97 / 204
第95話 母からの衝撃の言葉
しおりを挟む
「お母様…い、一体何を言ってるの…?」
心臓がドキドキしてきた。
すると受話器越しから母の言葉が聞こえてきた。
『つい最近のことなのだけど…お父様が取引先の方が入院されたので病院にお見舞いに行ったのよ。そうしたら…フィリップを見たのですって』
「え?!」
『フィリップは…青白い顔で車椅子に乗せられて看護婦さんが押して診察室に入っていく姿を見たそうよ?』
「…っ!」
そ、そんな…まさかお父様がフィリップを病院で見たなんて…っ!
『帰宅してきたお父様からその話を聞かされた時は本当に驚いたわ。フィリップは今にも倒れてしまいそうな青白い顔で、かなり具合が悪そうに見えたそうよ?…尤も車椅子に乗せられていたそうだから、体調は相当悪かったのだろうと思うけど…』
「…」
フィリップは…私の前で気丈に振る舞っているだけで…本当はそうとう具合が悪いのだろうか…?
『エルザ、教えてちょうだい。私達に何か隠し事があるんじゃないの?それとも…本当に何も知らないの?フィリップのことを…。私もお父様もエルザのことが心配でたまらないのよ』
母の必死の訴えが私の胸を抉ってくる。
…どうしよう。
もう、これ以上…両親に隠しておくことは無理なのかもしれない。
ごめんなさい、フィリップ。
私は母にフィリップの病気のこと白状することにした。
「あのね…実は、フィリップは…胃癌に侵されているの。…もうお医者様からは1年は持たないと言われているわ…」
『な、何ですって…っ?!そんな…まさか…っ!あ…でも言われてみれば…』
母は何か思い出したのだろうか?
「お母様?ひょっとして…フィリップのことで何か心当たりがあるの?
『え、ええ…。ちょっと思い出したことがあって…ローズとフィリップの婚約が決定して暫く断ってから…ローズが1人、部屋の中で泣いていたことがあったのよ。可愛そうなフィリップ…と言っていたわ…。あの時は何のことか分からなかったし、盗み見をしているような気持ちになってしまって何も聞けなかったのよ』
「そ、そうだったの…?」
お姉さまが可愛そうなフィリップと言っていた…。
きっとそれはフィリップの病気のことを口にしていたのだろう。
「お姉さまは…フィリップの病気のことを…知っていたのよ…」
『エルザ、本当に…フィリップはあと1年も持たないと言われているの?』
「え、ええ…そうなの…」
『それならどうするの?子供が産まれて…フィリップが亡くなった後は?』
「え?」
まさに私が今考えていることと同じことを母が口にした。
「そ、それは…」
今、考えている最中で…。
そう、母に伝えようとしていた矢先…母の口から思ってもいなかった言葉が飛び出してきた。
『当然アンバー家を出て、この家に戻ってくるのよね?子供も一緒に。あの家とは縁を切るのでしょう?』
「え…?」
私は母の言葉に顔が青ざめていくのが分かった―。
心臓がドキドキしてきた。
すると受話器越しから母の言葉が聞こえてきた。
『つい最近のことなのだけど…お父様が取引先の方が入院されたので病院にお見舞いに行ったのよ。そうしたら…フィリップを見たのですって』
「え?!」
『フィリップは…青白い顔で車椅子に乗せられて看護婦さんが押して診察室に入っていく姿を見たそうよ?』
「…っ!」
そ、そんな…まさかお父様がフィリップを病院で見たなんて…っ!
『帰宅してきたお父様からその話を聞かされた時は本当に驚いたわ。フィリップは今にも倒れてしまいそうな青白い顔で、かなり具合が悪そうに見えたそうよ?…尤も車椅子に乗せられていたそうだから、体調は相当悪かったのだろうと思うけど…』
「…」
フィリップは…私の前で気丈に振る舞っているだけで…本当はそうとう具合が悪いのだろうか…?
『エルザ、教えてちょうだい。私達に何か隠し事があるんじゃないの?それとも…本当に何も知らないの?フィリップのことを…。私もお父様もエルザのことが心配でたまらないのよ』
母の必死の訴えが私の胸を抉ってくる。
…どうしよう。
もう、これ以上…両親に隠しておくことは無理なのかもしれない。
ごめんなさい、フィリップ。
私は母にフィリップの病気のこと白状することにした。
「あのね…実は、フィリップは…胃癌に侵されているの。…もうお医者様からは1年は持たないと言われているわ…」
『な、何ですって…っ?!そんな…まさか…っ!あ…でも言われてみれば…』
母は何か思い出したのだろうか?
「お母様?ひょっとして…フィリップのことで何か心当たりがあるの?
『え、ええ…。ちょっと思い出したことがあって…ローズとフィリップの婚約が決定して暫く断ってから…ローズが1人、部屋の中で泣いていたことがあったのよ。可愛そうなフィリップ…と言っていたわ…。あの時は何のことか分からなかったし、盗み見をしているような気持ちになってしまって何も聞けなかったのよ』
「そ、そうだったの…?」
お姉さまが可愛そうなフィリップと言っていた…。
きっとそれはフィリップの病気のことを口にしていたのだろう。
「お姉さまは…フィリップの病気のことを…知っていたのよ…」
『エルザ、本当に…フィリップはあと1年も持たないと言われているの?』
「え、ええ…そうなの…」
『それならどうするの?子供が産まれて…フィリップが亡くなった後は?』
「え?」
まさに私が今考えていることと同じことを母が口にした。
「そ、それは…」
今、考えている最中で…。
そう、母に伝えようとしていた矢先…母の口から思ってもいなかった言葉が飛び出してきた。
『当然アンバー家を出て、この家に戻ってくるのよね?子供も一緒に。あの家とは縁を切るのでしょう?』
「え…?」
私は母の言葉に顔が青ざめていくのが分かった―。
63
お気に入りに追加
2,312
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる