48 / 61
第3章 14 激しい言い合い
しおりを挟む
エントランスの扉を開けて屋敷内へ入ると、広々としたホールに聞いたことの無い声の怒声が響き渡っていた。この屋敷は3階建てでエントランスホールは天井まで吹き抜けになっているので、その怒声の響き渡る事と言ったら半端ではない。
「だから、この私を誰だと思っておるのだ!ロザリア令嬢の婚約者の父親だぞっ?!早くギンテル伯爵をここへ呼んで参れっ!」
まるで拡声器を使ったかのようにガンガン響き渡る声・・これが日本の住宅街であれば間違いなく通報されるレベルである。
それにしても・・はは~ん・・・ここから様子はうかがえないが・・・多分一番手前の客室に通されているんだな・・?そして肝心の父は姿を現していないと・・・。
なら、いいでしょう!この私が自ら相手になってやろうじゃないのっ!
中央階段の左の廊下を曲がるとすぐに、やはり扉が開閉されている部屋があった。ヒョイと覗き込むと、こちらに背を向けて、立っている男性とソファに座っているのは・・あれはジョバンニだな?この2人が我が屋敷の初老の筆頭執事に向かって怒鳴っている。しかし、さすがはギンテル家の筆頭執事。顔色一つ変えずにジョバンニの父親の咆哮をかわしている。
「ですから突然アポイントも無しにいらっしゃられても、ギンテル伯爵はとてもお忙しい方なのです。1週間先の予定迄埋まっているのですからあらかじめお会いになりたければアポイントを取られてからお越しください。大体ギンテル伯爵はあなた方、コナー家よりも爵位が上なのですよ?あなた方は子爵家なのですよ?その点はお分りなのですか?もっと身の程をわきまえるべきですね。」
おおっ!さすが筆頭執事!ものすごいことをサラリと言ってのけているっ!
「な、な、何だとぉ~っ!た、たかが執事の分際でっ!」
ジョバンニの父は頭から湯気が出そうなほど激怒しているし、ジョバンニはそれをただ傍観しているのみだった。
「貴様っ!もう我慢出来んっ!」
おおぅっ!つ、ついにジョバンにの父が筆頭執事に手を上げた!
「待ちなさいっ!」
私は大声で叫ぶと、ジョバンニ親子がギョッとした顔でこちらを振り向いた。
「・・・誰だ?」
ジョバンニ父・・ええい、めんどくさい!コナー子爵は私を見てキョトンとしている。そうか。痩せて美少女になったロザリアが分からないのか。すると今まで黙っていたジョバンニが素早く言った。
「父上、あれがロザリアですよ。」
ちょっとっ!今私の事をあれ呼ばわりしたな?!
「何と驚いた・・・あれが本当にロザリアなのか?」
ま、まただ・・・親子そろって人の事をあれ呼ばわりしている。
「ええ、そうよ!私がロザリアよっ!コナー子爵!一体何をしにこちらへいらしたのですかっ?!」
大股でズカズカと彼らに近付きながら私は言った。
「何をしたかだって、お前文句を言いに来たに決まっているじゃないか!」
ジョバンニは立ち上がると私をビシイッと指さしてきた。
「ふ~ん・・・・ジョバンニ。着替えてきたのね。どうだった?池で泳いだ気分は?気持ちよかった?」
ジョバンニは青い上下のスーツにネクタイに赤いタイを結んでいる。
「な、な、何だって・・・!気持ちいいわけないだろう?!池に落ちた時、ちょびっとだけ水を飲み込んでしまったんだからなっ!」
ジョバンニが喚く。
「ちょびっとだけなら死なないわよっ!大体お魚も泳いでいたんだから水はきれいなはずよっ!本当にきったない水ならねぇ・・魚も住めないんだからっ!」
全く・・大げさな奴だ。
「何だってぇ~っ!」
怒りで顔を真っ赤にするジョバンニに父親も加勢する。
「おのれ・・・この小娘めっ!よくも我が息子を池に突き落としたな?!」
「はぁ?!誰が突き落としたですって!ジョバンニが勝手に落ちたのよっ!全く・・・あんなことくらいで池に落ちるなんて運動神経悪すぎでしょう?!」
私も負けじと言い返す。
「いいですぞっ!お嬢様っ!もっと言っておやりなさいっ!」
筆頭執事が応援する。その時―
「そこまでだ。」
客室に声が響き渡った―。
「だから、この私を誰だと思っておるのだ!ロザリア令嬢の婚約者の父親だぞっ?!早くギンテル伯爵をここへ呼んで参れっ!」
まるで拡声器を使ったかのようにガンガン響き渡る声・・これが日本の住宅街であれば間違いなく通報されるレベルである。
それにしても・・はは~ん・・・ここから様子はうかがえないが・・・多分一番手前の客室に通されているんだな・・?そして肝心の父は姿を現していないと・・・。
なら、いいでしょう!この私が自ら相手になってやろうじゃないのっ!
中央階段の左の廊下を曲がるとすぐに、やはり扉が開閉されている部屋があった。ヒョイと覗き込むと、こちらに背を向けて、立っている男性とソファに座っているのは・・あれはジョバンニだな?この2人が我が屋敷の初老の筆頭執事に向かって怒鳴っている。しかし、さすがはギンテル家の筆頭執事。顔色一つ変えずにジョバンニの父親の咆哮をかわしている。
「ですから突然アポイントも無しにいらっしゃられても、ギンテル伯爵はとてもお忙しい方なのです。1週間先の予定迄埋まっているのですからあらかじめお会いになりたければアポイントを取られてからお越しください。大体ギンテル伯爵はあなた方、コナー家よりも爵位が上なのですよ?あなた方は子爵家なのですよ?その点はお分りなのですか?もっと身の程をわきまえるべきですね。」
おおっ!さすが筆頭執事!ものすごいことをサラリと言ってのけているっ!
「な、な、何だとぉ~っ!た、たかが執事の分際でっ!」
ジョバンニの父は頭から湯気が出そうなほど激怒しているし、ジョバンニはそれをただ傍観しているのみだった。
「貴様っ!もう我慢出来んっ!」
おおぅっ!つ、ついにジョバンにの父が筆頭執事に手を上げた!
「待ちなさいっ!」
私は大声で叫ぶと、ジョバンニ親子がギョッとした顔でこちらを振り向いた。
「・・・誰だ?」
ジョバンニ父・・ええい、めんどくさい!コナー子爵は私を見てキョトンとしている。そうか。痩せて美少女になったロザリアが分からないのか。すると今まで黙っていたジョバンニが素早く言った。
「父上、あれがロザリアですよ。」
ちょっとっ!今私の事をあれ呼ばわりしたな?!
「何と驚いた・・・あれが本当にロザリアなのか?」
ま、まただ・・・親子そろって人の事をあれ呼ばわりしている。
「ええ、そうよ!私がロザリアよっ!コナー子爵!一体何をしにこちらへいらしたのですかっ?!」
大股でズカズカと彼らに近付きながら私は言った。
「何をしたかだって、お前文句を言いに来たに決まっているじゃないか!」
ジョバンニは立ち上がると私をビシイッと指さしてきた。
「ふ~ん・・・・ジョバンニ。着替えてきたのね。どうだった?池で泳いだ気分は?気持ちよかった?」
ジョバンニは青い上下のスーツにネクタイに赤いタイを結んでいる。
「な、な、何だって・・・!気持ちいいわけないだろう?!池に落ちた時、ちょびっとだけ水を飲み込んでしまったんだからなっ!」
ジョバンニが喚く。
「ちょびっとだけなら死なないわよっ!大体お魚も泳いでいたんだから水はきれいなはずよっ!本当にきったない水ならねぇ・・魚も住めないんだからっ!」
全く・・大げさな奴だ。
「何だってぇ~っ!」
怒りで顔を真っ赤にするジョバンニに父親も加勢する。
「おのれ・・・この小娘めっ!よくも我が息子を池に突き落としたな?!」
「はぁ?!誰が突き落としたですって!ジョバンニが勝手に落ちたのよっ!全く・・・あんなことくらいで池に落ちるなんて運動神経悪すぎでしょう?!」
私も負けじと言い返す。
「いいですぞっ!お嬢様っ!もっと言っておやりなさいっ!」
筆頭執事が応援する。その時―
「そこまでだ。」
客室に声が響き渡った―。
17
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
「婚約の約束を取り消しませんか」と言われ、涙が零れてしまったら
古堂すいう
恋愛
今日は待ちに待った婚約発表の日。
アベリア王国の公爵令嬢─ルルは、心を躍らせ王城のパーティーへと向かった。
けれど、パーティーで見たのは想い人である第二王子─ユシスと、その横に立つ妖艶で美人な隣国の王女。
王女がユシスにべったりとして離れないその様子を見て、ルルは切ない想いに胸を焦がして──。
私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります
せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。
読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。
「私は君を愛することはないだろう。
しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。
これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」
結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。
この人は何を言っているのかしら?
そんなことは言われなくても分かっている。
私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。
私も貴方を愛さない……
侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。
そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。
記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。
この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。
それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。
そんな私は初夜を迎えることになる。
その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……
よくある記憶喪失の話です。
誤字脱字、申し訳ありません。
ご都合主義です。
大事なのは
gacchi
恋愛
幼いころから婚約していた侯爵令息リヒド様は学園に入学してから変わってしまった。いつもそばにいるのは平民のユミール。婚約者である辺境伯令嬢の私との約束はないがしろにされていた。卒業したらさすがに離れるだろうと思っていたのに、リヒド様が向かう砦にユミールも一緒に行くと聞かされ、我慢の限界が来てしまった。リヒド様、あなたが大事なのは誰ですか?
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
二人の妻に愛されていたはずだった
ぽんちゃん
恋愛
傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。
二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。
アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。
アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。
何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。
全二十八話。
十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)
転生したら侯爵令嬢だった~メイベル・ラッシュはかたじけない~
おてんば松尾
恋愛
侯爵令嬢のメイベル・ラッシュは、跡継ぎとして幼少期から厳しい教育を受けて育てられた。
婚約者のレイン・ウィスパーは伯爵家の次男騎士科にいる同級生だ。見目麗しく、学業の成績も良いことから、メイベルの婚約者となる。
しかし、妹のサーシャとレインは互いに愛し合っているようだった。
二人が会っているところを何度もメイベルは見かけていた。
彼は婚約者として自分を大切にしてくれているが、それ以上に妹との仲が良い。
恋人同士のように振舞う彼らとの関係にメイベルは悩まされていた。
ある日、メイベルは窓から落ちる事故に遭い、自分の中の過去の記憶がよみがえった。
それは、この世界ではない別の世界に生きていた時の記憶だった。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる