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「え・・・?サミュエル皇子・・何故ここに・・・?」
ブドウを持ったままポカンとしているとサミュエル皇子はクックッと肩を揺らして笑うと言った。
「やぁ、レベッカ。君は相変わらずだねえ?初めて会った時もマナー無用の食べっぷり。あの時は本当に皇女なのかと疑ってしまったよ。それにあのパーティ会場での見事な飲みっぷりも見ものだったな~。でも君のお陰で楽しませてもらったけどね?」
そして私の方に近付いてくると、ブドウを持っていない左手を取って来た。
「どうだい?レベッカ。あんなクズ皇子とは離婚して俺の国へ来ないかい?俺は幸いまだ独身だし3番目の皇子で権力争いからも除外しされているから決められた女性もまだいない。だから俺の国へ花嫁として来ないかい?君なら再婚だろうが、再々婚だろうが構わないよ?」
まるで冗談なのか本気なのか分からない話を大真面目にするサミュエル皇子。でもクズ皇子と言う部分は賛同出来る。するとランス皇子が口を挟んできた。
「おいおい・・本気で言ってるのか?サミュエル。それは駄目だよ。レベッカ皇女はこの国に無くてはならない人なのだから。彼女はこの国の守り神なんだからね?もしいなくなられでもしたら大変だ。」
「え?!ランス皇子っ?!」
まるでその口ぶりは私の力を知っているかのような言い方だ。ま、まさか・・ランス皇子に私の能力がバレてしまっている・・?しかし・・・。
「あの~・・・サミュエル皇子。」
「何だい?レべッカ?」
甘い声でにっこり微笑んでくるサミュエル皇子に言った。
「ブドウが食べられないので手を放して頂けますか?」
「「は・・・?」」
2人の皇子は私の発言に固まっている。そして・・・・。
「「アハハハハッ!!」」
2人揃って一斉に笑い出した。
「何がおかしいのですか?」
さりげなくサミュエル皇子の手を離すと私は尋ねた。
「い、いや・・・まさかガーランド国一番の美形と言われているサミュエルに手を取られているのに『ブドウが食べられないので手を放して頂けますか?』なんて言う女性が現れるとは・・お、思わなかったよ。」
ランス皇子は笑いながら言う。
「う~ん・・俺ってそんなに君にとっては魅力的じゃないのかな?」
サミュエル皇子は真剣な顔で尋ねて来るが・・私は分かっている。何故サミュエル皇子がわざわざこの国へやってきたかと言う事を・・・。
「とりあえず・・・皆で座って話をしませんか?」
2人に私は椅子を勧めた―。
****
私たちは今、3人でテーブルを囲んで椅子に座って大きなさらに乗ったフルーツを食べながら会話をしていた。
「へえ~・・このイチゴ、とっても甘くておいしいじゃないか・・・我が国のイチゴなんて、酸っぱくてお酒やジャム、紅茶のように加工しないと口に出来ないのに。」
サミュエル皇子が驚きの顔を見せた。
「どうだい、すごいだろう?ここの果樹園は全部僕が所有している果樹園なんだけどね、今はレベッカ皇女が管理をしているんだよ。そしたら見る見るうちに果樹園の実が甘く、美味しく育ってきたのさ。これも全てレベッカ皇女が開発した肥料のおかげなんだけどね。」
ランス皇子が得意げに言う。
「へ~・・そうなのか・・・。それって凄いね。」
サミュエル皇子が感心している。
「いえ、それほどでもないのですけどね・・・。」
本当は自分の加護を与えた、ただの肥料を果樹園にまいて私が世話をしているからなんだけどね。
「それじゃ是非とも我が国にもレベッカの農業の知識を分けて貰いたいものだ。と言う訳でアレックスとは別れて俺の処にお嫁においで?」
サミュエル皇子の冗談はさておき・・・。
「サミュエル皇子、本当は・・そんな事を言う為にここへ来たわけじゃないですよね?」
「ああ、やっぱり分かったかな?そうだよ。実は様子を見に来たんだよ。あの2人の・・・。」
そこまで言いかけた時、サミュエル皇子は何かに気付いたのか突然立ち上がった―。
ブドウを持ったままポカンとしているとサミュエル皇子はクックッと肩を揺らして笑うと言った。
「やぁ、レベッカ。君は相変わらずだねえ?初めて会った時もマナー無用の食べっぷり。あの時は本当に皇女なのかと疑ってしまったよ。それにあのパーティ会場での見事な飲みっぷりも見ものだったな~。でも君のお陰で楽しませてもらったけどね?」
そして私の方に近付いてくると、ブドウを持っていない左手を取って来た。
「どうだい?レベッカ。あんなクズ皇子とは離婚して俺の国へ来ないかい?俺は幸いまだ独身だし3番目の皇子で権力争いからも除外しされているから決められた女性もまだいない。だから俺の国へ花嫁として来ないかい?君なら再婚だろうが、再々婚だろうが構わないよ?」
まるで冗談なのか本気なのか分からない話を大真面目にするサミュエル皇子。でもクズ皇子と言う部分は賛同出来る。するとランス皇子が口を挟んできた。
「おいおい・・本気で言ってるのか?サミュエル。それは駄目だよ。レベッカ皇女はこの国に無くてはならない人なのだから。彼女はこの国の守り神なんだからね?もしいなくなられでもしたら大変だ。」
「え?!ランス皇子っ?!」
まるでその口ぶりは私の力を知っているかのような言い方だ。ま、まさか・・ランス皇子に私の能力がバレてしまっている・・?しかし・・・。
「あの~・・・サミュエル皇子。」
「何だい?レべッカ?」
甘い声でにっこり微笑んでくるサミュエル皇子に言った。
「ブドウが食べられないので手を放して頂けますか?」
「「は・・・?」」
2人の皇子は私の発言に固まっている。そして・・・・。
「「アハハハハッ!!」」
2人揃って一斉に笑い出した。
「何がおかしいのですか?」
さりげなくサミュエル皇子の手を離すと私は尋ねた。
「い、いや・・・まさかガーランド国一番の美形と言われているサミュエルに手を取られているのに『ブドウが食べられないので手を放して頂けますか?』なんて言う女性が現れるとは・・お、思わなかったよ。」
ランス皇子は笑いながら言う。
「う~ん・・俺ってそんなに君にとっては魅力的じゃないのかな?」
サミュエル皇子は真剣な顔で尋ねて来るが・・私は分かっている。何故サミュエル皇子がわざわざこの国へやってきたかと言う事を・・・。
「とりあえず・・・皆で座って話をしませんか?」
2人に私は椅子を勧めた―。
****
私たちは今、3人でテーブルを囲んで椅子に座って大きなさらに乗ったフルーツを食べながら会話をしていた。
「へえ~・・このイチゴ、とっても甘くておいしいじゃないか・・・我が国のイチゴなんて、酸っぱくてお酒やジャム、紅茶のように加工しないと口に出来ないのに。」
サミュエル皇子が驚きの顔を見せた。
「どうだい、すごいだろう?ここの果樹園は全部僕が所有している果樹園なんだけどね、今はレベッカ皇女が管理をしているんだよ。そしたら見る見るうちに果樹園の実が甘く、美味しく育ってきたのさ。これも全てレベッカ皇女が開発した肥料のおかげなんだけどね。」
ランス皇子が得意げに言う。
「へ~・・そうなのか・・・。それって凄いね。」
サミュエル皇子が感心している。
「いえ、それほどでもないのですけどね・・・。」
本当は自分の加護を与えた、ただの肥料を果樹園にまいて私が世話をしているからなんだけどね。
「それじゃ是非とも我が国にもレベッカの農業の知識を分けて貰いたいものだ。と言う訳でアレックスとは別れて俺の処にお嫁においで?」
サミュエル皇子の冗談はさておき・・・。
「サミュエル皇子、本当は・・そんな事を言う為にここへ来たわけじゃないですよね?」
「ああ、やっぱり分かったかな?そうだよ。実は様子を見に来たんだよ。あの2人の・・・。」
そこまで言いかけた時、サミュエル皇子は何かに気付いたのか突然立ち上がった―。
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