206 / 355
4-9 危険な誘惑
しおりを挟む
突然、肩に手を置かれた朱莉は驚いて翔を見上げた。翔の瞳はいつになく真剣に朱莉だけを見つめている。
(え・・?翔さん・・・・?)
以前の朱莉だったならきっとここで頬が真っ赤に染まっていた所だろう。しかし、今の朱莉には不思議とそのような感覚が湧きあがってこない。ただ、感じたのは戸惑いだ。
「あ、あの・・?」
朱莉の声に、翔はハッとなった。気付けばただ黙って、朱莉の両肩に手を置き、じっと見つめている自分がいた。
「い、いや・・・明日香の事なんだけど・・・。」
翔は朱莉の肩から手を離すと言った。
「暫くは・・・様子を見ようと思っているんだ・・・。」
翔の言葉に朱莉は驚いた。
「え・・?様子を見る・・・?ほ、本気で言ってるのですか?」
「あ・ああ・・・・。お互い少し距離を開ければ・・本当の気持ちに気付くんじゃないかと思ってね・・・。」
朱莉と視線を合わせず、歯切れが悪そうに翔は言う。
(そうだ・・・。明日香ともう少し離れてみれば・・・きっと今の自分の気持ちが見えてくるはずだ・・。それは明日香にしたって同じことが言えるんじゃないのか・・?)
「翔さん・・・。でも・・・レンちゃんは・・?レンちゃんはどうするのですか?あの子は明日香さんと翔さんのお子さんですよ・・・?」
「ああ・・・蓮の事なら大丈夫だ。だって・・・・。」
そこまで言いかけて翔は口を閉ざした。何故なら朱莉が悲し気な目で翔を見つめていたからだ。
「蓮は・・・・明日香の子でもあるし・・・俺の・・鳴海家の跡取りでもある・・。だが・・明日香は子供が苦手だし・・子育てに向いているとも思えない。それならいっそ・・。」
(朱莉さんにこのままずっと・・・。)
しかし、その言葉は告げなかった。
「翔さん?お話の続きは・・?」
朱莉は首を傾げた。
「い、いや。俺がこのまま引き取って蓮の世話は・・自分で見ようと思っているよ。」
(出来れば朱莉さんも隣にいてくれたら・・・。でも今はそれを告げられない。もっと念入りに準備をしてからでも遅くは無いだろう。)
この頃には翔の頭の中からは琢磨が朱莉に好意を寄せている事実等、すっかり忘れていた。ただ、このまま朱莉と一緒に暮らせれば蓮と3人で穏やかな家庭を築けるだろう・・・その事しか念頭に無かった。
朱莉は翔の話を黙って聞いていたが、やがて言った。
「でも・・・翔さん。レンちゃんにはお母さんが必要だと思います。そしてレンちゃんのお母さんは明日香さんなんです。その事は・・どうか忘れないで下さい。」
朱莉は念を押すように言った。
「あ、ああ・・。大丈夫。ちゃんと分かっているから・・・。それじゃ、俺はそろそろ帰るよ。お休み、朱莉さん。」
「はい、お休みなさい・・・。」
翔は玄関のドアを開けると朱莉の自宅を後にした―。
同時刻―
ここは「ホテル ハイネスト」
明日香は1人この部屋でイラスト制作の仕事をしていた。翔の事は気がかりではあったが、不思議と以前の様な苛立ちは起こらなかった。元々は明日香自身が翔と距離を置こうと考えていたのだから、それは当然のことだったのかもしれない。
慎重に色を重ね、ぼかしを入れたり、新しいレイヤーに影を入れたり・・と作業を進めていると、突然部屋の電話が鳴った。
「はい、もしもし。」
電話に出ると相手は意外な人物からであった。
『鳴海明日香様ですよね?私総支配人の白鳥誠也ですが。』
「ああ・・・貴方ね。どうしたのかしら?」
『いえ、又鳴海様が当ホテルを利用されていると言う事をフロントスタッフに聞いたのでお電話させて頂きました。今少しお時間宜しいでしょうか?』
「ええ、大丈夫よ?何かしら?」
『あの・・・それでは当ホテルのバーでお待ちしておりますので・・今からこちらへお越し願えないでしょうか?・・・ご馳走致しますので。』
「あら?本当?それは嬉しいわね。是非行かせてもらうわ。」
アルコールに目が無い明日香は即答した。
『はい。窓側のカウンター席で待っておりますので。』
電話はそこで切れた。
「バーでお酒か・・・。ここのホテルで出されたワインは美味しかったから、きっとバーで出されるお酒も美味しいはずよね。フフフ・・・楽しみだわ。」
そして明日香は画像を保存すると電源を落とし、ショルダーバックに貴重品を入れるとホテルの部屋を後にした―。
「鳴海様。こちらです。」
バーに着くと、既に白鳥の姿がそこにあった。明日香は白鳥の方へ向かった。
「こんばんは。先程はどうも。」
白鳥の隣の席に座ると明日香は言った。
「何をお飲みになりますか?」
メニューを見せながら白鳥が尋ねて来る。
「そうね・・・取りあえず、まずはワインを貰おうかしら?」
「赤ですか?白ですか?」
「赤がいいわ。」
やがて2人の間に赤ワインのボトルが運ばれて来た。
「これは私からの奢りです。」
白鳥は言いながら、グラスに注いだ。
「あら?嬉しいわね。それで・・・今夜はどんな要件で私を呼んだのかしら?」
「ええ・・・。実はギャラリーの件なんです・・。」
「ギャラリー?」
「ええ・・・。ここ最近近場にライバルホテルが出現しましてね・・・。少し客足をそちらに取られている状況なのです。そこで当ホテルをご利用のお客様に特典として無料でギャラリーを閲覧する事が出来るサービスを考えていた所なのです。その第一段の企画として・・・是非鳴海様のお力をお借り出来ないかと思いましてね?」
「ふ~ん・・・そうなの?でも私はまだそれ程有名なイラストレーターでは無いけど?」
「いえいえ、そんなご謙遜されなくても・・・ネットで鳴海様のイラストを拝見いたしましたがどれも素晴らしい作品ばかりでした。是非、お力になって頂けないでしょうか・・?もしご協力して頂けるのであれば・・・色々とサービスをさせて頂きます。」
「サービスねえ・・・。」
明日香はワインを飲み干すと、白鳥はまた新たにワインを注いできた。
「あら?有難う。」
「どうですか?こちらのワインの味は?」
「そうね・・・とても飲みやすくて美味しいわ。」
「それは良かったです・・・。それで・・・どうでしょう?先程の話ですが・・・。」
気付けば白鳥はテーブルの上に置かれた明日香の右手をしっかり握りしめ、熱を持った瞳で明日香を見つめていた—。
「よしよし。レンちゃん。もう少し待っていてね・・・。」
お腹が空いて泣いている蓮をあやしながら、朱莉はお湯を沸かしてミルクの準備をしていた。時計を見ると真夜中の2時になろうとしている。
生まれたばかりの頃に比べたら、蓮のミルクを飲む量も格段に増え、大分まとまった睡眠時間で眠れるようにはなって来たが、やはり未だに真夜中に蓮はお腹を空かして目を覚ます。そんな蓮の世話をしながら朱莉は翔の話を思い出していた。
『俺がこのまま引き取って蓮の世話は・・自分で見ようと思っているよ。』
(翔先輩・・・あんな事言っていたけど・・お仕事をしながら1人でレンちゃんのお世話をするのって・・・大変ですよ・・・?何とか明日香さんと仲直りしてくれいないかな・・。だって私がレンちゃんの側にいられるのは・・契約書の通りだと・・後3年・・。それとも場合によっては1年更新する事になるのかな?新しい契約書にはそう記されていたし・・・。でも契約期間が1年延びるのは・・嬉しいかな。だってそれだけ長くレンちゃんと一緒に暮らせるんだものね・・・。)
朱莉は笑みを浮かべた。・・・しかし朱莉は知らない。
明日香がホテルで白鳥と同じベッドの上で過ごしていると言う事を―。
(え・・?翔さん・・・・?)
以前の朱莉だったならきっとここで頬が真っ赤に染まっていた所だろう。しかし、今の朱莉には不思議とそのような感覚が湧きあがってこない。ただ、感じたのは戸惑いだ。
「あ、あの・・?」
朱莉の声に、翔はハッとなった。気付けばただ黙って、朱莉の両肩に手を置き、じっと見つめている自分がいた。
「い、いや・・・明日香の事なんだけど・・・。」
翔は朱莉の肩から手を離すと言った。
「暫くは・・・様子を見ようと思っているんだ・・・。」
翔の言葉に朱莉は驚いた。
「え・・?様子を見る・・・?ほ、本気で言ってるのですか?」
「あ・ああ・・・・。お互い少し距離を開ければ・・本当の気持ちに気付くんじゃないかと思ってね・・・。」
朱莉と視線を合わせず、歯切れが悪そうに翔は言う。
(そうだ・・・。明日香ともう少し離れてみれば・・・きっと今の自分の気持ちが見えてくるはずだ・・。それは明日香にしたって同じことが言えるんじゃないのか・・?)
「翔さん・・・。でも・・・レンちゃんは・・?レンちゃんはどうするのですか?あの子は明日香さんと翔さんのお子さんですよ・・・?」
「ああ・・・蓮の事なら大丈夫だ。だって・・・・。」
そこまで言いかけて翔は口を閉ざした。何故なら朱莉が悲し気な目で翔を見つめていたからだ。
「蓮は・・・・明日香の子でもあるし・・・俺の・・鳴海家の跡取りでもある・・。だが・・明日香は子供が苦手だし・・子育てに向いているとも思えない。それならいっそ・・。」
(朱莉さんにこのままずっと・・・。)
しかし、その言葉は告げなかった。
「翔さん?お話の続きは・・?」
朱莉は首を傾げた。
「い、いや。俺がこのまま引き取って蓮の世話は・・自分で見ようと思っているよ。」
(出来れば朱莉さんも隣にいてくれたら・・・。でも今はそれを告げられない。もっと念入りに準備をしてからでも遅くは無いだろう。)
この頃には翔の頭の中からは琢磨が朱莉に好意を寄せている事実等、すっかり忘れていた。ただ、このまま朱莉と一緒に暮らせれば蓮と3人で穏やかな家庭を築けるだろう・・・その事しか念頭に無かった。
朱莉は翔の話を黙って聞いていたが、やがて言った。
「でも・・・翔さん。レンちゃんにはお母さんが必要だと思います。そしてレンちゃんのお母さんは明日香さんなんです。その事は・・どうか忘れないで下さい。」
朱莉は念を押すように言った。
「あ、ああ・・。大丈夫。ちゃんと分かっているから・・・。それじゃ、俺はそろそろ帰るよ。お休み、朱莉さん。」
「はい、お休みなさい・・・。」
翔は玄関のドアを開けると朱莉の自宅を後にした―。
同時刻―
ここは「ホテル ハイネスト」
明日香は1人この部屋でイラスト制作の仕事をしていた。翔の事は気がかりではあったが、不思議と以前の様な苛立ちは起こらなかった。元々は明日香自身が翔と距離を置こうと考えていたのだから、それは当然のことだったのかもしれない。
慎重に色を重ね、ぼかしを入れたり、新しいレイヤーに影を入れたり・・と作業を進めていると、突然部屋の電話が鳴った。
「はい、もしもし。」
電話に出ると相手は意外な人物からであった。
『鳴海明日香様ですよね?私総支配人の白鳥誠也ですが。』
「ああ・・・貴方ね。どうしたのかしら?」
『いえ、又鳴海様が当ホテルを利用されていると言う事をフロントスタッフに聞いたのでお電話させて頂きました。今少しお時間宜しいでしょうか?』
「ええ、大丈夫よ?何かしら?」
『あの・・・それでは当ホテルのバーでお待ちしておりますので・・今からこちらへお越し願えないでしょうか?・・・ご馳走致しますので。』
「あら?本当?それは嬉しいわね。是非行かせてもらうわ。」
アルコールに目が無い明日香は即答した。
『はい。窓側のカウンター席で待っておりますので。』
電話はそこで切れた。
「バーでお酒か・・・。ここのホテルで出されたワインは美味しかったから、きっとバーで出されるお酒も美味しいはずよね。フフフ・・・楽しみだわ。」
そして明日香は画像を保存すると電源を落とし、ショルダーバックに貴重品を入れるとホテルの部屋を後にした―。
「鳴海様。こちらです。」
バーに着くと、既に白鳥の姿がそこにあった。明日香は白鳥の方へ向かった。
「こんばんは。先程はどうも。」
白鳥の隣の席に座ると明日香は言った。
「何をお飲みになりますか?」
メニューを見せながら白鳥が尋ねて来る。
「そうね・・・取りあえず、まずはワインを貰おうかしら?」
「赤ですか?白ですか?」
「赤がいいわ。」
やがて2人の間に赤ワインのボトルが運ばれて来た。
「これは私からの奢りです。」
白鳥は言いながら、グラスに注いだ。
「あら?嬉しいわね。それで・・・今夜はどんな要件で私を呼んだのかしら?」
「ええ・・・。実はギャラリーの件なんです・・。」
「ギャラリー?」
「ええ・・・。ここ最近近場にライバルホテルが出現しましてね・・・。少し客足をそちらに取られている状況なのです。そこで当ホテルをご利用のお客様に特典として無料でギャラリーを閲覧する事が出来るサービスを考えていた所なのです。その第一段の企画として・・・是非鳴海様のお力をお借り出来ないかと思いましてね?」
「ふ~ん・・・そうなの?でも私はまだそれ程有名なイラストレーターでは無いけど?」
「いえいえ、そんなご謙遜されなくても・・・ネットで鳴海様のイラストを拝見いたしましたがどれも素晴らしい作品ばかりでした。是非、お力になって頂けないでしょうか・・?もしご協力して頂けるのであれば・・・色々とサービスをさせて頂きます。」
「サービスねえ・・・。」
明日香はワインを飲み干すと、白鳥はまた新たにワインを注いできた。
「あら?有難う。」
「どうですか?こちらのワインの味は?」
「そうね・・・とても飲みやすくて美味しいわ。」
「それは良かったです・・・。それで・・・どうでしょう?先程の話ですが・・・。」
気付けば白鳥はテーブルの上に置かれた明日香の右手をしっかり握りしめ、熱を持った瞳で明日香を見つめていた—。
「よしよし。レンちゃん。もう少し待っていてね・・・。」
お腹が空いて泣いている蓮をあやしながら、朱莉はお湯を沸かしてミルクの準備をしていた。時計を見ると真夜中の2時になろうとしている。
生まれたばかりの頃に比べたら、蓮のミルクを飲む量も格段に増え、大分まとまった睡眠時間で眠れるようにはなって来たが、やはり未だに真夜中に蓮はお腹を空かして目を覚ます。そんな蓮の世話をしながら朱莉は翔の話を思い出していた。
『俺がこのまま引き取って蓮の世話は・・自分で見ようと思っているよ。』
(翔先輩・・・あんな事言っていたけど・・お仕事をしながら1人でレンちゃんのお世話をするのって・・・大変ですよ・・・?何とか明日香さんと仲直りしてくれいないかな・・。だって私がレンちゃんの側にいられるのは・・契約書の通りだと・・後3年・・。それとも場合によっては1年更新する事になるのかな?新しい契約書にはそう記されていたし・・・。でも契約期間が1年延びるのは・・嬉しいかな。だってそれだけ長くレンちゃんと一緒に暮らせるんだものね・・・。)
朱莉は笑みを浮かべた。・・・しかし朱莉は知らない。
明日香がホテルで白鳥と同じベッドの上で過ごしていると言う事を―。
0
お気に入りに追加
497
あなたにおすすめの小説
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く
ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。
逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。
「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」
誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。
「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」
だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。
妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。
ご都合主義満載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる