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第149話 義母の頼み
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「そんなことがあったのですか…」
私はセシルの顔を見た。
頭も包帯で巻かれたセシルは静かに眠りについている。体中を包帯で覆われたセシルは見ていて痛々しかった。
「それで、控室ではどんな話をされているのでしょう?」
母が義母に尋ねた。
「それが…」
何故か一瞬、義母はチラリと私を見ると重々しく口を開いた。
「コレット令嬢が…セシルと婚約を解消したいと訴えているのよ」
「え?何故ですか?」
母が怪訝そうに首をかしげる。
「ええ……。コレット令嬢は自分を責めているのよ。セシルが馬車事故に遭って大怪我をしたのは自分の責任だと言って。なので結婚する資格は無いのだと…」
「そうでしたか…」
私は義母と母の会話を黙って聞いていた。
コレット令嬢が婚約解消をしたい理由……それは恐らくセシルの馬車事故だけが原因では無いだろう。
セシルから愛されないのが分かっている結婚だから…解消したいのだろう。
「でも…何故その話に夫まで同席しているのでしょう?」
母の質問に義母が答えた。
「それがベルクール家からのたってのお願いだったのよ。第三者を交えて話をしたいと頼んできたからよ」
「まぁ…そんなことが……」
その時―。
「うぅ……」
病床のセシルが呻いた。
「セシル?!目が覚めたの?!」
けれど、セシルは無反応だ。
すると背後で義母が私に声を掛けてきた。
「時折、ああやって呻くことはあるのよ。それに…」
「エ…ルザ……」
セシルが私の名を口にした!
「貴女の名前を口にするの。……それでエルザを呼んだのよ…」
義母は涙声だった。
そして私に訴えてくる。
「お願いよ、エルザ。貴女が側にいてくれればセシルの目が覚めるかもしれないわ?だから貴女を呼んだのよ。ルークのお世話があって大変なのは分かっているけど……セシルの目が覚めるまで、ついてあげてくれないかしら?お願い!」
何と義母が私に頭を下げてきた。
「け、けれどそんな事をすれば益々世間で何を言われるか分かったものではありませんよ?第一、我が家からこの病院までは馬車で片道40分以上かかります。ルークの世話だってあるのに…通うなんてこと、到底無理ですわ」
母はこの提案が気に入らないのだろう。
必死になってやめさせようとしているのが手にとるように分かる。
「そのことなら心配しないで。病院の近くにホテルを手配するし、必要なら貴女が離れで暮らしていた時のメイドをつけてあげてもいいわ。それに世間の目を気にすることは無いわよ。いざとなったら……黙らせることだって出来るのだし」
義母はさらりと恐ろしいことを言ってのける。
「エルザ…どうするつもりなの……?」
母が心配そうな目で私を見つめる。
セシルには色々お世話になっているし、それに子供の頃からの大切な幼馴染だ。
「分かりました。私でお役に立てるのであれば…セシルに付き添います」
私は頷いた――。
私はセシルの顔を見た。
頭も包帯で巻かれたセシルは静かに眠りについている。体中を包帯で覆われたセシルは見ていて痛々しかった。
「それで、控室ではどんな話をされているのでしょう?」
母が義母に尋ねた。
「それが…」
何故か一瞬、義母はチラリと私を見ると重々しく口を開いた。
「コレット令嬢が…セシルと婚約を解消したいと訴えているのよ」
「え?何故ですか?」
母が怪訝そうに首をかしげる。
「ええ……。コレット令嬢は自分を責めているのよ。セシルが馬車事故に遭って大怪我をしたのは自分の責任だと言って。なので結婚する資格は無いのだと…」
「そうでしたか…」
私は義母と母の会話を黙って聞いていた。
コレット令嬢が婚約解消をしたい理由……それは恐らくセシルの馬車事故だけが原因では無いだろう。
セシルから愛されないのが分かっている結婚だから…解消したいのだろう。
「でも…何故その話に夫まで同席しているのでしょう?」
母の質問に義母が答えた。
「それがベルクール家からのたってのお願いだったのよ。第三者を交えて話をしたいと頼んできたからよ」
「まぁ…そんなことが……」
その時―。
「うぅ……」
病床のセシルが呻いた。
「セシル?!目が覚めたの?!」
けれど、セシルは無反応だ。
すると背後で義母が私に声を掛けてきた。
「時折、ああやって呻くことはあるのよ。それに…」
「エ…ルザ……」
セシルが私の名を口にした!
「貴女の名前を口にするの。……それでエルザを呼んだのよ…」
義母は涙声だった。
そして私に訴えてくる。
「お願いよ、エルザ。貴女が側にいてくれればセシルの目が覚めるかもしれないわ?だから貴女を呼んだのよ。ルークのお世話があって大変なのは分かっているけど……セシルの目が覚めるまで、ついてあげてくれないかしら?お願い!」
何と義母が私に頭を下げてきた。
「け、けれどそんな事をすれば益々世間で何を言われるか分かったものではありませんよ?第一、我が家からこの病院までは馬車で片道40分以上かかります。ルークの世話だってあるのに…通うなんてこと、到底無理ですわ」
母はこの提案が気に入らないのだろう。
必死になってやめさせようとしているのが手にとるように分かる。
「そのことなら心配しないで。病院の近くにホテルを手配するし、必要なら貴女が離れで暮らしていた時のメイドをつけてあげてもいいわ。それに世間の目を気にすることは無いわよ。いざとなったら……黙らせることだって出来るのだし」
義母はさらりと恐ろしいことを言ってのける。
「エルザ…どうするつもりなの……?」
母が心配そうな目で私を見つめる。
セシルには色々お世話になっているし、それに子供の頃からの大切な幼馴染だ。
「分かりました。私でお役に立てるのであれば…セシルに付き添います」
私は頷いた――。
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