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4−20 ジェニーのお墓参り 1
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――翌日、午前10時
「ポリー。お墓参りに行っている間、ジョナサンをお願いね?」
ジェニファーは身支度を整えると、ポリーに声をかけた。
「はい、お任せ下さい。ジョナサン様は責任を持って私がお世話いたしますので」
ジョナサンを腕に抱いたポリーが頷く。
「ジョナサン。少しの間、お利口さんにしていてね」
ジェニファーがジョナサンの頭を撫でたとき……。
「フゥエエエエェンッ! マァマ~ッ! マァマ~ッ!」
何かを察したのか、ジョナサンが顔を真っ赤にさせてボロボロ泣きながら必死でジェニファーに手を伸ばす。
「え? ジョナサン? どうしちゃったの?」
「ジョナサン様! 何故泣くのですか?」
ジェニファーとポリーは慌てて声をかけるも、ジョナサンは一向に泣き止まない。
「ポリー、ジョナサンを渡して?」
「は、はい。ジェニファー様」
火の付いたように泣くジョナサンをポリーから預かると、途端にグズグズ泣きながらジェニファーの胸に顔を埋めてきた。
「マァマ……ヒックヒック……マァマァ……」
「ジョナサン……」
こんなに泣いて自分にすがりついてくるジョナサンを置いて、墓参りに行くことなどジェニファーには出来なかった。
けれど『ボニート』を去る日は、刻一刻と迫っている。いつまでここにいられるのか定かではないのだ。
だとしたら……。
ジェニファーは決めた。
「ポリー。私、ジョナサンを連れてお墓参りに行くことにするわ」
「え? ジェニファー様……でも大丈夫なのですか? 確かジェニー様のお墓は町が見下ろせる丘の上に建っているのですよね? ジョナサン様を連れて丘を登るおつもりですか?」
「ええ、でも大丈夫よ。これでも体力に自信はあるから連れて行けるわ。だってこんなに泣くジョナサンを置いて行けないもの」
ジェニファーはジョナサンを胸にしっかり抱きしめた。
「そうですか……シドさんがいれば、ついてきて貰えたのですけどね……」
シドは仕事で外へ出ているニコラスに付き添っている為に、本日は不在だったのだ。
「仕方ないわ。シドは忙しい人だから。ジョナサンを連れて行くから、外出準備を一緒に手伝ってくれる?」
「はい、ジェニファー様」
2人はジョナサンの荷物の準備を始めた。
――40分後
「準備が出来たから出かけてくるわね」
ベビーカーにジョナサンと荷物を乗せたジェニファーはポリーに声をかけ……目を見開いた。なんとポリーまで出かける姿をしていた。
「ポリー、いつの間にメイド服を着替えていたの? まさか……」
「はい、そのまさかです。シドさんがついてこれないなら、私が一緒に付き添います」
「でも、ポリーだって仕事があるでしょう?」
「ええ、あります。私の仕事はジェニファー様とジョナサン様のお手伝いをする仕事ですから」
「ありがとう。一緒に来てくれると心強いわ」
ジェニファーは笑顔で礼を述べる。
自分1人なら付き添いなど必要ないが、ジョナサンが一緒だとそうはいかない。
何しろジョナサンはジェニーの忘れ形見であり、将来テイラー候爵家の跡取りになる大事な子供。
(万一のことがあったとき、私とジョナサンとでは命の重さが違うもの……)
ジョナサンを託された以上、自分の役目は重大だということを理解していた。万一のときには自分を犠牲にしてでもジョナサンを守ると決めている。
「それでは、ジェニーのお墓参りに行きましょうか?」
「はい、ジェニファー様」
ジェニファーの呼びかけに、笑顔で返事をするポリー。
こうして3人はジェニーのお墓参りに出発した。
けれどジェニファーはまだ知らない。
このお墓参りが、自分の運命を大きく変える分岐点になるということを――
「ポリー。お墓参りに行っている間、ジョナサンをお願いね?」
ジェニファーは身支度を整えると、ポリーに声をかけた。
「はい、お任せ下さい。ジョナサン様は責任を持って私がお世話いたしますので」
ジョナサンを腕に抱いたポリーが頷く。
「ジョナサン。少しの間、お利口さんにしていてね」
ジェニファーがジョナサンの頭を撫でたとき……。
「フゥエエエエェンッ! マァマ~ッ! マァマ~ッ!」
何かを察したのか、ジョナサンが顔を真っ赤にさせてボロボロ泣きながら必死でジェニファーに手を伸ばす。
「え? ジョナサン? どうしちゃったの?」
「ジョナサン様! 何故泣くのですか?」
ジェニファーとポリーは慌てて声をかけるも、ジョナサンは一向に泣き止まない。
「ポリー、ジョナサンを渡して?」
「は、はい。ジェニファー様」
火の付いたように泣くジョナサンをポリーから預かると、途端にグズグズ泣きながらジェニファーの胸に顔を埋めてきた。
「マァマ……ヒックヒック……マァマァ……」
「ジョナサン……」
こんなに泣いて自分にすがりついてくるジョナサンを置いて、墓参りに行くことなどジェニファーには出来なかった。
けれど『ボニート』を去る日は、刻一刻と迫っている。いつまでここにいられるのか定かではないのだ。
だとしたら……。
ジェニファーは決めた。
「ポリー。私、ジョナサンを連れてお墓参りに行くことにするわ」
「え? ジェニファー様……でも大丈夫なのですか? 確かジェニー様のお墓は町が見下ろせる丘の上に建っているのですよね? ジョナサン様を連れて丘を登るおつもりですか?」
「ええ、でも大丈夫よ。これでも体力に自信はあるから連れて行けるわ。だってこんなに泣くジョナサンを置いて行けないもの」
ジェニファーはジョナサンを胸にしっかり抱きしめた。
「そうですか……シドさんがいれば、ついてきて貰えたのですけどね……」
シドは仕事で外へ出ているニコラスに付き添っている為に、本日は不在だったのだ。
「仕方ないわ。シドは忙しい人だから。ジョナサンを連れて行くから、外出準備を一緒に手伝ってくれる?」
「はい、ジェニファー様」
2人はジョナサンの荷物の準備を始めた。
――40分後
「準備が出来たから出かけてくるわね」
ベビーカーにジョナサンと荷物を乗せたジェニファーはポリーに声をかけ……目を見開いた。なんとポリーまで出かける姿をしていた。
「ポリー、いつの間にメイド服を着替えていたの? まさか……」
「はい、そのまさかです。シドさんがついてこれないなら、私が一緒に付き添います」
「でも、ポリーだって仕事があるでしょう?」
「ええ、あります。私の仕事はジェニファー様とジョナサン様のお手伝いをする仕事ですから」
「ありがとう。一緒に来てくれると心強いわ」
ジェニファーは笑顔で礼を述べる。
自分1人なら付き添いなど必要ないが、ジョナサンが一緒だとそうはいかない。
何しろジョナサンはジェニーの忘れ形見であり、将来テイラー候爵家の跡取りになる大事な子供。
(万一のことがあったとき、私とジョナサンとでは命の重さが違うもの……)
ジョナサンを託された以上、自分の役目は重大だということを理解していた。万一のときには自分を犠牲にしてでもジョナサンを守ると決めている。
「それでは、ジェニーのお墓参りに行きましょうか?」
「はい、ジェニファー様」
ジェニファーの呼びかけに、笑顔で返事をするポリー。
こうして3人はジェニーのお墓参りに出発した。
けれどジェニファーはまだ知らない。
このお墓参りが、自分の運命を大きく変える分岐点になるということを――
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