母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・

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第1章 36 真夜中の侵入者

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 その日の夜―

アンドレアとエーリカの衝撃的な結婚式に参加したスカーレットは精神的な疲れから、夜の10時にはベッドの中に入っていた。
そしてスカーレットが眠りに就いて2時間程経過した頃の事だった。

「ん・・・。」

スカーレットは突然身体に何か重たいものがのしかかってくる気配を感じ、身じろぎした。するとその直後、生暖かい何かが自分の唇に触れるのを感じた。

「ん・・・?」

しかし、まだ完全に頭が覚醒していないスカーレットにはそれが何か分からなかった。ただ、唇に触れてい何かから逃れたくて頭を動かそうとすると、突然ガシッと頭を左右から捕まれ、初めて異変に気付いた。

(え・・?な、何・・?)

目を開けると、何とアンドレアの顔が眼前にあり、彼は瞳を閉じてスカーレットの唇に自身の唇を強く重ねていたのだった。

(ア・・アンドレア様・・・っ?!い・・いや・・っ!)

必死で逃れようと首を動かすもアンドレアはお構いなしに、今度は無理矢理スカーレットとの唇を開けさせ、自らの舌を侵入させてきた。

「ん~っ!」

(い・・・いやっ!気持ち・・・悪い・・っ!)

必死で抵抗したスカーレットは深い口付けに呼吸を阻害されて息が苦しくなり、目からポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「!」

スカーレットの涙に気付いたアンドレアはその時になって、初めてハッとなり、身体を離した。ようやく口元が自由になったスカーレットは恐怖のあまり悲鳴を上げた。

「キャアアアアアアッ!!」

その悲鳴を聞いて驚いたのはアンドレアの方だった。まさかスカーレットが悲鳴を上げるとは思ってもいなかった。いや、そもそもアンドレアは拒絶されるとは思ってもいなかったのだ。だから自分の方を見て恐怖で悲鳴を上げて震えるスカーレットの姿が信じられなかった。

「ああ・・・ごめんよ、スカーレット。君がそんなに僕を怖がるとは思わなかったんだよ・・・。だけど、お願いだ。どうか悲鳴を上げないでくれないか?僕を・・拒絶しないでくれ。信じられないかもしれないけど・・・やっぱり僕が愛する女性は・・君なんだよ、スカーレット。」

しかし、スカーレットは首を振りながらベッドの上でアンドレアから逃れようと後ずさる。その姿が・・・余計アンドレアの理性を奪っていく。


「ごめんよ・・スカーレット。君がそれ程怯えるとは思わなかったんだ・・・でもどうかお願いだよ・・・僕を怖がらないでくれないか・・・?」

言いながらアンドレアはスカーレットに滲みよってくる。

「イヤアアッ!来ないでっ!」

スカーレットの心に中には、もはやアンドレアに対する恐怖しかなかった。

「スカーレット・・・ッ!何をしてもどうせ・・悲鳴を上げるなら・・。」

アンドレアはスカーレットの手首を掴み、強引に自分の方へ引き寄せると、そのままスプリングの聞いたベッドの上に押し倒した。

「イ、イヤアアッ!だ、誰かっ!」

スカーレットは恐怖で絶叫する。

その時・・・・。


「何をされているのですかっ?!」

荒い息を吐きながら部屋の中に飛び込んできた人物がいた。その人物はアーベルだった。
アーベルはアンドレアがスカーレットがベッドの上で押し倒されている姿を発見して顔色を変えた。

「アンドレア様っ!何をされているのですかっ?!」

怒りの声でアーベルはアンドレアに駆け寄ると、無理やりスカーレットから身体を引き剥がした。そこへ悲鳴を聞きつけたアグネスにエーリカ、そしてブリジットが部屋の中に飛び込んできて・・・全員が息を飲んだ。

 ベッドの上で乱れた姿で震えて泣いているスカーレット・・・そしてアーベルに腕を掴まれているアンドレア・・・。

「ま、まさか・・・アンドレア様・・・スカーレットに・・?!」

アグネスはアンドレアを見た。

「・・・・。」

しかし、アンドレアはそれに答えない。

「ひ、酷い・・・っ!アンドレア様・・・私の事はもう抱けないと言っておきながら・・スカーレットの元へやってくるなんて・・っ!」

エーリカは泣きながら部屋を飛び出していく。

「お待ちなさいっ!エーリカッ!」

その後ろをアグネスは追いかけて走り去っていった―。

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