34 / 61
第2章 13 ロイヤリティが欲しい
しおりを挟む
「何?馬車がどうしたの?」
仕方がない・・この男の為に少しだけ歩く速度を落としてやるか・・・。
「お前・・最近馬車の改良・・とか言うのを試みただろう?」
ジョバンニは私に追いすがるようについて来る。
「うん。そうだけど?」
「知ってるか?お前の改良した馬車が巷でとても噂になっていることを。」
「え?そうなの?初めて知ったよ。」
「何だって?噂の元ネタはお前からなのに・・・本人がその話を知らないのか?」
ジョバンニは呆れたように私を見た。
「だって馬車をもう1週間も使っていないからね~そんなの知らないよ。」
スタスタスタスタ
「お、おい・・・お前・・歩く速度・・・は、速くなって・・・きてる・・ぞ・・。」
「まあ、そんな話はどうでもいいけどさ・・それであんたが馬車に乗ってこないのと私と一体何の関係があるのさ。」
「お、お前・・・・い、今・・・お、俺の事・・あんたって言ったな・・・。おい!速度あげるなぁ!」
「もう、うるさいなあ・・・呼び方なんてどうだっていいでしょう?それより早く理由教えてよ。」
「だから・・・お前が・・・快適な馬車・・ってのを・・・開発したから・・・御者の仲間内で・・その話が流行って・・・・皆、改良型馬車に乗りたがって・・馬車屋に依頼が殺到して・・・改良型馬車じゃないと・・御者をやらないって・・言い出していて・・・俺の処の御者たちも・・・ボイコットしてるんだよ・・・今馬車改良の予約待ちだ・・・。」
息切れしながらついて来るジョバンニ。
「へえ~・・・それは随分と面白いことになっていたんだねええ・・・ちっとも知らなかった。馬車屋さん・・・アイディア料をロイヤリティとして一部収益を私に還元してくれないかなぁ・・・。」
「へえ・・・お前。ロイヤリティなんて言葉知ってたのか?ひょっとして経営に興味でもあるのか?」
珍しくジョバンニが私の話に乗ってきた。
「別に・・・ただ受け取れるものがあるならそれなりの対価が欲しいと思うのが普通じゃないの?ところで・・・なんで私の後をついて来てるのよ?」
いまだに私と並んで歩くジョバンニをチラリと見た。
「な・・!仕方がないだろう?!同じ方向何だからっ!」
「あ・・そう。てっきり私に気があるのかと思ったよ。」
「・・・・。」
何故かジョバンニから反応がない。
「?」
不思議に思ってジョバンニを見て私は絶句してしまった。何とジョバンニの顔が真っ赤に染まっているのだ。
「あ・・・あんた・・・もしかして、ひょっとして・・本当に私に気があるわけ・・?」
するとジョバンニの顔がますます赤く染まる。
「う、うるさいっ!だ、誰が・・・お前のような女に・・・!うぬぼれるなぁっ!」
そしてどこにそんな力があったのか、ジョバンニは猛ダッシュで私の脇をすり抜けて走り去っていった。
「・・・何?あれ?」
まあいいか。これでやっと静かになった・・・・。
そして私はいつもの速度で学校へ向けて歩き続けた―。
***
今日の4時間目の授業は家庭科だった。
まさか、こんな子息令嬢たちが通う学校で料理を勉強させるとは思わなかったけど・・・。
カカカカカカカカッ!
今、私はまな板の上でキャベツの千切りをしていた。ものすごい速さで均一に細くキャベツをカットしていく。
「す、すごい・・・すごすぎるわ・・っ!」
家庭科の先生だって目をまるくして私を見ているし、他の女生徒たちも羨望の眼差しで私を見ている。
どうよ?私のこの腕前・・・何せ管理栄養士の資格を持っているのだから、これくらいお手のものよ!
こうして、着実に私・・もとい、ロザリアのクラスでの地位は築き上げられていく・・・。ロザリア、貴女も努力するのよ・・・。
包丁を握り締め、ロザリアに向かって語り掛ける私であった―。
仕方がない・・この男の為に少しだけ歩く速度を落としてやるか・・・。
「お前・・最近馬車の改良・・とか言うのを試みただろう?」
ジョバンニは私に追いすがるようについて来る。
「うん。そうだけど?」
「知ってるか?お前の改良した馬車が巷でとても噂になっていることを。」
「え?そうなの?初めて知ったよ。」
「何だって?噂の元ネタはお前からなのに・・・本人がその話を知らないのか?」
ジョバンニは呆れたように私を見た。
「だって馬車をもう1週間も使っていないからね~そんなの知らないよ。」
スタスタスタスタ
「お、おい・・・お前・・歩く速度・・・は、速くなって・・・きてる・・ぞ・・。」
「まあ、そんな話はどうでもいいけどさ・・それであんたが馬車に乗ってこないのと私と一体何の関係があるのさ。」
「お、お前・・・・い、今・・・お、俺の事・・あんたって言ったな・・・。おい!速度あげるなぁ!」
「もう、うるさいなあ・・・呼び方なんてどうだっていいでしょう?それより早く理由教えてよ。」
「だから・・・お前が・・・快適な馬車・・ってのを・・・開発したから・・・御者の仲間内で・・その話が流行って・・・・皆、改良型馬車に乗りたがって・・馬車屋に依頼が殺到して・・・改良型馬車じゃないと・・御者をやらないって・・言い出していて・・・俺の処の御者たちも・・・ボイコットしてるんだよ・・・今馬車改良の予約待ちだ・・・。」
息切れしながらついて来るジョバンニ。
「へえ~・・・それは随分と面白いことになっていたんだねええ・・・ちっとも知らなかった。馬車屋さん・・・アイディア料をロイヤリティとして一部収益を私に還元してくれないかなぁ・・・。」
「へえ・・・お前。ロイヤリティなんて言葉知ってたのか?ひょっとして経営に興味でもあるのか?」
珍しくジョバンニが私の話に乗ってきた。
「別に・・・ただ受け取れるものがあるならそれなりの対価が欲しいと思うのが普通じゃないの?ところで・・・なんで私の後をついて来てるのよ?」
いまだに私と並んで歩くジョバンニをチラリと見た。
「な・・!仕方がないだろう?!同じ方向何だからっ!」
「あ・・そう。てっきり私に気があるのかと思ったよ。」
「・・・・。」
何故かジョバンニから反応がない。
「?」
不思議に思ってジョバンニを見て私は絶句してしまった。何とジョバンニの顔が真っ赤に染まっているのだ。
「あ・・・あんた・・・もしかして、ひょっとして・・本当に私に気があるわけ・・?」
するとジョバンニの顔がますます赤く染まる。
「う、うるさいっ!だ、誰が・・・お前のような女に・・・!うぬぼれるなぁっ!」
そしてどこにそんな力があったのか、ジョバンニは猛ダッシュで私の脇をすり抜けて走り去っていった。
「・・・何?あれ?」
まあいいか。これでやっと静かになった・・・・。
そして私はいつもの速度で学校へ向けて歩き続けた―。
***
今日の4時間目の授業は家庭科だった。
まさか、こんな子息令嬢たちが通う学校で料理を勉強させるとは思わなかったけど・・・。
カカカカカカカカッ!
今、私はまな板の上でキャベツの千切りをしていた。ものすごい速さで均一に細くキャベツをカットしていく。
「す、すごい・・・すごすぎるわ・・っ!」
家庭科の先生だって目をまるくして私を見ているし、他の女生徒たちも羨望の眼差しで私を見ている。
どうよ?私のこの腕前・・・何せ管理栄養士の資格を持っているのだから、これくらいお手のものよ!
こうして、着実に私・・もとい、ロザリアのクラスでの地位は築き上げられていく・・・。ロザリア、貴女も努力するのよ・・・。
包丁を握り締め、ロザリアに向かって語り掛ける私であった―。
11
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
『完結』人見知りするけど 異世界で 何 しようかな?
カヨワイさつき
恋愛
51歳の 桜 こころ。人見知りが 激しい為 、独身。
ボランティアの清掃中、車にひかれそうな女の子を
助けようとして、事故死。
その女の子は、神様だったらしく、お詫びに異世界を選べるとの事だけど、どーしよう。
魔法の世界で、色々と不器用な方達のお話。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
時を止めるって聖女の能力にしてもチートすぎるんじゃないんでしょうか?
南 玲子
恋愛
聖女として召喚されたけれども、まさかの魔力ゼロ判定で神殿から放り出された少女。サクラがささやかな夢。田舎でゆったり子沢山・・・を叶えるために騎士団訓練場で男として働き始めた。そこにいらっしゃった騎士団隊長のユーリス様と、王国の第一王子アルフリード殿下から溺愛されることになり、いや・・・わたし今男なんだけれども・・・あれ?男の振りした女で、今は女装中で・・・?!訳のわからない事になってる!?しかも王位争いに巻き込まれて、田舎でゆっくり子沢山の夢は、どうなるの?!
突然異世界に召喚された剣道少女が、ポジティブに異世界を生き抜いていく。恋愛とアクション半々の物語です。
第一部完結しています。第二部はアルファとベータに分けて公開します。アルファはもう完成済みで、4つに分けて4月28日0時に公開します。毎週金曜日0時公開です。アルファもよろしくお願いします。
【完結】転生少女の立ち位置は 〜婚約破棄前から始まる、毒舌天使少女の物語〜
白井夢子
恋愛
「真実の愛ゆえの婚約破棄って、所詮浮気クソ野郎ってことじゃない?」
巷で流行ってる真実の愛の物語を、普段から軽くあしらっていた。
そんな私に婚約者が静かに告げる。
「心から愛する女性がいる。真実の愛を知った今、彼女以外との未来など考えられない。
君との婚約破棄をどうか受け入れてほしい」
ーー本当は浮気をしている事は知っていた。
「集めた証拠を突きつけて、みんなの前で浮気を断罪した上で、高らかに婚約破棄を告げるつもりだったのに…断罪の舞台に立つ前に自白して、先に婚約破棄を告げるなんて!浮気野郎の風上にも置けない軟弱下衆男だわ…」
そう呟く私を残念そうに見つめる義弟。
ーー婚約破棄のある転生人生が、必ずしも乙女ゲームの世界とは限らない。
この世界は乙女ゲームなのか否か。
転生少女はどんな役割を持って生まれたのか。
これは転生人生に意味を見出そうとする令嬢と、それを見守る苦労人の義弟の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる