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第1章 15 太る環境
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「え・・・?何、これ・・・。」
今私はメイドたちに連れられて自室へ戻り、部屋の真ん中に置かれた真っ白なロココ調ダイニングテーブルセットの椅子に座っている。しかも椅子の座面と背もたれ部分はまたしてもどこぞの国のお姫様が好むようなゴブラン織り?風の淡いベージュ柄なのだが・・・全っ然私の好みではないっ!
挙句に目の前には3段のティースタンドにこれでもかというくらい、見ているだけで胸やけがしそうな甘ったるいスイーツが並べられている。それどころかティースタンドの周りにもサンドイッチやらスコーン、パンケーキが並んでいるのだから呆れてしまった。
「あの・・・これは一体何かな・・・?」
私は隣に立って紅茶をいれている赤毛のメイドさんに尋ねてみた。
「はい、アフターヌーンティーでございます。」
トポポポ・・・・。
熱い湯気の立つお湯を茶葉の入ったポットに慣れた手つきで注ぎながらメイドさんは答えた。
「ア・・アフタヌーンティーって・・・・。」
私は窓の外を見た。
アーチ状の大きな窓から揺れるレースのカーテンの向こうの空には・・・1番星が見えている。
「あの・・・どう見てもアフタヌーンティーの時間に見えないのだけど・・・。今何時なの?」
「はい、17時半でございます。いつもならもっと早い時間にロザリア様はアフタヌーンティーを楽しまれておりますが・・何分ごたごたしたことがございましたので、準備する時間が遅くなってしまい、申し訳ございません。」
ぺこりと頭を下げるメイドさんに尋ねた。
「それじゃあ・・夕食って何時なの?」
「18時半でございます。」
「え・・?」
いやいや・・あと1時間で夕食なら・・・こんなの絶対にいらないよねっ?!しかもこれ・・何人分あるのよ・・・って、まさか・・他にも誰か来るのかな?
「あの・・ちょっと聞いてもいい?」
このメイドさん・・きっと私より年下だろう。だから私は普通にしゃべる。
「はい、何でございましょう?」
「あと何人来るの?」
「はい?」
メイドさんは首をかしげる。
「いやいや・・・だから、あと何人お茶しにここへ来るのかなと思って。」
「どなたもいらっしゃいませんが?」
「え・・・?」
「これはロザリア様お1人の分ですが・・?」
「な・・・何・・?」
言われてみれば、ティーセットは一人分しかないし、フォークもナイフもスプーンも1本ずつしか取り皿の上に置かれていない。じょ・・・冗談じゃないっ!こんなに食べられるかっ!
しかし・・・ああ、悲しいことにこの身体には最早ロザリアのデブの本性が宿っているみたいで急にお腹がすき始めてきて・・・ふらふらとスイーツに手が伸びて・・。
「いいなりになるかぁっ!!」
私は伸びる右手を左手で抑えた。
「あ、あの・・お嬢様・・・?いかがされましたか・・?」
メイドさんは私のとった奇妙な行動におろおろしている。
「あ・・あのねえ・・こ、このスイーツ・・・ぜ、全部・・下げてくれる・・?わ、私は紅茶だけでいいからさ・・・。」
伸びる右腕を左手で握りしめて本能に抗いながら、荒い息を吐きつつ私はメイドさんを見上げた。
「で、ですが・・・そ・そんな事をしたら・・料理長にし、叱られてしまいます・・。」
メイドさんは涙目になっている。
「な・・なら、このスイーツ・・・・皆を呼んできて・・・た、食べちゃってよ・・・。」
「え・・・よろしいのですか・・?す、すぐに皆を呼んできますっ!」
メイドさんは脱兎のごとく部屋を走って出て行った。そしてすぐに5名のメイドを連れてくると、彼女たちは全員頭を下げてきた。
「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」
そしてあっけにとられる私を前に彼女たちは全員立ったまま、押し合いへし合いしながらスイーツに手を伸ばし・・・物の10分足らずで完食してしまったのだった
「「「「「「おいしかったですっ!」」」」」」
全員完食すると、てきぱきと部屋を片付け・・・5分後にはアフタヌーンティーの痕跡すら残されてはいなかった。
「ロザリア様。本当にありがとうございました。」
5人のメイドさんたちが去ったあと、赤毛のメイドさんが私にお礼を言ってきた。
「ああ~いいのよ、あれくらい・・でも、もう私にはさっきみたいなお茶セットはいらないからね?紅茶だけもらうから。」
「はい、ロザリア様。ではさっそくお紅茶をご用意致しました。」
私は再度椅子にすわり、紅茶を一口飲みこんで・・・あまりの甘さに吹き出しそうになってしまった。
「ね・・ねえ・・この紅茶・・・砂糖どれだけ入っているの?」
「角砂糖7個ですが?」
・・・だめだ・・飲み物だけでも太りそうだ・・・。
「あのね・・・もう今度から紅茶に砂糖は入れないでね?」
「は、はあ・・かしこまりました・・。」
私は溜息をついた。
この身体を痩せさせるのは容易じゃなさそうだ―。
今私はメイドたちに連れられて自室へ戻り、部屋の真ん中に置かれた真っ白なロココ調ダイニングテーブルセットの椅子に座っている。しかも椅子の座面と背もたれ部分はまたしてもどこぞの国のお姫様が好むようなゴブラン織り?風の淡いベージュ柄なのだが・・・全っ然私の好みではないっ!
挙句に目の前には3段のティースタンドにこれでもかというくらい、見ているだけで胸やけがしそうな甘ったるいスイーツが並べられている。それどころかティースタンドの周りにもサンドイッチやらスコーン、パンケーキが並んでいるのだから呆れてしまった。
「あの・・・これは一体何かな・・・?」
私は隣に立って紅茶をいれている赤毛のメイドさんに尋ねてみた。
「はい、アフターヌーンティーでございます。」
トポポポ・・・・。
熱い湯気の立つお湯を茶葉の入ったポットに慣れた手つきで注ぎながらメイドさんは答えた。
「ア・・アフタヌーンティーって・・・・。」
私は窓の外を見た。
アーチ状の大きな窓から揺れるレースのカーテンの向こうの空には・・・1番星が見えている。
「あの・・・どう見てもアフタヌーンティーの時間に見えないのだけど・・・。今何時なの?」
「はい、17時半でございます。いつもならもっと早い時間にロザリア様はアフタヌーンティーを楽しまれておりますが・・何分ごたごたしたことがございましたので、準備する時間が遅くなってしまい、申し訳ございません。」
ぺこりと頭を下げるメイドさんに尋ねた。
「それじゃあ・・夕食って何時なの?」
「18時半でございます。」
「え・・?」
いやいや・・あと1時間で夕食なら・・・こんなの絶対にいらないよねっ?!しかもこれ・・何人分あるのよ・・・って、まさか・・他にも誰か来るのかな?
「あの・・ちょっと聞いてもいい?」
このメイドさん・・きっと私より年下だろう。だから私は普通にしゃべる。
「はい、何でございましょう?」
「あと何人来るの?」
「はい?」
メイドさんは首をかしげる。
「いやいや・・・だから、あと何人お茶しにここへ来るのかなと思って。」
「どなたもいらっしゃいませんが?」
「え・・・?」
「これはロザリア様お1人の分ですが・・?」
「な・・・何・・?」
言われてみれば、ティーセットは一人分しかないし、フォークもナイフもスプーンも1本ずつしか取り皿の上に置かれていない。じょ・・・冗談じゃないっ!こんなに食べられるかっ!
しかし・・・ああ、悲しいことにこの身体には最早ロザリアのデブの本性が宿っているみたいで急にお腹がすき始めてきて・・・ふらふらとスイーツに手が伸びて・・。
「いいなりになるかぁっ!!」
私は伸びる右手を左手で抑えた。
「あ、あの・・お嬢様・・・?いかがされましたか・・?」
メイドさんは私のとった奇妙な行動におろおろしている。
「あ・・あのねえ・・こ、このスイーツ・・・ぜ、全部・・下げてくれる・・?わ、私は紅茶だけでいいからさ・・・。」
伸びる右腕を左手で握りしめて本能に抗いながら、荒い息を吐きつつ私はメイドさんを見上げた。
「で、ですが・・・そ・そんな事をしたら・・料理長にし、叱られてしまいます・・。」
メイドさんは涙目になっている。
「な・・なら、このスイーツ・・・・皆を呼んできて・・・た、食べちゃってよ・・・。」
「え・・・よろしいのですか・・?す、すぐに皆を呼んできますっ!」
メイドさんは脱兎のごとく部屋を走って出て行った。そしてすぐに5名のメイドを連れてくると、彼女たちは全員頭を下げてきた。
「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」
そしてあっけにとられる私を前に彼女たちは全員立ったまま、押し合いへし合いしながらスイーツに手を伸ばし・・・物の10分足らずで完食してしまったのだった
「「「「「「おいしかったですっ!」」」」」」
全員完食すると、てきぱきと部屋を片付け・・・5分後にはアフタヌーンティーの痕跡すら残されてはいなかった。
「ロザリア様。本当にありがとうございました。」
5人のメイドさんたちが去ったあと、赤毛のメイドさんが私にお礼を言ってきた。
「ああ~いいのよ、あれくらい・・でも、もう私にはさっきみたいなお茶セットはいらないからね?紅茶だけもらうから。」
「はい、ロザリア様。ではさっそくお紅茶をご用意致しました。」
私は再度椅子にすわり、紅茶を一口飲みこんで・・・あまりの甘さに吹き出しそうになってしまった。
「ね・・ねえ・・この紅茶・・・砂糖どれだけ入っているの?」
「角砂糖7個ですが?」
・・・だめだ・・飲み物だけでも太りそうだ・・・。
「あのね・・・もう今度から紅茶に砂糖は入れないでね?」
「は、はあ・・かしこまりました・・。」
私は溜息をついた。
この身体を痩せさせるのは容易じゃなさそうだ―。
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