84 / 118
6-3 鉱石発掘ツアー
しおりを挟む
「では、皆さん。私に着いてきて頂けますか?」
あれから私は10分程時間を巻き戻し、グランダ王国の偉い人達を前に語っている。
「しかし、本当にこの洞窟の奥に鉱石があるのかね?そのような話は聞いたことがないぞ?」
口ひげを生やした偉そうな人が言う。
「まあまあ・・・百聞は一見に如かずです。とにかく皆さん、私とミラージュの後に着いてきてください。それでは鉱石探索ツアーに出発しますよ?ミラージュ。準備は大丈夫?」
私はミラージュを振り返り、尋ねた。
「はい、レベッカ様。準備は出来ております。」
私達の足元には11個のカンテラが並べられてある。
「では、火を付けますので皆さん1人一個ずつ、持って下さいね。はい、どうぞ。」
そして私とミラージュは半信半疑の偉い人々全員にカンテラを配り終えた。勿論ランス皇子もカンテラを手に持っている。
「楽しみだね。本当に鉱石が見つかったら、大したものだよ?」
ランス皇子はニコニコしながら私に言った。
「ええ。ばっちりです。お任せください。」
他の人達はまだ疑い深い目で見ているが、そんな事を一々気にしてはいられない。
「はい、では出発しまーす!」
私は陽気な声で言うと、心の中で祈りを捧げた。
―どうか沢山の鉱石が現れますように― と・・・。
****
「うおおっ!こ、これはすごいっ!」
「何と!このように大きな水晶の原石が見つかるとは!」
「ああっ!し、信じられん・・・ダイヤだっ!ダイヤモンドだっ!」
もはやこの洞窟内は人々の歓喜の声が響き渡っていた。そして彼らは誰もが必死で鉱石を掘り起こそうと念の為に用意して置いたつるはしをカンカン振り下ろしている。
その様子を満足げに見つめる私とミラージュ。
「レベッカ様・・随分今回はサービスしましたね?」
耳元でミラージュが囁いて来た。
「フフフ・・・まあね。生半可な量では・・彼らは満足してくれないでしょう?それにしても・・すごい光景ね・・。」
私は彼らの様子を半ばあきれたように見た。
彼らは全員目を血走らせて、中にはおじいちゃんのような人もいるのに、つるはしを振るって鉱石を掘ろうとしているのだから。いやはやその凄まじさと言ったら・・。その時、背後から声を掛けられた。
「レベッカ皇女。」
振り向くとランス皇子だった。
「君のお陰だね。多分・・・鉱石が採掘出来るようになったのは。」
意味深な笑みを浮かべながらランス皇子が言う。
「え?ええ・・まぁ・・そんなところですね。私は鉱脈を見つけるのが得意なんです。」
するとミラージュが言った。
「レベッカ様・・・かれこれもう1時間以上経過していますけど・・いつまで彼らに鉱石を掘らせ続けるのでしょう?」
「そう言えばそうね・・・。まさかこんな事になるとは思わなかったから・・。」
私の中では鉱石がこの洞窟の中にある事だけを告げたら、次のステップへ進もうと思っていたのに・・。
「そうだね、このままじゃきりがない。そろそろ終わらせた方が良さそうだね。鉱石掘りは専門家たちに任せるべきだよ。」
ランス皇子が至極まっとうな事を言う。
「ええ、そうですね。それでは・・・私にお任せください。」
ミラージュが進み出ると、あちこちで鉱石掘りを続けている偉い人達に超音波交じりの声で呼びかけた。
「はい!皆さん!そこまでですっ!」
キーン・・・ッ!!
響き渡る金属製の音に耳を押さえてうずくまる彼ら。
「よ、よせっ!」
「た・頼むから・・その声を出さないでくれっ!」
「ぬああああッ!み、耳があっ!」
やがて辺りが静まり返ると、そこには耳を押さえてうずくまる人々がいる。
「はい、皆さん。それでは鉱石掘りはここまでです。次の場所へ行きましょう!」
私は大きな声でお偉い人達に呼びかけた―。
あれから私は10分程時間を巻き戻し、グランダ王国の偉い人達を前に語っている。
「しかし、本当にこの洞窟の奥に鉱石があるのかね?そのような話は聞いたことがないぞ?」
口ひげを生やした偉そうな人が言う。
「まあまあ・・・百聞は一見に如かずです。とにかく皆さん、私とミラージュの後に着いてきてください。それでは鉱石探索ツアーに出発しますよ?ミラージュ。準備は大丈夫?」
私はミラージュを振り返り、尋ねた。
「はい、レベッカ様。準備は出来ております。」
私達の足元には11個のカンテラが並べられてある。
「では、火を付けますので皆さん1人一個ずつ、持って下さいね。はい、どうぞ。」
そして私とミラージュは半信半疑の偉い人々全員にカンテラを配り終えた。勿論ランス皇子もカンテラを手に持っている。
「楽しみだね。本当に鉱石が見つかったら、大したものだよ?」
ランス皇子はニコニコしながら私に言った。
「ええ。ばっちりです。お任せください。」
他の人達はまだ疑い深い目で見ているが、そんな事を一々気にしてはいられない。
「はい、では出発しまーす!」
私は陽気な声で言うと、心の中で祈りを捧げた。
―どうか沢山の鉱石が現れますように― と・・・。
****
「うおおっ!こ、これはすごいっ!」
「何と!このように大きな水晶の原石が見つかるとは!」
「ああっ!し、信じられん・・・ダイヤだっ!ダイヤモンドだっ!」
もはやこの洞窟内は人々の歓喜の声が響き渡っていた。そして彼らは誰もが必死で鉱石を掘り起こそうと念の為に用意して置いたつるはしをカンカン振り下ろしている。
その様子を満足げに見つめる私とミラージュ。
「レベッカ様・・随分今回はサービスしましたね?」
耳元でミラージュが囁いて来た。
「フフフ・・・まあね。生半可な量では・・彼らは満足してくれないでしょう?それにしても・・すごい光景ね・・。」
私は彼らの様子を半ばあきれたように見た。
彼らは全員目を血走らせて、中にはおじいちゃんのような人もいるのに、つるはしを振るって鉱石を掘ろうとしているのだから。いやはやその凄まじさと言ったら・・。その時、背後から声を掛けられた。
「レベッカ皇女。」
振り向くとランス皇子だった。
「君のお陰だね。多分・・・鉱石が採掘出来るようになったのは。」
意味深な笑みを浮かべながらランス皇子が言う。
「え?ええ・・まぁ・・そんなところですね。私は鉱脈を見つけるのが得意なんです。」
するとミラージュが言った。
「レベッカ様・・・かれこれもう1時間以上経過していますけど・・いつまで彼らに鉱石を掘らせ続けるのでしょう?」
「そう言えばそうね・・・。まさかこんな事になるとは思わなかったから・・。」
私の中では鉱石がこの洞窟の中にある事だけを告げたら、次のステップへ進もうと思っていたのに・・。
「そうだね、このままじゃきりがない。そろそろ終わらせた方が良さそうだね。鉱石掘りは専門家たちに任せるべきだよ。」
ランス皇子が至極まっとうな事を言う。
「ええ、そうですね。それでは・・・私にお任せください。」
ミラージュが進み出ると、あちこちで鉱石掘りを続けている偉い人達に超音波交じりの声で呼びかけた。
「はい!皆さん!そこまでですっ!」
キーン・・・ッ!!
響き渡る金属製の音に耳を押さえてうずくまる彼ら。
「よ、よせっ!」
「た・頼むから・・その声を出さないでくれっ!」
「ぬああああッ!み、耳があっ!」
やがて辺りが静まり返ると、そこには耳を押さえてうずくまる人々がいる。
「はい、皆さん。それでは鉱石掘りはここまでです。次の場所へ行きましょう!」
私は大きな声でお偉い人達に呼びかけた―。
13
お気に入りに追加
761
あなたにおすすめの小説
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
【完結】婚約を信じた結果が処刑でした。二度目はもう騙されません!
入魚ひえん
恋愛
伯爵家の跡継ぎとして養女になったリシェラ。それなのに義妹が生まれたからと冷遇を受け続け、成人した誕生日に追い出されることになった。
そのとき幼なじみの王子から婚約を申し込まれるが、彼に無実の罪を着せられて処刑されてしまう。
目覚めたリシェラは、なぜか三年前のあの誕生日に時間が巻き戻っていた。以前は騙されてしまったが、二度目は決して間違えない。
「しっかりお返ししますから!」
リシェラは順調に準備を進めると、隣国で暮らすために旅立つ。
予定が狂いだした義父や王子はリシェラを逃したことを後悔し、必死に追うが……。
一方、義妹が憧れる次期辺境伯セレイブは冷淡で有名だが、とある理由からリシェラを探し求めて伯爵領に滞在していた。
◇◇◇
設定はゆるあまです。完結しました。お気軽にどうぞ~。
◆第17回恋愛小説大賞◆奨励賞受賞◆
◆24/2/8◆HOT女性向けランキング3位◆
いつもありがとうございます!
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
選ばれたのは私以外でした 白い結婚、上等です!
凛蓮月
恋愛
【第16回恋愛小説大賞特別賞を頂き、書籍化されました。
紙、電子にて好評発売中です。よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾】
婚約者だった王太子は、聖女を選んだ。
王命で結婚した相手には、愛する人がいた。
お飾りの妻としている間に出会った人は、そもそも女を否定した。
──私は選ばれない。
って思っていたら。
「改めてきみに求婚するよ」
そう言ってきたのは騎士団長。
きみの力が必要だ? 王都が不穏だから守らせてくれ?
でもしばらくは白い結婚?
……分かりました、白い結婚、上等です!
【恋愛大賞(最終日確認)大賞pt別二位で終了できました。投票頂いた皆様、ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾応援ありがとうございました!
ホトラン入り、エール、投票もありがとうございました!】
※なんてあらすじですが、作者の脳内の魔法のある異世界のお話です。
※ヒーローとの本格的な恋愛は、中盤くらいからです。
※恋愛大賞参加作品なので、感想欄を開きます。
よろしければお寄せ下さい。当作品への感想は全て承認します。
※登場人物への口撃は可ですが、他の読者様への口撃は作者からの吹き矢が飛んできます。ご注意下さい。
※鋭い感想ありがとうございます。返信はネタバレしないよう気を付けます。すぐネタバレペロリーナが発動しそうになります(汗)
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
公爵令嬢ディアセーラの旦那様
cyaru
恋愛
パッと見は冴えないブロスカキ公爵家の令嬢ディアセーラ。
そんなディアセーラの事が本当は病むほどに好きな王太子のベネディクトだが、ディアセーラの気をひきたいがために執務を丸投げし「今月の恋人」と呼ばれる令嬢を月替わりで隣に侍らせる。
色事と怠慢の度が過ぎるベネディクトとディアセーラが言い争うのは日常茶飯事だった。
出来の悪い王太子に王宮で働く者達も辟易していたある日、ベネディクトはディアセーラを突き飛ばし婚約破棄を告げてしまった。
「しかと承りました」と応えたディアセーラ。
婚約破棄を告げる場面で突き飛ばされたディアセーラを受け止める形で一緒に転がってしまったペルセス。偶然居合わせ、とばっちりで巻き込まれただけのリーフ子爵家のペルセスだが婚約破棄の上、下賜するとも取れる発言をこれ幸いとブロスカキ公爵からディアセーラとの婚姻を打診されてしまう。
中央ではなく自然豊かな地方で開拓から始めたい夢を持っていたディアセーラ。当初は困惑するがペルセスもそれまで「氷の令嬢」と呼ばれ次期王妃と言われていたディアセーラの知らなかった一面に段々と惹かれていく。
一方ベネディクトは本当に登城しなくなったディアセーラに会うため公爵家に行くが門前払いされ、手紙すら受け取って貰えなくなった。焦り始めたベネディクトはペルセスを罪人として投獄してしまうが…。
シリアスっぽく見える気がしますが、コメディに近いです。
痛い記述があるのでR指定しました。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる