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第74話 義母とのやりとり
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「お義母様、どうぞお掛け下さい」
部屋の中央に置かれたソファセットを勧めると、あからさまに不満気な様子でお義母様は腰掛けた。
私もテーブルを挟んだ向かい側のソファに座る。
「…素敵な家具ね。よく見ると薄い紫色で…」
何処か意地悪げにお義母様は私を見た。
「はい、そうです。私の好きなラベンダー模様です」
笑みを浮かべながら返事をした。
「そう、紫色は貴女が好きなラベンダーの色だったのね…。よくみれば天井も壁もカーテンや家具…何もかも貴女の好きなラベンダーカラーじゃないの?しかも所々にラベンダーの花が描かれているわ。…こんなデザインの家具、今まで一度も見たことは無いのだけど、ひょっとすると特注品なんじゃないかしら?」
その時―。
コンコン
『失礼致します。お茶をお持ち致しました』
扉越しからデイブの声が聞こえてきた。
「お入り!」
お義母様は扉に向かて言葉を投げつけた。
「失礼致します…」
恐縮しながらトレーにお茶のセットを乗せたデイブが部屋の中へ入ってきた。
「全く…さっさとお茶ぐらい運んできなさいっ!」
イライラした様子でデイブを睨みつける様は見ていて耐え難かった。そこで私は彼へ向ける視線をそらす為にお義母様に声を掛けた。
「お義母様、先程この部屋に置かれた家具が特注品かどうか尋ねられましたよね?」
「え?ええ。そうね」
「はい、お義母様の仰る通り私が実家にお願いして特注させて頂きました」
ごめんなさい、お父様。お母様…。フィリップを守る為に嘘をつかせて下さい。
私は心のなかで父と母に詫た。
「な、何ですってっ?!」
私の思った通り、デイブからお義母様の注意がそれた。
一瞬、視線を感じた方向をチラリと見ると、デイブが驚きの表情を浮かべて私を見ている。
そこで素早くデイブに声を掛けた。
「お茶をありがとう。もう下がっていいわ」
「は、はい!」
一瞬デイブは不意をつかれたかのような表情を浮かべた。
彼は頭を下げて足早に部屋を去っていき、再び室内は私とお義母様の2人きりとなった。
「エ、エルザ…貴女ねぇ…」
お義母様は怒りの為なのか、肩を震わせている。
「お義母様、このお茶はハーブのブレンドティーなんです。とても美味しいんですよ?是非温かいうちにお飲み下さい」
ハーブティーの香りを嗅いだ時に、私はすぐに理解した。このハーブティーは精神を落ち着かせる効果があるお茶だということを。
きっとここの使用人たちが気を利かせてこのハーブティーを用意してくれたのだろう。
「私は…ハーブティーなんて飲まないのだけど…」
「ええ、存じております。でも本当に美味しいんですよ?是非温かいうちにお飲み下さい」
笑みを浮かべてお義母様に勧めた。
「…まぁ、そこまで言うなら…」
お義母様は渋々といった様子でティーカップを手に持った。
「まずは香りを嗅いでみて下さい」
言われた通りに香りを嗅ぐお義母様。
「…いい香りね…」
「はい、そうなんです。香りも良いですが味も素晴らしいですよ?是非飲んでみて下さい」
お義母様はハーブティーを飲むと、ホウとため息をついた。
「…美味しいわ…何だか心が落ち着く気がするわね…」
「ええ、そうなんです。このハーブティーにはラベンダーが含まれているんです。とても心が落ち着くのですよ?」
「まぁ…確かにラベンダーは落ち着くかもしれないけれども…だけど貴女にはローズが本来使うはずだった部屋を与えたはずよね?」
「はい、とても素敵なお部屋でしたが…実は私はバラアレルギーを持っているのです。あの部屋で過ごしていたら呼吸が苦しくなって、いられなくなってしまったので、無理を言ってフィリップに部屋を変えて貰ったのです。申し訳ございませんでした」
そして私はお義母様に頭を下げた―。
部屋の中央に置かれたソファセットを勧めると、あからさまに不満気な様子でお義母様は腰掛けた。
私もテーブルを挟んだ向かい側のソファに座る。
「…素敵な家具ね。よく見ると薄い紫色で…」
何処か意地悪げにお義母様は私を見た。
「はい、そうです。私の好きなラベンダー模様です」
笑みを浮かべながら返事をした。
「そう、紫色は貴女が好きなラベンダーの色だったのね…。よくみれば天井も壁もカーテンや家具…何もかも貴女の好きなラベンダーカラーじゃないの?しかも所々にラベンダーの花が描かれているわ。…こんなデザインの家具、今まで一度も見たことは無いのだけど、ひょっとすると特注品なんじゃないかしら?」
その時―。
コンコン
『失礼致します。お茶をお持ち致しました』
扉越しからデイブの声が聞こえてきた。
「お入り!」
お義母様は扉に向かて言葉を投げつけた。
「失礼致します…」
恐縮しながらトレーにお茶のセットを乗せたデイブが部屋の中へ入ってきた。
「全く…さっさとお茶ぐらい運んできなさいっ!」
イライラした様子でデイブを睨みつける様は見ていて耐え難かった。そこで私は彼へ向ける視線をそらす為にお義母様に声を掛けた。
「お義母様、先程この部屋に置かれた家具が特注品かどうか尋ねられましたよね?」
「え?ええ。そうね」
「はい、お義母様の仰る通り私が実家にお願いして特注させて頂きました」
ごめんなさい、お父様。お母様…。フィリップを守る為に嘘をつかせて下さい。
私は心のなかで父と母に詫た。
「な、何ですってっ?!」
私の思った通り、デイブからお義母様の注意がそれた。
一瞬、視線を感じた方向をチラリと見ると、デイブが驚きの表情を浮かべて私を見ている。
そこで素早くデイブに声を掛けた。
「お茶をありがとう。もう下がっていいわ」
「は、はい!」
一瞬デイブは不意をつかれたかのような表情を浮かべた。
彼は頭を下げて足早に部屋を去っていき、再び室内は私とお義母様の2人きりとなった。
「エ、エルザ…貴女ねぇ…」
お義母様は怒りの為なのか、肩を震わせている。
「お義母様、このお茶はハーブのブレンドティーなんです。とても美味しいんですよ?是非温かいうちにお飲み下さい」
ハーブティーの香りを嗅いだ時に、私はすぐに理解した。このハーブティーは精神を落ち着かせる効果があるお茶だということを。
きっとここの使用人たちが気を利かせてこのハーブティーを用意してくれたのだろう。
「私は…ハーブティーなんて飲まないのだけど…」
「ええ、存じております。でも本当に美味しいんですよ?是非温かいうちにお飲み下さい」
笑みを浮かべてお義母様に勧めた。
「…まぁ、そこまで言うなら…」
お義母様は渋々といった様子でティーカップを手に持った。
「まずは香りを嗅いでみて下さい」
言われた通りに香りを嗅ぐお義母様。
「…いい香りね…」
「はい、そうなんです。香りも良いですが味も素晴らしいですよ?是非飲んでみて下さい」
お義母様はハーブティーを飲むと、ホウとため息をついた。
「…美味しいわ…何だか心が落ち着く気がするわね…」
「ええ、そうなんです。このハーブティーにはラベンダーが含まれているんです。とても心が落ち着くのですよ?」
「まぁ…確かにラベンダーは落ち着くかもしれないけれども…だけど貴女にはローズが本来使うはずだった部屋を与えたはずよね?」
「はい、とても素敵なお部屋でしたが…実は私はバラアレルギーを持っているのです。あの部屋で過ごしていたら呼吸が苦しくなって、いられなくなってしまったので、無理を言ってフィリップに部屋を変えて貰ったのです。申し訳ございませんでした」
そして私はお義母様に頭を下げた―。
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