挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中

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第59話 側にいて欲しい

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◇ 公都フェルナンド ◇

「ここが公都フェルナンドか…。」

 私は目の前に広がる壮大そうだいな景色に息をのんだ。

「すごいですね!こんなに大きな街があるなんて!」

 ジュリアは、初めて目にする公都の外観に驚きを隠せない様子である。

 私たちはホセ村を出発してから10日間の旅をて、ようやく公都フェルナンドに到着したのだ。

 公都は高い石の壁に囲まれており、正門以外からは侵入できないようになっていた。

 高い壁によって街の様子を見られなかったが、遠くにそびえる城塞じょうさい圧巻あっかんだった。

 街道かいどう沿って進むと、公都の出入りを管理する正門が見えてきた。

 正門には兵士たちが警備に当たっており、入りたい者は身分証を提示ていじしなければならないようだ。

 私たちは正門の前で列に並んだ。

 しばらく待っていると、ついに私たちの番がやってきた。

「止まれ!身分証を見せろ!」

 兵士の一人が私たちに声をかけた。

「私たちはホセ村から来た。身分証は持っていない。だが、ルカ村の村長さんから兵士さんに渡す手紙を預かっている。」

「ほう…。ホセ村からか。あそこはずいぶん遠いところだな。まさか、歩いて来たのか?」

 兵士は驚いたように言った。

「ああ、そうだ。」

「凄いな…。静寂の森を抜けるのは大変だっただろう?それで、ルカ村の村長からの手紙だったな。」

 私は兵士に手紙を渡した。

 兵士は手紙を開いて読み始めた。

「なんだと!?お前たちがサンギョ盗賊団を壊滅かいめつさせたのか!?それは凄いな!サンギョは怪力かいりきで我々も手を焼いていたんだ。お前たちには感謝しなくちゃな。」

(やはりこの国の兵士はあまり強くないみたいだ。ジンディオールの故郷こきょうであるレーナス帝国は、大陸を征服せいふくする野望やぼうを持っている。もし魔剣士隊がこの国に攻め込んだら…。)

「紹介状もあるし、サンギョを倒した英雄だというのなら、通行を拒否きょひするわけにはいかないな。通れ!だが、身分証は作っておけよ。」

「ありがとう!身分証はどこで作れるんだ?」

「そうだな。商人や農民になる気がないなら、冒険者ギルドに行くといい。この道をまっすぐ行けば、すぐに見つかるはずだ。」

「そうか。それなら冒険者ギルドに行ってみよう。」

「ああ、そうだな。サンギョを倒すほどの実力があるなら、冒険者になるのがいいだろう。それに冒険者ギルドには色々な依頼いらいがあるからな。」

「ああ、そうだった。ジンにジュリアだったかな?サンギョの懸賞金けんしょうきんが入ったら、冒険者ギルドに連絡しておこう。」

「わかった。よろしくお願いする。」

 私たちは兵士に礼を言って、公都に入った。

 公都は中世ヨーロッパ風の建築けんちく統一とういつされた美しい街だった。

 ホセ村とは比べ物にならないほどの人や馬車が行きっており、活気かっきちていた。

 私たちは冒険者ギルドに向かいながら、周囲の光景に目をうばわれた。

「ジンさん、公都は凄いですね!街並みや行き交う人たち…。全てがホセ村とは全然違います!」

 私は、これぞ異世界という街並みに興奮気味だったが、ジュリアはホセ村との大きな違いに驚き、感動しているようだった。

 私はこれからの冒険に胸がおどっていたのであった…。
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