで塵のように掻き消えて行く。
「ガウウウッ!!」
更にもう一匹が襲い掛かり、オスカーの左腕を鋭い爪で引っかいた。
ザッ!!
鈍い音と共にオスカーの左腕から鮮血が飛ぶ。
「グッ!!」
オスカーの顔が苦痛に歪む。
「オスカー様っ!!」
オスカーは左腕を血で真っ赤に染めながらも剣を構えると、飛びかかって来た犬の大きく開けた口の中にそのまま剣を突き刺した。
すると先ほどと同様、犬は塵のように空気中に消え去ってしまった。
2匹の犬を撃退したオスカーは肩で荒い息を吐きながら壁に寄りかかり・・ずるずると床に崩れ落ちた。
「オスカー様っ!!」
私は駆け寄り、オスカーを抱き越した。途端に私の服がオスカーの血で真っ赤に染まる。
「ア・・アイリス・イリヤ・・ぶ、無事だったか・・・・?良かっ・・た・・。」
オスカーは荒い息を吐きながら、青ざめた顔で私を見て口元を緩めた。
「わ、私の事などはどうだっていいですっ!それよりも傷の手当てを・・・!」
すると、騒ぎを聞きつけたのか、バタバタとこちらへ向かって走ってくるいくつかの足音が聞こえてきた。
現れたのは3人の若者達である。服装を見る限りではこの王宮の兵士達だろうか?彼らはオスカーの頭を膝に乗せた私を見て、ハッとした顔を見せた。
「あ・・貴女様はもしや・・。」
しかし、今は彼らの質問に答えている場合ではない。
「は、早くオスカー様の治療をっ!酷い怪我を負っているのですっ!」
「わ、分かりましたっ!」
1人の兵士が言うと、オスカーを背中に抱え上げ、大急ぎで部屋の外へ駆けだして行った。そこをもう1人の兵士が後を追う。
残されたのは私と、一番年若く見える兵士だった。
「アイリス・イリヤ様ですね・・・。お召し物が血で汚れております。どうぞこちらへいらして下さい。」
兵士はうやうやしく頭を下げ、私を先導するかのように歩き始めた。
今の状況が全く分からない私は黙って彼の後に続いた―。
怖ろしい咆哮は物凄い速さでここへ近づいてくるのが分かった。
こ・・怖い・・何が来ると言うの・・?オスカーは何から逃げろと言ってるの・・?そして目の前にいるオスカーは頭を両手で抱え込んで何やら苦しんでいるように見える。
「オ・・オスカー様っ!」
私はたまらず、大声でオスカーを呼んだ。すると同時に部屋の中に2匹の大きな真っ
黒な獣が風のように飛び込んでくると、オスカーの両脇でピタリと止まった。
な・・・・何・・・あの獣は・・犬・・・?
その2匹の犬は恐ろしく大きな姿をしていた。大きな口からは鋭い歯が見え、だらりと伸びた舌からは涎がしたたっている。アーモンド型の目は金色に光り、私を捕らえて離さない。
「「ガルルルル・・・・。」」
2匹の犬は頭を低く下げ、今にも飛びかかりそうな態勢で低く唸っている。
「フフフ・・・・。」
すると、あれ程苦しんでいたはずのオスカーが何故か突然笑い始めた。
「オスカー様・・・?ど・・・どうされたのですか・・・。」
するとオスカーはゆらりと顔を上げた。その瞳は金色に光り・・・今までに一度も見たことが無い程の恐ろしい雰囲気を身にまとっている。
「アイリス・イリヤ・・・。お前は・・犬が苦手だったよな・・・?こいつらで犬に慣れてみると良い・・・。アルス・・・カルロス・・・お前等の出番だ・・あの女に飛びかかれ・・・。」
すると、2匹の犬の目が怪しく光った。
「「ガウッ!!!」」
2匹の犬は同時に私に飛びかかろうとした瞬間・・・。
「やめろーっ!!」
そこへドアから飛び込んできたのは・・・!
「オ・・・オスカー様ッ?!」
私は目を疑った。今、私に目に前にいるのはオスカー。では・・・・あそこに現れたオスカーは一体・・・?
「チッ!!」
目の前のオスカーは短く舌打ちすると言った。
「ターゲット変更だ。あの男を襲えっ!」
すると2匹の犬は方向転換し、入口にいたオスカー目がけて飛びかかって行く。
「ガウッ!!」
「グワウッ!!」
「オスカー様っ!!」
私は悲鳴をあげた。
「来いっ!!」
するとオスカーは腰に剣を差していたのか、鞘から引き抜くと最初に飛びかかって来た犬の首目がけて剣を振り下ろした。
ズバッ!!
鈍い音と共に、切られた犬はまるで塵のように掻き消えて行く。
「ガウウウッ!!」
更にもう一匹が襲い掛かり、オスカーの左腕を鋭い爪で引っかいた。
ザッ!!
鈍い音と共にオスカーの左腕から鮮血が飛ぶ。
「グッ!!」
オスカーの顔が苦痛に歪む。
「オスカー様っ!!」
オスカーは左腕を血で真っ赤に染めながらも剣を構えると、飛びかかって来た犬の大きく開けた口の中にそのまま剣を突き刺した。
すると先ほどと同様、犬は塵のように空気中に消え去ってしまった。
2匹の犬を撃退したオスカーは肩で荒い息を吐きながら壁に寄りかかり・・ずるずると床に崩れ落ちた。
「オスカー様っ!!」
私は駆け寄り、オスカーを抱き越した。途端に私の服がオスカーの血で真っ赤に染まる。
「ア・・アイリス・イリヤ・・ぶ、無事だったか・・・・?良かっ・・た・・。」
オスカーは荒い息を吐きながら、青ざめた顔で私を見て口元を緩めた。
「わ、私の事などはどうだっていいですっ!それよりも傷の手当てを・・・!」
すると、騒ぎを聞きつけたのか、バタバタとこちらへ向かって走ってくるいくつかの足音が聞こえてきた。
現れたのは3人の若者達である。服装を見る限りではこの王宮の兵士達だろうか?彼らはオスカーの頭を膝に乗せた私を見て、ハッとした顔を見せた。
「あ・・貴女様はもしや・・。」
しかし、今は彼らの質問に答えている場合ではない。
「は、早くオスカー様の治療をっ!酷い怪我を負っているのですっ!」
「わ、分かりましたっ!」
1人の兵士が言うと、オスカーを背中に抱え上げ、大急ぎで部屋の外へ駆けだして行った。そこをもう1人の兵士が後を追う。
残されたのは私と、一番年若く見える兵士だった。
「アイリス・イリヤ様ですね・・・。お召し物が血で汚れております。どうぞこちらへいらして下さい。」
兵士はうやうやしく頭を下げ、私を先導するかのように歩き始めた。
今の状況が全く分からない私は黙って彼の後に続いた―。
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