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4-5 狂気に囚われたカサンドラ
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「カサンドラ・・・私よ。ライザよ。」
私は薄暗い部屋の中にいるカサンドラに向って呼びかけた。
「え・・?まさか・・・ライザ?!」
するとカチャンカチャンと金属がぶつかり合うような音が聞こえ、カーテンがシャッと開けられた。
途端に部屋の中が太陽の光で満たされた。そして窓を背に立っていたのは・・・。
「カ・・・カサンドラ・・?カサンドラなの・・?」
「ライザ・・本当に・・ライザなのね・?」
カサンドラは目に涙をいっぱいに浮かべて立っているのだが、髪はぼさぼさに乱れ、真っ白いネグリジェを着た姿は・・・まるで幽霊のようにも見えてしまう。肌は青白く血色も悪い。常に1日中泣いてくらしているのだろうか?目は真っ赤に充血している。その姿はとても恐ろしく・・思わず足が震えてしまう。
「フフフ・・・貴女も今の私の姿が怖い?私も怖いの。だから部屋を暗くしてるのよ?なかなか良いアイデアでしょう?」
カサンドラは両手を広げて立って見せた。右足には確かに金属製の足かせがはめられ、部屋の中央にある不自然な太い支柱にチェーンでくくり付けられている。
「ライザ・・・貴女は私と違ってすっかり見違えるほど美しくなったわねえ・・?フフフ・・・何て羨ましい・・・。」
「カサンドラ・・・一体、何があったの・・?外にいるフットマンに聞いたけど貴女をここに閉じ込めたのも、あし枷をはめて逃げられなくしたのも・・全て父の仕業だと聞いたけど・・・?」
するとカサンドラは言った。
「ねえ・・ライザ。それを貴女に話せば・・私を助けてくれるのかしら?」
「・・・。」
しかし私は答えなかった。何故なら私にはカサンドラを助ける義理は無い。今まで散々酷い目にあわされてきたのだから。
黙っているとカサンドラは腕組みをし、言った。
「そうよね・・・・。助けるはずないわよね・・・。私が逆の立場でも助けないもの。ああ、いい気味と思うわね、きっと。だけど・・・。」
「願いよっライザッ!私が悪かったわっ・・だからどうか助けてっ!私をここから逃がしてよ!お願いっ!」
突如カサンドラは態度が豹変し、両手を前に伸ばすと私に向って駆け寄ってきた。
こ、怖いっ!!思わず後ずさる私。
するとカサンドラのつながれていた鎖のチェーンがピンと伸びて、勢い余ってカサンドラは転倒する。
「う・・・。」
カサンドラは床に倒れこみ。両手を踏ん張って何とか起き上がろうとする。私はその鬼気迫る様子に言葉も出ない。
「ハア・・ハア・・・。」
カサンドラは必死で起き上がり、顔を上げると今度は叫んだ。
「ヒッ!!」
そして頭を抱え込んだ。
「イヤアアアッ!叔父様・・許してっ!お願いっ!もう・・・もう逃げないから・・・っ!」
そしてガタガタと震えだす。
「カ・・・カサンドラ・・・?」
駄目だ、カサンドラは・・もう完全に気が触れて呼びかけにも応じない。これではまともに話などできるはずもない。
そして今、カサンドラは天井を向いてケタケタと笑っている。その恐ろしい事。あれではまるで怨霊だ。私は身を翻し、部屋の中を飛び出した―。
「どうですか?カサンドラ様とお話しできましたか?」
青ざめた顔で部屋から飛び出してきた私にフットマンが尋ねてきた。
「あのねえ・・あんな状況で・・話なんてできるはずないでしょうっ?!」
私は自棄になって叫んだ。
「大体、私はカサンドラを助けてあげる為にこの屋敷へ来たわけじゃないのよ。カサンドラのメイドに言われて様子を見に来ただけなんだからっ!」
「そうでしたか・・・。」
フットマンはしょんぼりしたように言う。
とにかく、今の段階で分かるのは・・父がカサンドラに何かをしたのは間違いない。でも一体何をしたのだろう・・?
だけど・・。
別にもうこの屋敷の事なんて・・・・。
「もうどうだっていいけどね。」
私は言葉に出していた。そう、この屋敷がどうなろうと私には何も関係がない。何故ならすでに戸籍は抜けているのだから。
「帰るわ。お父様によろしく。」
私はフットマンに告げるとモンタナ家を後にした―。
私は薄暗い部屋の中にいるカサンドラに向って呼びかけた。
「え・・?まさか・・・ライザ?!」
するとカチャンカチャンと金属がぶつかり合うような音が聞こえ、カーテンがシャッと開けられた。
途端に部屋の中が太陽の光で満たされた。そして窓を背に立っていたのは・・・。
「カ・・・カサンドラ・・?カサンドラなの・・?」
「ライザ・・本当に・・ライザなのね・?」
カサンドラは目に涙をいっぱいに浮かべて立っているのだが、髪はぼさぼさに乱れ、真っ白いネグリジェを着た姿は・・・まるで幽霊のようにも見えてしまう。肌は青白く血色も悪い。常に1日中泣いてくらしているのだろうか?目は真っ赤に充血している。その姿はとても恐ろしく・・思わず足が震えてしまう。
「フフフ・・・貴女も今の私の姿が怖い?私も怖いの。だから部屋を暗くしてるのよ?なかなか良いアイデアでしょう?」
カサンドラは両手を広げて立って見せた。右足には確かに金属製の足かせがはめられ、部屋の中央にある不自然な太い支柱にチェーンでくくり付けられている。
「ライザ・・・貴女は私と違ってすっかり見違えるほど美しくなったわねえ・・?フフフ・・・何て羨ましい・・・。」
「カサンドラ・・・一体、何があったの・・?外にいるフットマンに聞いたけど貴女をここに閉じ込めたのも、あし枷をはめて逃げられなくしたのも・・全て父の仕業だと聞いたけど・・・?」
するとカサンドラは言った。
「ねえ・・ライザ。それを貴女に話せば・・私を助けてくれるのかしら?」
「・・・。」
しかし私は答えなかった。何故なら私にはカサンドラを助ける義理は無い。今まで散々酷い目にあわされてきたのだから。
黙っているとカサンドラは腕組みをし、言った。
「そうよね・・・・。助けるはずないわよね・・・。私が逆の立場でも助けないもの。ああ、いい気味と思うわね、きっと。だけど・・・。」
「願いよっライザッ!私が悪かったわっ・・だからどうか助けてっ!私をここから逃がしてよ!お願いっ!」
突如カサンドラは態度が豹変し、両手を前に伸ばすと私に向って駆け寄ってきた。
こ、怖いっ!!思わず後ずさる私。
するとカサンドラのつながれていた鎖のチェーンがピンと伸びて、勢い余ってカサンドラは転倒する。
「う・・・。」
カサンドラは床に倒れこみ。両手を踏ん張って何とか起き上がろうとする。私はその鬼気迫る様子に言葉も出ない。
「ハア・・ハア・・・。」
カサンドラは必死で起き上がり、顔を上げると今度は叫んだ。
「ヒッ!!」
そして頭を抱え込んだ。
「イヤアアアッ!叔父様・・許してっ!お願いっ!もう・・・もう逃げないから・・・っ!」
そしてガタガタと震えだす。
「カ・・・カサンドラ・・・?」
駄目だ、カサンドラは・・もう完全に気が触れて呼びかけにも応じない。これではまともに話などできるはずもない。
そして今、カサンドラは天井を向いてケタケタと笑っている。その恐ろしい事。あれではまるで怨霊だ。私は身を翻し、部屋の中を飛び出した―。
「どうですか?カサンドラ様とお話しできましたか?」
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とにかく、今の段階で分かるのは・・父がカサンドラに何かをしたのは間違いない。でも一体何をしたのだろう・・?
だけど・・。
別にもうこの屋敷の事なんて・・・・。
「もうどうだっていいけどね。」
私は言葉に出していた。そう、この屋敷がどうなろうと私には何も関係がない。何故ならすでに戸籍は抜けているのだから。
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