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12.めんどくさい班です
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「お待たせー!」
元気な声と同時にジャキとイッチョにリアは後ろから飛びついた。
リアはリス獣人の身軽さを持っているので、羽のように軽く飛びつくことが出来る。落ちこぼれと言っても、見た目だけの問題で、中身は獣人そのものなのだ。
父がリス獣人だったリアはリス獣人の身体能力を持ち合わせている。
「パンダ、そんなガサツじゃ嫁にいけないぞ、シッシッシー」
「大丈夫よ。このお転婆を含めた私の可愛さを理解できる人はちゃんといるはずだからね。まぁ脳筋にはちょっと難しいだろうけど~」
「ハッ、その理解できる人がいたら教えてくれ。パンダも第二王女の『微笑みの天使』を見習って女らしくしてみろ。ジャキもそう思うよな?」
ギザイン国の第二王女であるアルマは『微笑みの天使』と言われ、男性から絶大な人気を誇っている。そしてジャキと恋仲の噂まである人物なのだ。
なのでイッチョはニヤニヤしながらジャキに話を振ってみたのだ。
副団長のジャキは基本無口だが、身分が高い奴特有の嫌な態度を取ることはない。獣王の甥という立派な立場だが、それをひけらかすことなくみんなと付き合ういい奴だ。
訳ありで灰騎士団に入団をしたが、その確かな実力であっという間に№2の座を手にし、団内でも認められている。
「パンダは普通に可愛いと思う。お転婆な所も長所だからいいんじゃないか。わざわざ誰かを見習う必要はない」
「流石ジャキ様、副団長様!ちゃんと私の可愛さを分かる人がいて良かった~」
リアはうんうんと頷きながら小躍りしている。
「ジャキ、点数稼ぎは見苦しいぞ」
「いや、そんなことはしてない」
「ホホホ、イッチョは天国に行きたいようね…?」
爺様お墨付きの回し蹴りをリアはイッチョにお見舞いしようとするが、ヒョイと避けられてしまう。
何度となく受けてきたので、イッチョも学習しているのだ。
「イッチョ兄のくせに生意気~」
「シッシッシー。単純パンダの手の内はお見通しなんだよ。新しい手で来い、………」
最後まで喋ることが出来ずにイッチョは大事な部分を手で押さえて地面に沈んでいく。
これはかなり効いている…。
「イッチョ兄リクエストの新しい手はどうかしら。お気に召して?」
リアは男の大事な部分に的確な攻撃を仕掛けていた。それはイッチョに肉体的ダメージを与え、何もされていないジャキも思わず手で前を隠してしまうほど精神的ダメージを与えていた。
小柄なリアが一番得意とするのは実は腕力でも軽業でもない、肉体的構造を熟知したエグイほどの急所攻撃を武器に灰騎士団に入団したのだ。
それは幼い時からリス獣人の父に『この国で生きていくなら身を守るために絶対に必要だから』と教え込まれて身についたものだった。
リアの得意な手は知っていたが、それを団員に仕掛けてくることは滅多にないのでイッチョは完全に油断していた。
そしてその洗礼を受けてしまったのである。
以前その攻撃を受けた団員はリアの両親の悪口を言った奴ただ一人で、その後すぐに崖から転落し重傷を負って退団していった。
---確かアイツ、退団の挨拶をする時にリアの方を見てビクビクしていたな…。
そしてリアの表情は、…今と一緒だった。
不味いぞ、俺なんかやっちまったか?
「パ・ン・ダ…、虫の居所が悪かったのか…」
急所の痛みに耐えながら口を開くイッチョ。目には涙が滲んでいる。
「うーん。私はご機嫌よ、ほら微笑んでいるでしょ」
そう言いながらリアはイッチョに微笑んで見せた。
だがそれは微笑みというより、般若の笑顔に近かった。
どうやらイッチョはリアの地雷を気づかずに踏んでいたらしい…。
「なんか分からんけど、すまん!!」
「いいよ、脳筋だから許す!!」
何がいけなかった不明だが、これは謝るべきだと本能が告げたので、イッチョは素直にリアに謝ってみた。兎に角、許されたので、イッチョはホッとしている。
お互いに脳筋同士なのが幸いだった。
大事な部分を押さえて蹲りながら、ゴスロリ少女に謝罪する姿はかなり衝撃的だったのか、翌日からイッチョにSM倶楽部からのお誘いが殺到する事になったが…。
とりあえず、仲直り?出来たので結果オーライだ。
顔を引きつらせたジャキを安心させようと、リアは無関係なジャキに安全宣言を出してあげる。
「大丈夫。ジャキの子種に乱暴な真似は絶対にしません、誓います!」
「あぁ、是非そうしてくれ…」
めんどくさい班のお仕事開始だと、リアだけの元気な声が響く。
「めんどくさい班、出発ー!」
元気な声と同時にジャキとイッチョにリアは後ろから飛びついた。
リアはリス獣人の身軽さを持っているので、羽のように軽く飛びつくことが出来る。落ちこぼれと言っても、見た目だけの問題で、中身は獣人そのものなのだ。
父がリス獣人だったリアはリス獣人の身体能力を持ち合わせている。
「パンダ、そんなガサツじゃ嫁にいけないぞ、シッシッシー」
「大丈夫よ。このお転婆を含めた私の可愛さを理解できる人はちゃんといるはずだからね。まぁ脳筋にはちょっと難しいだろうけど~」
「ハッ、その理解できる人がいたら教えてくれ。パンダも第二王女の『微笑みの天使』を見習って女らしくしてみろ。ジャキもそう思うよな?」
ギザイン国の第二王女であるアルマは『微笑みの天使』と言われ、男性から絶大な人気を誇っている。そしてジャキと恋仲の噂まである人物なのだ。
なのでイッチョはニヤニヤしながらジャキに話を振ってみたのだ。
副団長のジャキは基本無口だが、身分が高い奴特有の嫌な態度を取ることはない。獣王の甥という立派な立場だが、それをひけらかすことなくみんなと付き合ういい奴だ。
訳ありで灰騎士団に入団をしたが、その確かな実力であっという間に№2の座を手にし、団内でも認められている。
「パンダは普通に可愛いと思う。お転婆な所も長所だからいいんじゃないか。わざわざ誰かを見習う必要はない」
「流石ジャキ様、副団長様!ちゃんと私の可愛さを分かる人がいて良かった~」
リアはうんうんと頷きながら小躍りしている。
「ジャキ、点数稼ぎは見苦しいぞ」
「いや、そんなことはしてない」
「ホホホ、イッチョは天国に行きたいようね…?」
爺様お墨付きの回し蹴りをリアはイッチョにお見舞いしようとするが、ヒョイと避けられてしまう。
何度となく受けてきたので、イッチョも学習しているのだ。
「イッチョ兄のくせに生意気~」
「シッシッシー。単純パンダの手の内はお見通しなんだよ。新しい手で来い、………」
最後まで喋ることが出来ずにイッチョは大事な部分を手で押さえて地面に沈んでいく。
これはかなり効いている…。
「イッチョ兄リクエストの新しい手はどうかしら。お気に召して?」
リアは男の大事な部分に的確な攻撃を仕掛けていた。それはイッチョに肉体的ダメージを与え、何もされていないジャキも思わず手で前を隠してしまうほど精神的ダメージを与えていた。
小柄なリアが一番得意とするのは実は腕力でも軽業でもない、肉体的構造を熟知したエグイほどの急所攻撃を武器に灰騎士団に入団したのだ。
それは幼い時からリス獣人の父に『この国で生きていくなら身を守るために絶対に必要だから』と教え込まれて身についたものだった。
リアの得意な手は知っていたが、それを団員に仕掛けてくることは滅多にないのでイッチョは完全に油断していた。
そしてその洗礼を受けてしまったのである。
以前その攻撃を受けた団員はリアの両親の悪口を言った奴ただ一人で、その後すぐに崖から転落し重傷を負って退団していった。
---確かアイツ、退団の挨拶をする時にリアの方を見てビクビクしていたな…。
そしてリアの表情は、…今と一緒だった。
不味いぞ、俺なんかやっちまったか?
「パ・ン・ダ…、虫の居所が悪かったのか…」
急所の痛みに耐えながら口を開くイッチョ。目には涙が滲んでいる。
「うーん。私はご機嫌よ、ほら微笑んでいるでしょ」
そう言いながらリアはイッチョに微笑んで見せた。
だがそれは微笑みというより、般若の笑顔に近かった。
どうやらイッチョはリアの地雷を気づかずに踏んでいたらしい…。
「なんか分からんけど、すまん!!」
「いいよ、脳筋だから許す!!」
何がいけなかった不明だが、これは謝るべきだと本能が告げたので、イッチョは素直にリアに謝ってみた。兎に角、許されたので、イッチョはホッとしている。
お互いに脳筋同士なのが幸いだった。
大事な部分を押さえて蹲りながら、ゴスロリ少女に謝罪する姿はかなり衝撃的だったのか、翌日からイッチョにSM倶楽部からのお誘いが殺到する事になったが…。
とりあえず、仲直り?出来たので結果オーライだ。
顔を引きつらせたジャキを安心させようと、リアは無関係なジャキに安全宣言を出してあげる。
「大丈夫。ジャキの子種に乱暴な真似は絶対にしません、誓います!」
「あぁ、是非そうしてくれ…」
めんどくさい班のお仕事開始だと、リアだけの元気な声が響く。
「めんどくさい班、出発ー!」
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