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第118話 別れの準備
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フィリップの葬儀は3日後に行われることが決定した。
生まれた子供の名前は、生前フィリップと一緒に付けた名前…ルークと名付けた。この名前には光り輝くような子供に育って欲しいとのフィリップの願いが込められていた。
フィリップの死を見届けた後…私はベッドに伏したままの状態になってしまった。
その原因は3つ。
出産後、無理に身体を動かしたこと。
生まれたばかり子供の2時間おきの授乳。
そして愛するフィリップとの永遠の別れ…
これらのことが重なって私の身体は疲弊し、授乳する時以外はほぼ寝たきりになってしまっていたのだ。
そして私を置き去りにした状態で、フィリップの葬儀の準備は着々と進められていた…。
**
「お母様…」
私の代わりにルークのオムツ替えをしてくれている母にベッドに寝たまま、話しかけた。
「何?エルザ」
オムツ替えを終えた母がルークを抱っこしながら近付いてきた。
「お願いがあるの…」
「お願い?」
「ええ…。この屋敷の使用人の誰かに…お姉さまに電報を打ってもらうように頼んでくれる…?フィリップが亡くなったことを伝えないと…」
「え…?エルザ。もしかしてローズの連絡先を知っているの?」
「ええ、知ってるわ。以前にお姉さまから手紙を貰ったから…。フィリップの葬儀のときは連絡を欲しいと頼まれていたの。そこのデスクの引き出しに…お姉さまの住所を書き写したメモが入っているから…」
母はすぐにデスクの引き出しを開けてメモを見つけ出してくれた。
「分かったわ。それじゃルークを置いていくわよ」
母は抱いていたルークを私のベッドの中に入れると、急いで部屋を出ていった。
「ルーク…」
私は隣に寝かされたルークを見た。
お腹も一杯になり、おむつも替えてもらったことでご機嫌なのか、ルークは静かに眠っている。
「ルーク…貴方のパパ…死んでしまったわ…」
そしてそっとルークの小さな身体に触れ…私は再び涙した―。
****
フィリップの死から2日後―
コンコン
部屋の扉がノックされた。
「あら…誰かしら?」
ずっと私の代わりにつきっきりでルークの世話をしてくれていた母が代わりに扉を開けてくれた。
「まあ…セシル」
「すみません、エルザに会えますか?」
2人の会話が聞こえてくる。
「ええ、そうね。今聞いてくるわ」
母が私の側に来ると尋ねてきた。
「エルザ、セシルが貴方に会いに来ているけど…どうする?」
「…会うわ。きっと…大切な話があるのだと思うから」
「分かったわ」
母は頷くと、声を掛けた。
「どうぞ、入ってきて」
「はい」
「私は少し席を外しているわね。他の人たちの様子が気になるから」
気を利かせた母が部屋を出て行った。
「すみません」
セシルの声が聞こえる。
そして母と入れ替わるように部屋の中に入ってきたセシルが私のベッドに近付いて来ると、声を掛けてきた。
「エルザ…具合はどうだ?…と言っても…調子はよく無さそうだな?顔色があまり良くない」
セシルは喪服を着ていた。
「ええ…そうね。あまり調子は良くないわ…でも少しずつ回復はしているのよ?」
「大丈夫か?明日の兄さんの葬式…出れそうか?もし無理なら…」
「出るわ」
セシルの言葉を遮るように返事をした。
「大丈夫…なのか?」
「ええ、だって…フィリップとの最後のお別れなのだから…」
「そうか。実はそう言うと思って、車椅子を用意してあるんだ」
「車椅子?」
「ああ、俺が車椅子を押すから…参列しよう」
「ええ…ありがとう」
「気にするなよ。それじゃ…俺、もう行くよ。大勢お客が来ているから相手をしないといけないんだ」
「そうね…貴方は次期当主で忙しい人だものね…」
「すまない。それじゃ、行くよ」
「ええ…」
そしてセシルは部屋を出て行った―。
生まれた子供の名前は、生前フィリップと一緒に付けた名前…ルークと名付けた。この名前には光り輝くような子供に育って欲しいとのフィリップの願いが込められていた。
フィリップの死を見届けた後…私はベッドに伏したままの状態になってしまった。
その原因は3つ。
出産後、無理に身体を動かしたこと。
生まれたばかり子供の2時間おきの授乳。
そして愛するフィリップとの永遠の別れ…
これらのことが重なって私の身体は疲弊し、授乳する時以外はほぼ寝たきりになってしまっていたのだ。
そして私を置き去りにした状態で、フィリップの葬儀の準備は着々と進められていた…。
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「お母様…」
私の代わりにルークのオムツ替えをしてくれている母にベッドに寝たまま、話しかけた。
「何?エルザ」
オムツ替えを終えた母がルークを抱っこしながら近付いてきた。
「お願いがあるの…」
「お願い?」
「ええ…。この屋敷の使用人の誰かに…お姉さまに電報を打ってもらうように頼んでくれる…?フィリップが亡くなったことを伝えないと…」
「え…?エルザ。もしかしてローズの連絡先を知っているの?」
「ええ、知ってるわ。以前にお姉さまから手紙を貰ったから…。フィリップの葬儀のときは連絡を欲しいと頼まれていたの。そこのデスクの引き出しに…お姉さまの住所を書き写したメモが入っているから…」
母はすぐにデスクの引き出しを開けてメモを見つけ出してくれた。
「分かったわ。それじゃルークを置いていくわよ」
母は抱いていたルークを私のベッドの中に入れると、急いで部屋を出ていった。
「ルーク…」
私は隣に寝かされたルークを見た。
お腹も一杯になり、おむつも替えてもらったことでご機嫌なのか、ルークは静かに眠っている。
「ルーク…貴方のパパ…死んでしまったわ…」
そしてそっとルークの小さな身体に触れ…私は再び涙した―。
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フィリップの死から2日後―
コンコン
部屋の扉がノックされた。
「あら…誰かしら?」
ずっと私の代わりにつきっきりでルークの世話をしてくれていた母が代わりに扉を開けてくれた。
「まあ…セシル」
「すみません、エルザに会えますか?」
2人の会話が聞こえてくる。
「ええ、そうね。今聞いてくるわ」
母が私の側に来ると尋ねてきた。
「エルザ、セシルが貴方に会いに来ているけど…どうする?」
「…会うわ。きっと…大切な話があるのだと思うから」
「分かったわ」
母は頷くと、声を掛けた。
「どうぞ、入ってきて」
「はい」
「私は少し席を外しているわね。他の人たちの様子が気になるから」
気を利かせた母が部屋を出て行った。
「すみません」
セシルの声が聞こえる。
そして母と入れ替わるように部屋の中に入ってきたセシルが私のベッドに近付いて来ると、声を掛けてきた。
「エルザ…具合はどうだ?…と言っても…調子はよく無さそうだな?顔色があまり良くない」
セシルは喪服を着ていた。
「ええ…そうね。あまり調子は良くないわ…でも少しずつ回復はしているのよ?」
「大丈夫か?明日の兄さんの葬式…出れそうか?もし無理なら…」
「出るわ」
セシルの言葉を遮るように返事をした。
「大丈夫…なのか?」
「ええ、だって…フィリップとの最後のお別れなのだから…」
「そうか。実はそう言うと思って、車椅子を用意してあるんだ」
「車椅子?」
「ああ、俺が車椅子を押すから…参列しよう」
「ええ…ありがとう」
「気にするなよ。それじゃ…俺、もう行くよ。大勢お客が来ているから相手をしないといけないんだ」
「そうね…貴方は次期当主で忙しい人だものね…」
「すまない。それじゃ、行くよ」
「ええ…」
そしてセシルは部屋を出て行った―。
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