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第5章 2 故郷『リムネー』

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ガラガラガラガラ…

走り続ける馬車の中でアリオスが3人に語った。

「『ミュゼ』の駅までは馬車で行くつもりだ。もう『リムネー』行きの汽車のチケットは4人分購入してあるんだ」

アリオスの言葉にカールは目を輝かせた。

「本当ですか?!僕、汽車に乗るのは初めてです。うわ~楽しみだな~」

「ああ、それに1等車だぞ。ちゃんと個室になっているし、座席はベッドにもなるそうだ。疲れたら横になって休めるからな」

アリオスは笑みを浮かべながらカールの頭を撫でる。

「はい、ありがとうございます」

カールもニコニコしながら返事をした。そんな2人の様子をスカーレットは微笑ましく見ていた。

(フフ…本当にアリオス様とカール様は仲がよろしいのね…)

「列車にはどのくらい乗るんですか?」

カールがアリオスに尋ねた。

「そうだな…スカーレット、どの位列車に乗った?」

「そうですね?3時間程乗ったと思います」

「ええ、そうでしたね」

ブリジットも頷く。

「僕、今日の旅行とても楽しみで早く目が覚めてしまったんです。」

「カール様。『リムネー』には大きな湖のある公園があるのですよ?ボートにも乗れるので一緒に乗りませんか?アリオス様、大丈夫ですよね?」

「本当ですか?是非乗りたいです。アリオス兄様いいですよね?」

「ああ、構わないだろう」

「「ありがとうございます」」

スカーレットとカールは声を揃えてアリオスに礼を言った。 その後も4人は駅につくまでの間、馬車の中で楽しく会話を続けた―。


****

 汽車の旅は快適だった。アリオスが手配してくれた1等車は向かい合わせの広々としたボックスシートになっており、立派なテーブルもついていた。そこで4人は車内レストランから料理をオーダーし、肉料理がメインのフルコース料理を堪能した。
カールはとても喜び、アリオスもそんなカールを優しい目で見つめ『リムネー』に着くまでの列車の旅を楽しんだ。


 午後1時、列車は『リムネー』の駅に到着した。そこはスカーレットにとって懐かしい景色だった。青く澄み渡る空に駅の沿道に植えられた木々、白を基調とした石造りの建物に赤い屋根の建物が立ち並んでいる。
『リムネー』の町は観光が主な収入源となっていたのだ。

「うわあ…とても美しい町ですね」

駅を出たカールは被っていた帽子が風に飛ばされないように押さえながら、辺りをキョロキョロと見渡した。カールの住む『ミュゼ』の町は大都会なので、このようにのどかな景色はとても珍しく見えたのだ。

「駅前のホテルに2部屋予約してある。まずは荷物を置いて少しホテルで休憩をしないか?カール、疲れているだろう?」

アリオスはカールに尋ねた。

「いいえ、僕は全然疲れていません。それよりも荷物を置いたらこの町を探検してみたいです」

そこでスカーレットはカールに話しかけた。

「カール様、この町の案内でしたら、私が案内させて頂きますよ。ここは私が生まれ育った町ですから」

「はい、お願いします」

カールは笑顔で答える。

「アリオス様はどうされますか?」

スカーレットはアリオスを見た。

「そうだな、俺もスカーレットに案内してもらおうか。それに女性と子供だけでは町を歩くのは心配だ」

「フフフ…アリオス様、ここは田舎でのどかな町なので、『ミュゼ』とは違いますよ。でももしお忙しくなければ、案内させて下さい。私が育った町を見ていただきたいです」

「ああ、俺も君が育った町を是非見てみたいからな」

アリオスは頷いた。

「あの、私は少しホテルで休ませて頂いてもよろしいでしょうか?」

年配者のブリジットが遠慮がちに言う。

「ええ、そうね。ブリジットはお部屋で休んでいて?」

「よし、ではホテルへ行こう」

アリオスに促され、スカーレット達はホテルへ向かった―。




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