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2-14 そして私は気を失う
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「あら・・・?貴女がレベッカ様の専属メイドですか・・・?随分偉そうな態度を取るわねぇ?」
早速、専属メイド・・ええと・・・ビビアンが気に入らなかったのか、ミラージュが腕組みをしながら上から下までジロジロと見渡す。
「あら?私のどこが偉そうなのですか?」
ビビアンは右手を腰に当て、何故かポーズを取っている。
「そう!その態度よ!仮にも・・・このお方、レベッカ様はアレックス皇子の妃となった方ですよ?それなのにそんな態度を・・・。」
私は、2人の様子をハラハラしながら見守っていた。確かにビビアンの態度はメイドらしくないけれども・・それよりも気がかりなのはミラージュの方だ。先程の興奮の余韻も残っているのか、いつも以上にイライラする時間の間隔が早い気がする。これではまたいつミラージュの本性が現れて来るか分ったのものではない。そこで私は2人の間に割って入った。
「まあまあ・・・落ち着いて、2人共。」
そしてメイドのビビアンに向き直ると言った。
「よろしくね、ビビアン。私はアレックス皇子の妻になったけれども・・あまり厳格な主従関係は好まないの。年の近いお友達感覚で接して貰って構わないから。」
するとミラージュが口を挟んできた。
「まぁ!レベッカ様!本気でそんな事を仰っているのですかっ?!」
私はミラージュを振り返り・・ギョッとした。ま・・まずい・・ミラージュの頭から・・!
「ミ、ミラージュッ!ちょっとこちらへ来てっ!」
慌ててミラージュの手を引くとビビアンをその場に残し、部屋の隅っこへミラージュを引っ張り込むと耳打ちした。
「お願い、ミラージュ。堪えて頂戴。彼女はアレックス皇子が直々に選んだ私の専属メイドなの。ひょっとするとすごく優秀なメイドなのかもしれないわ。」
私は心にも無い事を言った。けれど案の定ミラージュには見抜かれてしまった。
「まさかっ!どう見てもあのメイドが優秀には見えません!私には場末の酒場の女にしか見えませんよ?もしくは娼婦・・あっとこれ以上はレベッカ様の前では言えませんけどね。」
コホンと咳払いするミラージュ。
「まぁまぁ・・そんな風に興奮しないで?ほら・・またミラージュの頭の上から・・・見えかかってるわよ?」
私に指摘されて、頭に触れたミラージュは青ざめる。
「ど、どうしましょう・・・レベッカ様・・・オーランド王国にいた頃はこんなに頻繁に現れる事が無かったのに・・・。そうだっ!いっそ一日中帽子をかぶっていれば・・。」
「駄目よ、ミラージュ。城の中で常に帽子をかぶっている方が怪しまれるわ。ね?お願い・・私はずっと貴女と一緒にいたいのよ。私の為にも・・だからどうか・・我慢してくれる?」
両手を胸に組んで懇願すると、ミラージュは目をウルウルさせた。
「わ・・分かりました・・!レベッカ様の為に・・耐えますっ!」
ミラージュは頷くと、深呼吸を始め・・ようやく姿が元に戻った。
「さ、それではビビアンの元へ戻りましょう。」
私はミラージュを連れてビビアンの元へ戻り・・・驚いた。何とビビアンはいつの間にかテーブルに用意されていたスコーンやマフィン、焼き菓子を椅子に座り、美味しそうに食べていたのだ。しかもたった一つしか用意されていないティーカップに注がれた紅茶まで飲んでいる。
え・・?嘘でしょう?ひょっとしてこれは・・・白昼夢なのだろうか?
「キャアッ!あ、あ、貴女・・・一体何をしているのですかっ?!」
ミラージュはビビアンを指さし、叫んだ。
「え・・?ここにお茶とお菓子をメイドが持ってきてくれたので・・食べてるんですけど?」
悪びれた様子も無くビビアンが言う。
「な、な、何故!それをメイドの分際で勝手に飲み食いしてるんですかっ?!それはレベッカ様の為に用意されたお茶とお菓子ですよっ?!」
ミラージュは眉間に青筋を立てながらビビアンに言う。
「ええ~・・・そうなんですか?だって、これを持ってきたメイドが、『どうぞ』と言って私に手渡して来たのよ?当然自分のだと思うじゃない?」
でもビビアン・・・貴女だってメイドよね?
あ・・・もう駄目・・・。
グラリ
あまりにも目の前にいるビビアンのショッキングな非常識ぶりと空腹により、私は眩暈を起こしてついに倒れてしまった。
「キャアアッ!レベッカ様っ!しっかりして下さいっ!」
遠くでミラージュの叫ぶ声が聞こえる。
ああ・・・私はこの城でこれから無事に生きて行けるのだろうか・・?
意識を失う瞬間、ふとそんな考えが頭をよぎった―。
早速、専属メイド・・ええと・・・ビビアンが気に入らなかったのか、ミラージュが腕組みをしながら上から下までジロジロと見渡す。
「あら?私のどこが偉そうなのですか?」
ビビアンは右手を腰に当て、何故かポーズを取っている。
「そう!その態度よ!仮にも・・・このお方、レベッカ様はアレックス皇子の妃となった方ですよ?それなのにそんな態度を・・・。」
私は、2人の様子をハラハラしながら見守っていた。確かにビビアンの態度はメイドらしくないけれども・・それよりも気がかりなのはミラージュの方だ。先程の興奮の余韻も残っているのか、いつも以上にイライラする時間の間隔が早い気がする。これではまたいつミラージュの本性が現れて来るか分ったのものではない。そこで私は2人の間に割って入った。
「まあまあ・・・落ち着いて、2人共。」
そしてメイドのビビアンに向き直ると言った。
「よろしくね、ビビアン。私はアレックス皇子の妻になったけれども・・あまり厳格な主従関係は好まないの。年の近いお友達感覚で接して貰って構わないから。」
するとミラージュが口を挟んできた。
「まぁ!レベッカ様!本気でそんな事を仰っているのですかっ?!」
私はミラージュを振り返り・・ギョッとした。ま・・まずい・・ミラージュの頭から・・!
「ミ、ミラージュッ!ちょっとこちらへ来てっ!」
慌ててミラージュの手を引くとビビアンをその場に残し、部屋の隅っこへミラージュを引っ張り込むと耳打ちした。
「お願い、ミラージュ。堪えて頂戴。彼女はアレックス皇子が直々に選んだ私の専属メイドなの。ひょっとするとすごく優秀なメイドなのかもしれないわ。」
私は心にも無い事を言った。けれど案の定ミラージュには見抜かれてしまった。
「まさかっ!どう見てもあのメイドが優秀には見えません!私には場末の酒場の女にしか見えませんよ?もしくは娼婦・・あっとこれ以上はレベッカ様の前では言えませんけどね。」
コホンと咳払いするミラージュ。
「まぁまぁ・・そんな風に興奮しないで?ほら・・またミラージュの頭の上から・・・見えかかってるわよ?」
私に指摘されて、頭に触れたミラージュは青ざめる。
「ど、どうしましょう・・・レベッカ様・・・オーランド王国にいた頃はこんなに頻繁に現れる事が無かったのに・・・。そうだっ!いっそ一日中帽子をかぶっていれば・・。」
「駄目よ、ミラージュ。城の中で常に帽子をかぶっている方が怪しまれるわ。ね?お願い・・私はずっと貴女と一緒にいたいのよ。私の為にも・・だからどうか・・我慢してくれる?」
両手を胸に組んで懇願すると、ミラージュは目をウルウルさせた。
「わ・・分かりました・・!レベッカ様の為に・・耐えますっ!」
ミラージュは頷くと、深呼吸を始め・・ようやく姿が元に戻った。
「さ、それではビビアンの元へ戻りましょう。」
私はミラージュを連れてビビアンの元へ戻り・・・驚いた。何とビビアンはいつの間にかテーブルに用意されていたスコーンやマフィン、焼き菓子を椅子に座り、美味しそうに食べていたのだ。しかもたった一つしか用意されていないティーカップに注がれた紅茶まで飲んでいる。
え・・?嘘でしょう?ひょっとしてこれは・・・白昼夢なのだろうか?
「キャアッ!あ、あ、貴女・・・一体何をしているのですかっ?!」
ミラージュはビビアンを指さし、叫んだ。
「え・・?ここにお茶とお菓子をメイドが持ってきてくれたので・・食べてるんですけど?」
悪びれた様子も無くビビアンが言う。
「な、な、何故!それをメイドの分際で勝手に飲み食いしてるんですかっ?!それはレベッカ様の為に用意されたお茶とお菓子ですよっ?!」
ミラージュは眉間に青筋を立てながらビビアンに言う。
「ええ~・・・そうなんですか?だって、これを持ってきたメイドが、『どうぞ』と言って私に手渡して来たのよ?当然自分のだと思うじゃない?」
でもビビアン・・・貴女だってメイドよね?
あ・・・もう駄目・・・。
グラリ
あまりにも目の前にいるビビアンのショッキングな非常識ぶりと空腹により、私は眩暈を起こしてついに倒れてしまった。
「キャアアッ!レベッカ様っ!しっかりして下さいっ!」
遠くでミラージュの叫ぶ声が聞こえる。
ああ・・・私はこの城でこれから無事に生きて行けるのだろうか・・?
意識を失う瞬間、ふとそんな考えが頭をよぎった―。
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