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23.親友の距離感は思ったより近い?!②
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「リューザ様は卵焼きがお好きなんですね」
「ミアの卵焼きが好きなんだ」
「それは焦げた卵焼きが好きという意味ですか?リューザ様の味覚は変わっていますね」
自分で作っておきながらなんだが、殿下の味覚が独特で良かったと思う。それとも隣国の人はみんなそうなんだろうか。あとでダリムにも食べさせてみよう。
「ちょっと違うな。ミアの手作りなら焦げていても、生焼けでも美味しいってことだ。私にとってミアは特別だから」
そう言うと殿下はまた焦げた卵焼きを口に入れて『ミアの味だな』と私の耳元で囁いてくる。あまりの近さに私は固まってしまう。
あわあわあわ、、、、、。
なんですか、これは?!
これが親友の距離なんですか!!
殿下は私にとって初めての親友。なので私は今まで誰からもこういう事を言われたことがないし、こんなに接近されたこともない。だからもの凄くびっくりしてしまう。
「ミアにとって、私は特別になれているか…」
私の目を真っ直ぐに見ながら殿下は尋ねてくる。
これは親友なのかと聞いているんだよね?…そうに決まっている。
それなら答えはひとつだ。
「もちろん、リューザ様は私の特別です!」
「私だけか?」
殿下は続けてまた聞いてくる。私には親友は一人だけだから、ここも答えはひとつだ。
「はい、リューザ様だけです!」
私がそう答えると、フッと殿下は微笑んでそっと私の頬に口づけを落とす。そこにはもう傷はないのに、またおまじないをしてくる。
これってなんのおまじないだろう。……おまじないですよね?
殿下は私の心の声が聞こえたのか答えてくれる。
「これはミアだけが大切だということだ」
「大切…?」
なんだかドキドキしてくる。もう勘違いはしないはずなのに、また勘違いしそうになってしまう。
だめだめ、親友枠なんだからっ!
「ゆっくりでいいと思っている。だから私はミアが私と同じ気持ちになってくれるのを待っている」
「同じ気持ちですか……?」
「今は分からなくていい。その答えが分かったら教えてくれ。合っているかどうか一緒に確認しよう、ミア」
「……はい」
殿下の意味深な言葉に返事はしたものの、肝心の意味が分からない。
これは深い意味があるのか、それともなぞなぞのようなものなのか…。
私が返事をするとまた殿下は卵焼きを食べ始め、ついでにボカーンと開いている私の口にも卵焼きを入れてくる。
――モグモグ…。
うん、普通だ。…特段美味しくない。
でも殿下は美味しいって言ってくれて、たくさん食べてくれて、私を大切だって言ってくれている。
もしかして殿下専属の卵焼き係として仕えないかと誘われている?
私も同じ気持ちというのはそういうこと…?
「はっはは、卵焼き係は答えじゃないな」
「まだ何も言ってません、リューザ様」
「ミアの顔に書いてあった」
流石は親友。私の表情から心を読んだようだ。
私のことを分かってくれていると思うと嬉しくて、顔がにやけてしまうそうになる。そんな変な顔はさすがに見せたくないので誤魔化すように笑うと、『そんな顔で笑うミアもいいな』と殿下も一緒になって笑っていて、その眼差しはとても甘い。
これはまさに恋愛小説で読んだ恋人同士の甘酸っぱい雰囲気に似ている。
私が思い描いていた親友像とはだいぶ違っているけど、こんな親友同士も悪くない。ううん、それどころか凄く良い!
「こんな時間もいいですね。私、リューザ様の親友になれて幸せです」
「はっはは、まだ答えには辿り着きそうもないな。まあいいさ、ミアが幸せなら私も幸せだ」
「私も同じです。リューザ様が幸せなら私も嬉しいですから」
「ふっ、お揃いだな」
「私も今、そう思っていました!ふふ、気が合いますね」
ほのぼのとした会話に心まで温かくなる。親友という存在は私が思っていたよりも、心も体もずっと近いものだと知った。やはり知識だけではなく体験して知ることが大切だなと思っていると、どこからか揉めてるような声が聞こえてきた。
中庭にいた生徒達はその声がどこから聞こえたのかときょろきょろと探している。
私も何事かと振り返ってみると、あのメリッサ・ホワイトが数人の生徒達に囲まれてるのが目に飛び込んできた。それはどう見ても仲良く食事をしている雰囲気ではなかった。
「ミアの卵焼きが好きなんだ」
「それは焦げた卵焼きが好きという意味ですか?リューザ様の味覚は変わっていますね」
自分で作っておきながらなんだが、殿下の味覚が独特で良かったと思う。それとも隣国の人はみんなそうなんだろうか。あとでダリムにも食べさせてみよう。
「ちょっと違うな。ミアの手作りなら焦げていても、生焼けでも美味しいってことだ。私にとってミアは特別だから」
そう言うと殿下はまた焦げた卵焼きを口に入れて『ミアの味だな』と私の耳元で囁いてくる。あまりの近さに私は固まってしまう。
あわあわあわ、、、、、。
なんですか、これは?!
これが親友の距離なんですか!!
殿下は私にとって初めての親友。なので私は今まで誰からもこういう事を言われたことがないし、こんなに接近されたこともない。だからもの凄くびっくりしてしまう。
「ミアにとって、私は特別になれているか…」
私の目を真っ直ぐに見ながら殿下は尋ねてくる。
これは親友なのかと聞いているんだよね?…そうに決まっている。
それなら答えはひとつだ。
「もちろん、リューザ様は私の特別です!」
「私だけか?」
殿下は続けてまた聞いてくる。私には親友は一人だけだから、ここも答えはひとつだ。
「はい、リューザ様だけです!」
私がそう答えると、フッと殿下は微笑んでそっと私の頬に口づけを落とす。そこにはもう傷はないのに、またおまじないをしてくる。
これってなんのおまじないだろう。……おまじないですよね?
殿下は私の心の声が聞こえたのか答えてくれる。
「これはミアだけが大切だということだ」
「大切…?」
なんだかドキドキしてくる。もう勘違いはしないはずなのに、また勘違いしそうになってしまう。
だめだめ、親友枠なんだからっ!
「ゆっくりでいいと思っている。だから私はミアが私と同じ気持ちになってくれるのを待っている」
「同じ気持ちですか……?」
「今は分からなくていい。その答えが分かったら教えてくれ。合っているかどうか一緒に確認しよう、ミア」
「……はい」
殿下の意味深な言葉に返事はしたものの、肝心の意味が分からない。
これは深い意味があるのか、それともなぞなぞのようなものなのか…。
私が返事をするとまた殿下は卵焼きを食べ始め、ついでにボカーンと開いている私の口にも卵焼きを入れてくる。
――モグモグ…。
うん、普通だ。…特段美味しくない。
でも殿下は美味しいって言ってくれて、たくさん食べてくれて、私を大切だって言ってくれている。
もしかして殿下専属の卵焼き係として仕えないかと誘われている?
私も同じ気持ちというのはそういうこと…?
「はっはは、卵焼き係は答えじゃないな」
「まだ何も言ってません、リューザ様」
「ミアの顔に書いてあった」
流石は親友。私の表情から心を読んだようだ。
私のことを分かってくれていると思うと嬉しくて、顔がにやけてしまうそうになる。そんな変な顔はさすがに見せたくないので誤魔化すように笑うと、『そんな顔で笑うミアもいいな』と殿下も一緒になって笑っていて、その眼差しはとても甘い。
これはまさに恋愛小説で読んだ恋人同士の甘酸っぱい雰囲気に似ている。
私が思い描いていた親友像とはだいぶ違っているけど、こんな親友同士も悪くない。ううん、それどころか凄く良い!
「こんな時間もいいですね。私、リューザ様の親友になれて幸せです」
「はっはは、まだ答えには辿り着きそうもないな。まあいいさ、ミアが幸せなら私も幸せだ」
「私も同じです。リューザ様が幸せなら私も嬉しいですから」
「ふっ、お揃いだな」
「私も今、そう思っていました!ふふ、気が合いますね」
ほのぼのとした会話に心まで温かくなる。親友という存在は私が思っていたよりも、心も体もずっと近いものだと知った。やはり知識だけではなく体験して知ることが大切だなと思っていると、どこからか揉めてるような声が聞こえてきた。
中庭にいた生徒達はその声がどこから聞こえたのかときょろきょろと探している。
私も何事かと振り返ってみると、あのメリッサ・ホワイトが数人の生徒達に囲まれてるのが目に飛び込んできた。それはどう見ても仲良く食事をしている雰囲気ではなかった。
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