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46.ララが去った王宮②

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「あらら、なんか親子で物騒な状況になっているわね。親子喧嘩でもしているの?帰ってくるタイミングが悪かったかしら」

こんな状況なのにおっとりした口調で話しているのは、なんと家出中の王妃スズだった。スズの登場によりバイザルの頭の中からトカタオ要素はゼロになりスズ一色になってしまった。

「スズーー。会いたかった、淋しかったんだぞ。もう離れん、今度は俺も絶対に一緒に行く。これは竜王としての決定事項だ。誰にも俺を止めさせん!」

バイザルはしかとスズを抱き締め、二度と離れんと息巻いている。そんなバイザルを『まったく仕方がない人ね』とスズは優しく背中をポンポンとして落ち着かせようとしているが、トカタオはそんな二人に噛みついて行く。

「クソ父上いい加減にしろ。そんな事より大切な話をしていただろうが!」
「大切なスズが俺の元に戻ってきてくれたことより大切な事なんてないだろう。トカは何を惚けているんだ~、ハハハ。なぁスズ、息子が面白く成長しているぞ」

暫く離れていた『番』スズを目の前にして、バイザルは絶賛脳内お花畑になっている。暫くは竜王として役に立ちそうにない…。だがそんな状況を許せる精神状態でないのがトカタオであった

「このクッソたれが。ケッ、なにを惚けていやがる。ララの事を早く教えろ、さもないと跡形もなく王宮を破壊してやる」

その宣言に脅し要素は一切なく、本気100%である。王子として100%間違っているが、そんなことは些細な事らしい。この発言に反応したのはバイザルではなくスズであった。

「トカ、ララとのことミファン家から私にも連絡が来たから知っているわ。王宮を去ったのは彼女の意思なのよ。父上に八つ当たりは止めなさいな。それよりあなたはこれからどうするつもりなの?」
「もちろん、今すぐに南の辺境地へ行きララを迎えに行く」

トカタオはきっぱりと言い切ると、すぐに背を向け部屋から出て行こうとする。するといつの間にかお花畑から脱出したバイザルがトカタオを引き留めた。

「待てトカタオ、このまま行っても意味はないぞ。お前はいったい何をしたいんだ」
「俺はララに側にいてもらいたいだけだ!」
「トカ。ララは『番』を認識出来るようになって王宮から去っていったのよ。トカタオとの関係についてもゆっくり考える時間が必要だと思ったみたいね」

スズの発言にトカタオは衝撃を受けた。

ただララが好きだから一緒に居たいとは思っていたが、まだララは子供なので先のことまでは具体的に考えていなかった。これからゆっくりと愛を育んで、決めて行けばいいと思っていたのだ。だがララが『番』の存在を感じ取れるようになったのならば話は別である。『番』を失っている自分とは違い、ララはこの先『番』と出会う可能性があるのだから…。


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