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第4章 20 卑怯なアイザック皇子
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「アイザック皇子…貴方は自分の身分を利用して、今まで様々な女性達を無理矢理手籠めにしてきたと言う訳ですね?」
アリオスは怒気を含めた声でアイザックに言う。
「随分怖い顔をして言うね…。それに手籠めという言い方は良くないな。確かに最初の内は無理矢理と言われるかもしれないけれど、最終的には合意の上での行為だよ」
「な、何ですってっ?!何故合意になるのですかっ?!」
「決まっているじゃないか。最初の内は嫌がっても、結局最後は私に陥落するのだから」
そう言うとアイザックは再び紅茶を口にした。
「アイザック皇子…あ、貴方は仮にも皇帝になられる方ではありませんか?それなのに人の道に外れるような真似を…!」
アリオスは歯を食いしばりながら言う。
「人を外道のような言い方をするのはやめてくれないか?それに私は妻でも無い女性を孕ませるようなミスはしないよ。今まで一度もそんなヘマはしたことは無いからね。でも初めてだったよ。痺れ薬まで飲ませたのに、涙を流して拒絶する女性は」
その言葉にアリオスの頭は怒りで沸騰しそうになった。
「貴方は人の婚約者に何て言う事を!」
「言っておくけど、アリオス。君にも責任はあるからね。僕がスカーレットに手を出そうとしたのにはそれ相応の理由があるんだよ」
「貴方は何を仰っているのですか?!責任?一体私にどんな責任があるというのですかっ!」
「君が妹と別れてしまったからじゃないか。あと少しで婚約まで行く処だったのに、どうして別れてしまったんだい?」
「それは違います。ヴァイオレット皇女は私ではなく別に愛する男性が出来てしまったからです。しかも…私の知り合いの男性と」
「ああ。スティーブとかいう遊び人の男だろう?彼は最低だね」
アイザックは自分の事を差し置いてスティーブの事を『遊び人』と言った。その言葉がますますアリオスの怒りをかきたてる。そんなアリオスの怒りも気にする素振り
も見せずにアイザックは続ける。
「大体スティーブにしたって、君を通して2人は知り合ったのだろう?だったら大元の責任はアリオス、君にあると思わないかい?」
アイザックは膝を組むとアリオスを見た。
「な、一体何を・・・・!」
「見た処…君とスカーレットは深い仲になってはいないだろう?恐らくスカーレットは生娘なんじゃないか?」
「!」
あまりの発言にアリオスは言葉を失った。
「私はね、アリオス。可愛い妹の望みは叶えてやりたいと思っている。妹の望みはアリオス。君なんだよ。君との結婚を望んでいる。だが…スカーレットという婚約者がいるだろう?」
「い、一体…何を仰りたいのですか?」
アリオスは声を震わせた。
「チェスター家は名門の侯爵家だ。そして君はその当主だ。仮に君の妻になる女性が夫になる君では無く、別の男に純潔を散らされたら…どうなる?」
「皇子!あ、貴方と言う方は…!」
「そんな女性を妻に迎えるのは良くないだろう?君は彼女と別れ、妹と婚約する。そして私は美しいスカーレットを愛人に迎える…どうだい?最高のシナリオだろう?」
「アイザック皇子!」
ついにアリオスは耐え切れず立ち上がった。
「いいですか?皇子!私はヴァイオレット皇女の事は何とも思っていません!何度言われても私はあの方を妻に娶る気はありません!一生涯!」
ドサッ!
その時扉の外で大きな音が聞こえ、2人は振り向いた。見ると扉が少しだけ開いている。
「おや?しっかり扉はしめたと思っていたが‥‥」
「見てきます」
立ったままだったアリオスは扉に向かい…バッとドアを開けて驚いた。
そこには真っ青になったヴァイオレットが座り込んでいた―。
アリオスは怒気を含めた声でアイザックに言う。
「随分怖い顔をして言うね…。それに手籠めという言い方は良くないな。確かに最初の内は無理矢理と言われるかもしれないけれど、最終的には合意の上での行為だよ」
「な、何ですってっ?!何故合意になるのですかっ?!」
「決まっているじゃないか。最初の内は嫌がっても、結局最後は私に陥落するのだから」
そう言うとアイザックは再び紅茶を口にした。
「アイザック皇子…あ、貴方は仮にも皇帝になられる方ではありませんか?それなのに人の道に外れるような真似を…!」
アリオスは歯を食いしばりながら言う。
「人を外道のような言い方をするのはやめてくれないか?それに私は妻でも無い女性を孕ませるようなミスはしないよ。今まで一度もそんなヘマはしたことは無いからね。でも初めてだったよ。痺れ薬まで飲ませたのに、涙を流して拒絶する女性は」
その言葉にアリオスの頭は怒りで沸騰しそうになった。
「貴方は人の婚約者に何て言う事を!」
「言っておくけど、アリオス。君にも責任はあるからね。僕がスカーレットに手を出そうとしたのにはそれ相応の理由があるんだよ」
「貴方は何を仰っているのですか?!責任?一体私にどんな責任があるというのですかっ!」
「君が妹と別れてしまったからじゃないか。あと少しで婚約まで行く処だったのに、どうして別れてしまったんだい?」
「それは違います。ヴァイオレット皇女は私ではなく別に愛する男性が出来てしまったからです。しかも…私の知り合いの男性と」
「ああ。スティーブとかいう遊び人の男だろう?彼は最低だね」
アイザックは自分の事を差し置いてスティーブの事を『遊び人』と言った。その言葉がますますアリオスの怒りをかきたてる。そんなアリオスの怒りも気にする素振り
も見せずにアイザックは続ける。
「大体スティーブにしたって、君を通して2人は知り合ったのだろう?だったら大元の責任はアリオス、君にあると思わないかい?」
アイザックは膝を組むとアリオスを見た。
「な、一体何を・・・・!」
「見た処…君とスカーレットは深い仲になってはいないだろう?恐らくスカーレットは生娘なんじゃないか?」
「!」
あまりの発言にアリオスは言葉を失った。
「私はね、アリオス。可愛い妹の望みは叶えてやりたいと思っている。妹の望みはアリオス。君なんだよ。君との結婚を望んでいる。だが…スカーレットという婚約者がいるだろう?」
「い、一体…何を仰りたいのですか?」
アリオスは声を震わせた。
「チェスター家は名門の侯爵家だ。そして君はその当主だ。仮に君の妻になる女性が夫になる君では無く、別の男に純潔を散らされたら…どうなる?」
「皇子!あ、貴方と言う方は…!」
「そんな女性を妻に迎えるのは良くないだろう?君は彼女と別れ、妹と婚約する。そして私は美しいスカーレットを愛人に迎える…どうだい?最高のシナリオだろう?」
「アイザック皇子!」
ついにアリオスは耐え切れず立ち上がった。
「いいですか?皇子!私はヴァイオレット皇女の事は何とも思っていません!何度言われても私はあの方を妻に娶る気はありません!一生涯!」
ドサッ!
その時扉の外で大きな音が聞こえ、2人は振り向いた。見ると扉が少しだけ開いている。
「おや?しっかり扉はしめたと思っていたが‥‥」
「見てきます」
立ったままだったアリオスは扉に向かい…バッとドアを開けて驚いた。
そこには真っ青になったヴァイオレットが座り込んでいた―。
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