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2−16 シドの質問
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ベビーカーにジョナサンを乗せ、3人は何件もの洋品店を回った。
シドとポリーはジェニファーに似合いそうな服を何着も試着させ、サイズが合えば全て購入した。その他に靴やバッグ等様々な小物類を買いそろえた。
そして最小限の品だけを手荷物として汽車に持ち込み、残りは全て郵送することにしたのだった――
――15時
3人は『ボニート』行きの汽車に乗っていた。
「1等車両って本当にすごいのですね……。まさか汽車の中に、お部屋があるとは思いもしませんでした。」
ポリーが感心した様子で車内を見渡している。この部屋は長椅子以外に、2台のソファ。そして上下2段のベッドにクローゼットが置かれていた。
「そうね」
ジェニファーは相槌を打ちながら、長椅子の上で眠っているジョナサンの頭をそっと撫でた。
(一等車両に乗るのはフォルクマン伯爵と一緒に『ボニート』へ行って以来だけど、ポリーには言えるはず無いものね……)
そこへシドが声をかけてきた。
「ジェニファー様。お疲れではありませんか? 個室を2部屋確保しているので、少し休まれてはどうですか?」
「私なら大丈夫よ。まだ休まなくて平気だから」
子供の頃から働き詰めだったジェニファーは体力には自信があったのだ。
するとポリーが遠慮がちに口を開いた。
「あ、あの……それでは申し訳ございませんが、私が休ませていただいてもよろしいでしょうか? 実は、初めての汽車の旅で少し疲れてしまって……」
ポリーの表情には疲れが滲んでいる。
「まぁ、そうだったの? 気付かなくてごめんなさい、ポリー。私のことは気にせずに、ゆっくり休んで頂戴」
「それなら、隣の個室を使うといい。俺は少しジェニファー様と話があるから」
「ありがとうございます。ジェニファー様、シドさん。それではお言葉に甘えて休ませて頂きます」
ジェニファーとシドの気遣いにポリーは会釈すると、部屋を後にした。
――パタン
個室の扉が閉じられると、ジェニファーは早速先程から思っていたことを口にした。
「シド、私……あんなに沢山の服を買っても良かったのかしら。何だかニコラスに申し訳ないわ。また無駄になってしまう可能性もあるのに」
15年前のことを思い出し、ジェニファーはポツリと呟いた。
初めはとても優しかったフォルクマン伯爵。あのとき沢山服やドレスをプレゼントされたが、屋敷から追い出された際に全て置いて来ていた。
折角のプレゼントを全て無駄にしてしまったのだ。
(ニコラスが私と結婚したのは、あくまでジェニーの遺言だったからよ。彼が私を良く思っていないのは分かっているわ。いつニコラスの気が変わって、あの時のように追い出されてしまう可能性だってあるかもしれないのに……)
するとシドが驚きの表情を浮かべる。
「ジェニファー様、また無駄になってしまう可能性があるとは一体どういうことなのですか?」
「え? それは……」
思いがけない質問に、ジェニファーは言葉に詰まった。
「先程、ジェニファー様と話したいことがあると言いましたが……教えて頂けませんか? 何故15年前、ジェニー様のふりをしてニコラス様の前に現れたのですか? 誰にも言いませんから話して下さい・お願いします」
シドは真剣な眼差しでジェニファーを見つめた――
シドとポリーはジェニファーに似合いそうな服を何着も試着させ、サイズが合えば全て購入した。その他に靴やバッグ等様々な小物類を買いそろえた。
そして最小限の品だけを手荷物として汽車に持ち込み、残りは全て郵送することにしたのだった――
――15時
3人は『ボニート』行きの汽車に乗っていた。
「1等車両って本当にすごいのですね……。まさか汽車の中に、お部屋があるとは思いもしませんでした。」
ポリーが感心した様子で車内を見渡している。この部屋は長椅子以外に、2台のソファ。そして上下2段のベッドにクローゼットが置かれていた。
「そうね」
ジェニファーは相槌を打ちながら、長椅子の上で眠っているジョナサンの頭をそっと撫でた。
(一等車両に乗るのはフォルクマン伯爵と一緒に『ボニート』へ行って以来だけど、ポリーには言えるはず無いものね……)
そこへシドが声をかけてきた。
「ジェニファー様。お疲れではありませんか? 個室を2部屋確保しているので、少し休まれてはどうですか?」
「私なら大丈夫よ。まだ休まなくて平気だから」
子供の頃から働き詰めだったジェニファーは体力には自信があったのだ。
するとポリーが遠慮がちに口を開いた。
「あ、あの……それでは申し訳ございませんが、私が休ませていただいてもよろしいでしょうか? 実は、初めての汽車の旅で少し疲れてしまって……」
ポリーの表情には疲れが滲んでいる。
「まぁ、そうだったの? 気付かなくてごめんなさい、ポリー。私のことは気にせずに、ゆっくり休んで頂戴」
「それなら、隣の個室を使うといい。俺は少しジェニファー様と話があるから」
「ありがとうございます。ジェニファー様、シドさん。それではお言葉に甘えて休ませて頂きます」
ジェニファーとシドの気遣いにポリーは会釈すると、部屋を後にした。
――パタン
個室の扉が閉じられると、ジェニファーは早速先程から思っていたことを口にした。
「シド、私……あんなに沢山の服を買っても良かったのかしら。何だかニコラスに申し訳ないわ。また無駄になってしまう可能性もあるのに」
15年前のことを思い出し、ジェニファーはポツリと呟いた。
初めはとても優しかったフォルクマン伯爵。あのとき沢山服やドレスをプレゼントされたが、屋敷から追い出された際に全て置いて来ていた。
折角のプレゼントを全て無駄にしてしまったのだ。
(ニコラスが私と結婚したのは、あくまでジェニーの遺言だったからよ。彼が私を良く思っていないのは分かっているわ。いつニコラスの気が変わって、あの時のように追い出されてしまう可能性だってあるかもしれないのに……)
するとシドが驚きの表情を浮かべる。
「ジェニファー様、また無駄になってしまう可能性があるとは一体どういうことなのですか?」
「え? それは……」
思いがけない質問に、ジェニファーは言葉に詰まった。
「先程、ジェニファー様と話したいことがあると言いましたが……教えて頂けませんか? 何故15年前、ジェニー様のふりをしてニコラス様の前に現れたのですか? 誰にも言いませんから話して下さい・お願いします」
シドは真剣な眼差しでジェニファーを見つめた――
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