挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

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第141話 お墓参り

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 途中、馬車の中でルークの授乳とおむつ交換を終えた後で再び馬車はフィリップが眠るお墓へ向って走り始めた。

「どうする?フィリップのお墓まではまだ到着までに時間がかかるけれど、どこかで食事でもしてから行くかい?」

父が私に尋ねてきた。

「…私はいいわ。あまり食欲が無くて」

先程のセシルとコレット令嬢の件が思いの外ショックだったので、食欲はどこかへ失せてしまった。

「ええ、私もあまりないわ」

母も同調した。

「そうだな。実は私も余り食欲が無くてね……ではフィリップのお墓参りが終わってから食事に行くことにしよう」

「ええ」
「そうね」

父の言葉に私と母が頷いた――。


****

 途中花屋に立ち寄り、白いカトレアの花束を買うと再び馬車は走り始めた。
郊外から30分ほど馬車を走らせていくと、やがて美しい街路樹の美しい閑静な町並みの景色が現れた。
どこまで長く続く1本道の先に、やがて美しい緑に囲まれた大きな教会が見えてきた。

「エルザ、あの教会がフィリップの眠るお墓がある教会だよ」

「あの教会が……」

アンバー家のお墓がある教会へ来るのは初めてだった。
何しろフィリップの葬儀はアンバー家が所有する礼拝堂で行われたからだ。

フィリップ……もうすぐ貴方に会いに行くわね。ルークを連れて……。

腕の中で眠るルークを胸に抱きしめると、じっと近づいてくる教会を見つめた――。



**

 教会の入り口前で馬車を降りると、私達家族3人はフィリップが埋葬されている墓地へと向った。

芝生が綺麗に敷かれた墓地に十字架のお墓が沢山建ち並んでいる。

フィリップのお墓の場所が分からない私は父の案内でお墓を目指した。


「ここだよ、フィリップのお墓は」

まだ真新しい墓標にはフィリップの名前が刻まれている。
私は母にルークを託し、白いカトレアの花束を置くと跪いた。

「フィリップ……。お参りに来るのが遅くなってしまってごめんなさい……」

そっと冷たいお墓に触れるとポツリと呟くと、手を組んでフィリップの為に祈りを捧げた。
今もフィリップのことを思い出すだけで胸が締め付けられそうな程苦しくなるし、名涙が出そうになってくる。

いつか、この悲しみから開放される日が来るのだろうか……。

私は父と母が教会に挨拶に向った後も、しばらく1人でフィリップのお墓の前で跪いていた――。



***


 お墓参りが終わって、馬車に再び乗り込むと私は父にお礼を述べた。

「お父様、今日はフィリップのお墓参り連れてきてくれてありがとうございます」

「いや、別に礼を言うほどのものではないよ。でも、もう場所が分かったからこれからは1人で来れるだろう?」

「ええ、そうね……可能な限り、月命日はお墓参りに行こうと思っているわ」

「ああ、そうだな。それもいいだろう。ではこれから食事をして帰ろうか?」

父が提案してきた。

「そうね、そうしましょう。今度は行くわよね?エルザ」

母が私に声を掛けてくる。

「ええ。行くわ」

その後私達は町のレストランに立ち寄って食事をし……屋敷へと帰って行った。


そしてその夜、思いがけない客が訪れてきた――。

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