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第1章 8 私のおうちは何所ですか?
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キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン・・・・
ああ・・とうとう・・授業が終わってしまった・・・。
「はあ~・・・・これからどうしよう・・・。」
椅子に座り、私は深いため息をついた。何故授業が終わって、これほどまでに私が悩んでいるかと言うと・・・・。それは、ズバリ自分の家が分からないからだ。さっきからずっと頭の中でロザリアに呼びかけているのに、寝ているのか、それともどっかに意識が飛んでいるのか、うんともすんとも反応が無い。なので私はこの身体の持ち主の家が分からず、途方に暮れていたのだ。周りを見渡せばどんどん生徒たちは教室を去って行く。
気付けば、あのセレナの姿も消えていた。なすすべも無く椅子に座っていると、廊下で男女の話声が聞こえてきた。
「あれ?ロザリアじゃないか。お前、こんなところで何してるんだ?」
不意に声をかけられ、顔を上げるとそこにはジョバンニがセレナと一緒に廊下から私を見つめている。セレナはジョバンニの腕に自分の腕を絡めているが・・今は私の意識の中にロザリアは存在していないので、仲睦まじげな2人を見ても何も感じる事は無かった。
「ロザリア、何でお前いつまでも教室に残ってるんだよ。」
そんなジョバンニの腕を引きながらセレナは言う。
「ねえ・・・ジョバンニ様。帰りましょうよ・・・。」
あ~・・・あのセレナって少女、完璧に猫被ってるよ。全くやな女だね。
「ごめん。ちょっと待っててくれる?あれでも一応ロザリアは俺の婚約者だからさ。」
ジョバンニはセレナに優し気な声と顔で語り掛けるが、あれでも~とか、一応婚約者だから・・・とか、随分失礼な態度をロザリアに取ってるのが気にくわない。
「あの、いちゃつくなら他でやってくれる?」
頬杖を突きながら言うと、ジョバンニは真っ赤な顔をして反論してきた。
「はあ?これのどこがいちゃついているって言うんだよ?」
「そう?でも一応婚約者の前で腕を組んで、2人仲良く帰ろうとしているのはどうかと思うけどね。これって浮気って言うんじゃないの?」
面倒くさそうに私が言うと、ますますジョバンニはイライラし始めた。
「うるさいな・・・。俺がこんな風にお前に嫌気がさしたのは全てお前のせいだからな?」
「は?何で私のせいなの?」
そんなこと言われても私には少しも状況が理解出来ない。大体私がこの身体にいきなり憑依?してしまったのはつい、数時間前の事なのだから。
「そもそもお前が努力を怠り、成績は下降し、好きなだけ自分の食べたいものを食べ続け、そんな体系になるし・・・だから、俺はお前に嫌気がさしたんだ!おまけに・・すっかり根暗な性格になったかと思えば・・・挙句に何だ?今度は随分生意気な態度をとってくるし・・いいか?その気になれば、婚約なんていつでも破棄する事が出来るんだからな?!もういい、帰ろう!セレナッ!」
「ええ、帰りましょう。ジョバンニ様。」
そう言ってセレナの肩を抱いて帰りかけた処を私は呼び止めた。
「ちょっと待ったーっ!」
「・・・何だよ。まだ何か用があるのか?」
私は椅子から立ち上がると、面倒くさそうにこちらを向いているジョバンにツカツカと近寄ると言った。
「ねえ、貴方・・私の家知ってる?」
「はあ・・?ロザリア。お前何言ってるんだ?ふざけてるのか?」
「別にふざけてるわけじゃないけど・・・言ったでしょう?記憶喪失になってしまったって。だから家が分からなくて教室に残っていたのよ。」
ジョバンニは暫く私をじっと見つめると言った。
「どうやら・・冗談じゃなさそうだな。よし、仕方ない。俺が連れ帰ってやる。一応まだ俺はお前の婚約者だからな。早くカバン取って来いよ。」
「あ、本当?ありがとう。」
そしてチラリとセレナを見ると、明らかに彼女は不満そうな顔をしてこちらを睨みつけていた―
ああ・・とうとう・・授業が終わってしまった・・・。
「はあ~・・・・これからどうしよう・・・。」
椅子に座り、私は深いため息をついた。何故授業が終わって、これほどまでに私が悩んでいるかと言うと・・・・。それは、ズバリ自分の家が分からないからだ。さっきからずっと頭の中でロザリアに呼びかけているのに、寝ているのか、それともどっかに意識が飛んでいるのか、うんともすんとも反応が無い。なので私はこの身体の持ち主の家が分からず、途方に暮れていたのだ。周りを見渡せばどんどん生徒たちは教室を去って行く。
気付けば、あのセレナの姿も消えていた。なすすべも無く椅子に座っていると、廊下で男女の話声が聞こえてきた。
「あれ?ロザリアじゃないか。お前、こんなところで何してるんだ?」
不意に声をかけられ、顔を上げるとそこにはジョバンニがセレナと一緒に廊下から私を見つめている。セレナはジョバンニの腕に自分の腕を絡めているが・・今は私の意識の中にロザリアは存在していないので、仲睦まじげな2人を見ても何も感じる事は無かった。
「ロザリア、何でお前いつまでも教室に残ってるんだよ。」
そんなジョバンニの腕を引きながらセレナは言う。
「ねえ・・・ジョバンニ様。帰りましょうよ・・・。」
あ~・・・あのセレナって少女、完璧に猫被ってるよ。全くやな女だね。
「ごめん。ちょっと待っててくれる?あれでも一応ロザリアは俺の婚約者だからさ。」
ジョバンニはセレナに優し気な声と顔で語り掛けるが、あれでも~とか、一応婚約者だから・・・とか、随分失礼な態度をロザリアに取ってるのが気にくわない。
「あの、いちゃつくなら他でやってくれる?」
頬杖を突きながら言うと、ジョバンニは真っ赤な顔をして反論してきた。
「はあ?これのどこがいちゃついているって言うんだよ?」
「そう?でも一応婚約者の前で腕を組んで、2人仲良く帰ろうとしているのはどうかと思うけどね。これって浮気って言うんじゃないの?」
面倒くさそうに私が言うと、ますますジョバンニはイライラし始めた。
「うるさいな・・・。俺がこんな風にお前に嫌気がさしたのは全てお前のせいだからな?」
「は?何で私のせいなの?」
そんなこと言われても私には少しも状況が理解出来ない。大体私がこの身体にいきなり憑依?してしまったのはつい、数時間前の事なのだから。
「そもそもお前が努力を怠り、成績は下降し、好きなだけ自分の食べたいものを食べ続け、そんな体系になるし・・・だから、俺はお前に嫌気がさしたんだ!おまけに・・すっかり根暗な性格になったかと思えば・・・挙句に何だ?今度は随分生意気な態度をとってくるし・・いいか?その気になれば、婚約なんていつでも破棄する事が出来るんだからな?!もういい、帰ろう!セレナッ!」
「ええ、帰りましょう。ジョバンニ様。」
そう言ってセレナの肩を抱いて帰りかけた処を私は呼び止めた。
「ちょっと待ったーっ!」
「・・・何だよ。まだ何か用があるのか?」
私は椅子から立ち上がると、面倒くさそうにこちらを向いているジョバンにツカツカと近寄ると言った。
「ねえ、貴方・・私の家知ってる?」
「はあ・・?ロザリア。お前何言ってるんだ?ふざけてるのか?」
「別にふざけてるわけじゃないけど・・・言ったでしょう?記憶喪失になってしまったって。だから家が分からなくて教室に残っていたのよ。」
ジョバンニは暫く私をじっと見つめると言った。
「どうやら・・冗談じゃなさそうだな。よし、仕方ない。俺が連れ帰ってやる。一応まだ俺はお前の婚約者だからな。早くカバン取って来いよ。」
「あ、本当?ありがとう。」
そしてチラリとセレナを見ると、明らかに彼女は不満そうな顔をしてこちらを睨みつけていた―
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