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第2章 8 入れ替わる立場
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オリエンテーションは2時間続いた。その後、昼休みを兼ねた休憩時間が2時間取られる事になった。
担任教師が教室を出て行くと、途端に学生達は騒がしくなった。周囲を見渡すと、既に友人同士のグループの輪が幾つも出来上がっており、レイフも親しい友人が出来たようで楽し気に何か話している。その時、レイフが私の視線に気づいたのか、こちらを見た。しかし、次の瞬間気まずそうにパッと視線を逸らせたのだ。
「・・・?」
その時になって私は気付いた。背後に人の気配があることに。慌てて振り向くとそこに立っていたのは他でも無い、オスカーだった。
「あ・・・オスカー様。」
慌てて椅子から立ち上がると、オスカーは言った。
「アイリス・イリヤ。行くぞ。」
そして私の左腕を掴むと、さっさと歩き始める。
「あ、あの・・・行くって、いったいどちらに・・?」
腕を掴まれながらチラリとタバサを見ると、彼女は歯を喰いしばるようにこちらを鋭い視線で睨み付けていた。
ああ・・・これでますます私はタバサに目を付けられてしまう事になるのね・・・。
心の中で思わずため息をつかずにはいられなかった―。
オスカーに連れて来られたのは学食だった。既に食堂には多くの学生たちが集まり、賑わいを見せている。私は唖然としていた。何故なら70年前・・・私は一度たりともオスカーと2人で昼休みを過ごした事等無かったからだ。たいてい彼はタバサと一緒に学食へ来ており、私はその姿を何度も見かけ・・・周囲がこそこそと私を見ながら噂をしているのを胸を痛めながら聞いていた。
「まあ・・・またタバサ様はオスカー様と一緒におられるわ。」
「本当・・・でもオスカー様もオスカー様だわ。アイリス様と言う正式な婚約者がいらっしゃるのに・・・。」
「ほんと・・・。私ならみじめでここにいられないわ・・・。」
等々・・・私にわざと聞こえよがしに彼女たちは悪口を言って・・・。
「アイリス・イリヤ。お前は何を食べる?」
その時、不意にオスカーが振り向きながら尋ねてきた。
「え?わ、私ですか?」
慌てて顔を上げると、オスカーが神妙そうな顔つきでじっと私を見つめてたが、突然私の顎をつまむと顔を自分の方へ向けさせた。
オスカーの端正に整った顔が眼前へと近づいてくる。
え?え?い、一体何を・・・?!
思わず戸惑っていると、まつ毛が触れそうな距離でピタリとオスカーは動きを止めると言った。
「まただ・・・。」
「え?」
「また・・・顔色が悪い・・・。」
オスカーは美しく整った眉をひそめながら言った。
「え?か、顔色・・・?」
その時―
「何をしておられるのですかっ?!オスカー様っ?!こ、公衆の面前で・・・!」
突然大きな声が起こり、振り向くとそこには怒りで顔を赤く染めたタバサの姿がそこにあった。
あ・・・あの言葉は・・・!
私は息を飲んだ。忘れもしない、タバサが今言ったあのセリフは70年前のまさにこの場所で私がオスカーとタバサの様子を見て、周りに聞こえよがしに皮肉を言われた事に我慢できずに、2人に叫んだ言葉だ。するとそれを聞いたオスカーが・・・!
私は慌ててオスカーを振り向くと、彼はタバサに負けず劣らず、顔を赤く染めて憤慨している。
この後の展開は・・・既に私は経験済みだ。
「オスカー様っ!」
私は慌ててオスカーにしがみつくと言った。それに驚いたのか、オスカーが私の方を見た。
「アイリス・イリヤ、どうした?」
「あ、あの・・・き、気分が悪くて・・・そ、外の空気を吸いに行きたいのですが・・。」
その時の私の顔色は余程青ざめていたのだろう。
「・・・・。」
オスカーは神妙そうな顔で私を見つめていたが・・・やがて言った。
「わ、分った。お前・・・本当に具合が悪そうだ。外へ行こう。」
そしてオスカーは私の肩に手を回すと、外へ歩き始めた―。
担任教師が教室を出て行くと、途端に学生達は騒がしくなった。周囲を見渡すと、既に友人同士のグループの輪が幾つも出来上がっており、レイフも親しい友人が出来たようで楽し気に何か話している。その時、レイフが私の視線に気づいたのか、こちらを見た。しかし、次の瞬間気まずそうにパッと視線を逸らせたのだ。
「・・・?」
その時になって私は気付いた。背後に人の気配があることに。慌てて振り向くとそこに立っていたのは他でも無い、オスカーだった。
「あ・・・オスカー様。」
慌てて椅子から立ち上がると、オスカーは言った。
「アイリス・イリヤ。行くぞ。」
そして私の左腕を掴むと、さっさと歩き始める。
「あ、あの・・・行くって、いったいどちらに・・?」
腕を掴まれながらチラリとタバサを見ると、彼女は歯を喰いしばるようにこちらを鋭い視線で睨み付けていた。
ああ・・・これでますます私はタバサに目を付けられてしまう事になるのね・・・。
心の中で思わずため息をつかずにはいられなかった―。
オスカーに連れて来られたのは学食だった。既に食堂には多くの学生たちが集まり、賑わいを見せている。私は唖然としていた。何故なら70年前・・・私は一度たりともオスカーと2人で昼休みを過ごした事等無かったからだ。たいてい彼はタバサと一緒に学食へ来ており、私はその姿を何度も見かけ・・・周囲がこそこそと私を見ながら噂をしているのを胸を痛めながら聞いていた。
「まあ・・・またタバサ様はオスカー様と一緒におられるわ。」
「本当・・・でもオスカー様もオスカー様だわ。アイリス様と言う正式な婚約者がいらっしゃるのに・・・。」
「ほんと・・・。私ならみじめでここにいられないわ・・・。」
等々・・・私にわざと聞こえよがしに彼女たちは悪口を言って・・・。
「アイリス・イリヤ。お前は何を食べる?」
その時、不意にオスカーが振り向きながら尋ねてきた。
「え?わ、私ですか?」
慌てて顔を上げると、オスカーが神妙そうな顔つきでじっと私を見つめてたが、突然私の顎をつまむと顔を自分の方へ向けさせた。
オスカーの端正に整った顔が眼前へと近づいてくる。
え?え?い、一体何を・・・?!
思わず戸惑っていると、まつ毛が触れそうな距離でピタリとオスカーは動きを止めると言った。
「まただ・・・。」
「え?」
「また・・・顔色が悪い・・・。」
オスカーは美しく整った眉をひそめながら言った。
「え?か、顔色・・・?」
その時―
「何をしておられるのですかっ?!オスカー様っ?!こ、公衆の面前で・・・!」
突然大きな声が起こり、振り向くとそこには怒りで顔を赤く染めたタバサの姿がそこにあった。
あ・・・あの言葉は・・・!
私は息を飲んだ。忘れもしない、タバサが今言ったあのセリフは70年前のまさにこの場所で私がオスカーとタバサの様子を見て、周りに聞こえよがしに皮肉を言われた事に我慢できずに、2人に叫んだ言葉だ。するとそれを聞いたオスカーが・・・!
私は慌ててオスカーを振り向くと、彼はタバサに負けず劣らず、顔を赤く染めて憤慨している。
この後の展開は・・・既に私は経験済みだ。
「オスカー様っ!」
私は慌ててオスカーにしがみつくと言った。それに驚いたのか、オスカーが私の方を見た。
「アイリス・イリヤ、どうした?」
「あ、あの・・・き、気分が悪くて・・・そ、外の空気を吸いに行きたいのですが・・。」
その時の私の顔色は余程青ざめていたのだろう。
「・・・・。」
オスカーは神妙そうな顔で私を見つめていたが・・・やがて言った。
「わ、分った。お前・・・本当に具合が悪そうだ。外へ行こう。」
そしてオスカーは私の肩に手を回すと、外へ歩き始めた―。
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