12 / 59
10.美少女はどこ?その②
しおりを挟む
ララが中扉?あれ?と思っていると、竜人である二人の青年が挨拶もなく無遠慮に水槽に近づいてきた。
一人は金髪金目の美青年風の竜人で、もう一人は黒髪黒目の好青年風であった。
(な~に、ノックもしないで勝手に入ってくるなんて!無視よ無視!)
ララは二人をチラッと見たが無視することにしたので、ピー語でも話し掛けなかった。それどころかワザと水飛沫をあげて泳ぎ、二人に水を掛け洋服を濡らしてやった。
バッシャン!バッシャン!スーイ、スイ、スーイ。
(くらえ、天使の水!そして逃げるが勝ちー)
「なんだ、この生き物は!」
「きっと、ララルーア様のペットが先に送られて来たのでしょう。それにしても躾がなってませんね」
「ケッ、その為に水槽まで用意させたのか、我が儘な女だな!ペットも馬鹿そうだし」
「トカ様、ララルーア様の前でペットの悪口は言わないでください、飼い主にとってペットは家族なんですから」
「はいはい。それにしても変わった生き物をペットにしてるな。『ピンクのジュゴン』なんて初めて見たぞ」
バッザーーーンーーー!
二人は頭から水を被り全身ずぶ濡れになった。
『この馬鹿ペットが!』とピンクのジュゴンを二人が睨みつけようとしたが、なぜかジュゴンは水槽にいなかった。
ブルン、ブルン、ブルン!バッシーン!!
ピンクのジュゴンは水槽の縁に立ち、勢いよく駒のように回転し、尻尾を最強の武器にして二人の青年を殴り倒したのだ。まさかジュゴンから攻撃されるとは思ってもいなかった二人は、受け身を取れずに床に体を打ち付けてしまった。
「トカ様、だ、いじょう、ぶです、か」
全然大丈夫そうでないカイが、トカタオの安否を確かめる為に声を掛ける。
「ああ、いきなりで驚いたが大丈夫だ。なんなんだ、この凶暴なジュゴンは!」
「はぁ~ん、あなた馬鹿ですか?そう馬鹿なのね!誰がジュゴンじゃ、よく見ろ、竜人だ!」
ララルーアは怒りのあまり『ララは赤ちゃん作戦』を忘却の彼方に消し去っている。---ピー語はどうしたララよ。【切り札一号】を使ったのを忘れたか…。うん、きれいさっぱり忘れている。
ララルーアの発言にトカタオとカイは驚きのあまり動けないでいた。本人は竜人だと言っているが、丸っこい体形に柔らかそうな肉付きを見ると、にわかには信じられずにいる。
「ジュゴンが喋っ、」
ドカ!!
まだ立ち上がれていないカイに更なる正義の鉄槌が下された。---余計な事を言うからだよ、カイ。
「本当に竜人なのか…。お前誰だ、どうしてここにいる?」
トカタオがようやくまともな質問をしたので、ララは両腕を腰にあてふんぞり返って名乗りを上げる。
「私はララルーア・ミファン、ミファン家の長女よ。これからよろしくね、お・世・話・係さん」
「………」
(どういう事だ、何一つ当てはまってない…)
トカタオとカイの事前の情報分析によれば、ララルーア・ミファンは【虚弱体質の儚げな美少女・ピンク色の髪と瞳を持つ竜人・南の辺境地の掌中の珠】のはずだった。
目の前のちびっこ竜人は【元気いっぱいの丸っこい身体・深紅の瞳で竜体なので髪は無し・肌はピンク】、ピンクくらいしか共通点はない!
「「どこが美少女だーーー!詐欺だ、」」
パリン、パリン!ドッサ、ドッサ。
トカタオとカイの全力の叫びは、戻ってきた侍女ドウリアの花瓶攻撃によってあっけなく終了した。
主人であるララに無礼を働いていた現行犯なので、ドウリアは一切手加減をしなかった。
「ほほほ、花瓶を一つにするか二つするか悩んだけど、二つで正解でした」
「ありがとう、ドウリア!馬鹿相手に困っていたから助かったわ」
「あらあら、お話が出来る様になって良かったですね」
スーパー侍女ドウリアは何事にも動じない、いきなり会話をしているルルも違和感なく受け入れている。自分の主人が快適に生活できる様に仕えるのが侍女の仕事、基本それ以外はどうでもいいのだ。
「ところで、このゴミ捨てていいですか?」※ゴミとは倒れているトカタオとカイを指している。
「いいよ~♪」
*****************************
今日のララルーアは疲れているが夜通し踊り続けることに決めている。
それも新しいダンスに挑戦するつもりだ。
『新しい事に挑戦する時、ワクワクするな♪』
努力家のララは事前の練習にも熱心に取り組むタイプだ。
『うーん、この振り付けは難しいな』
本を片手に、足を前後に出してステップの確認をしている。
今までのくねくねダンスやツイストダンスと違って複雑な足の動きがついているので、ララはかなり苦戦している。
パラパラ、風に煽られてちょっと本のタイトルが見えた。
【もっと困らせる日常呪い中級ダンス編】
ちょっとだけ→もっと
初級→中級
ララの踊りは確実にレベルアップしている。
♬ちゅるっちゅ、ちゅちゅちゅー♬
一人は金髪金目の美青年風の竜人で、もう一人は黒髪黒目の好青年風であった。
(な~に、ノックもしないで勝手に入ってくるなんて!無視よ無視!)
ララは二人をチラッと見たが無視することにしたので、ピー語でも話し掛けなかった。それどころかワザと水飛沫をあげて泳ぎ、二人に水を掛け洋服を濡らしてやった。
バッシャン!バッシャン!スーイ、スイ、スーイ。
(くらえ、天使の水!そして逃げるが勝ちー)
「なんだ、この生き物は!」
「きっと、ララルーア様のペットが先に送られて来たのでしょう。それにしても躾がなってませんね」
「ケッ、その為に水槽まで用意させたのか、我が儘な女だな!ペットも馬鹿そうだし」
「トカ様、ララルーア様の前でペットの悪口は言わないでください、飼い主にとってペットは家族なんですから」
「はいはい。それにしても変わった生き物をペットにしてるな。『ピンクのジュゴン』なんて初めて見たぞ」
バッザーーーンーーー!
二人は頭から水を被り全身ずぶ濡れになった。
『この馬鹿ペットが!』とピンクのジュゴンを二人が睨みつけようとしたが、なぜかジュゴンは水槽にいなかった。
ブルン、ブルン、ブルン!バッシーン!!
ピンクのジュゴンは水槽の縁に立ち、勢いよく駒のように回転し、尻尾を最強の武器にして二人の青年を殴り倒したのだ。まさかジュゴンから攻撃されるとは思ってもいなかった二人は、受け身を取れずに床に体を打ち付けてしまった。
「トカ様、だ、いじょう、ぶです、か」
全然大丈夫そうでないカイが、トカタオの安否を確かめる為に声を掛ける。
「ああ、いきなりで驚いたが大丈夫だ。なんなんだ、この凶暴なジュゴンは!」
「はぁ~ん、あなた馬鹿ですか?そう馬鹿なのね!誰がジュゴンじゃ、よく見ろ、竜人だ!」
ララルーアは怒りのあまり『ララは赤ちゃん作戦』を忘却の彼方に消し去っている。---ピー語はどうしたララよ。【切り札一号】を使ったのを忘れたか…。うん、きれいさっぱり忘れている。
ララルーアの発言にトカタオとカイは驚きのあまり動けないでいた。本人は竜人だと言っているが、丸っこい体形に柔らかそうな肉付きを見ると、にわかには信じられずにいる。
「ジュゴンが喋っ、」
ドカ!!
まだ立ち上がれていないカイに更なる正義の鉄槌が下された。---余計な事を言うからだよ、カイ。
「本当に竜人なのか…。お前誰だ、どうしてここにいる?」
トカタオがようやくまともな質問をしたので、ララは両腕を腰にあてふんぞり返って名乗りを上げる。
「私はララルーア・ミファン、ミファン家の長女よ。これからよろしくね、お・世・話・係さん」
「………」
(どういう事だ、何一つ当てはまってない…)
トカタオとカイの事前の情報分析によれば、ララルーア・ミファンは【虚弱体質の儚げな美少女・ピンク色の髪と瞳を持つ竜人・南の辺境地の掌中の珠】のはずだった。
目の前のちびっこ竜人は【元気いっぱいの丸っこい身体・深紅の瞳で竜体なので髪は無し・肌はピンク】、ピンクくらいしか共通点はない!
「「どこが美少女だーーー!詐欺だ、」」
パリン、パリン!ドッサ、ドッサ。
トカタオとカイの全力の叫びは、戻ってきた侍女ドウリアの花瓶攻撃によってあっけなく終了した。
主人であるララに無礼を働いていた現行犯なので、ドウリアは一切手加減をしなかった。
「ほほほ、花瓶を一つにするか二つするか悩んだけど、二つで正解でした」
「ありがとう、ドウリア!馬鹿相手に困っていたから助かったわ」
「あらあら、お話が出来る様になって良かったですね」
スーパー侍女ドウリアは何事にも動じない、いきなり会話をしているルルも違和感なく受け入れている。自分の主人が快適に生活できる様に仕えるのが侍女の仕事、基本それ以外はどうでもいいのだ。
「ところで、このゴミ捨てていいですか?」※ゴミとは倒れているトカタオとカイを指している。
「いいよ~♪」
*****************************
今日のララルーアは疲れているが夜通し踊り続けることに決めている。
それも新しいダンスに挑戦するつもりだ。
『新しい事に挑戦する時、ワクワクするな♪』
努力家のララは事前の練習にも熱心に取り組むタイプだ。
『うーん、この振り付けは難しいな』
本を片手に、足を前後に出してステップの確認をしている。
今までのくねくねダンスやツイストダンスと違って複雑な足の動きがついているので、ララはかなり苦戦している。
パラパラ、風に煽られてちょっと本のタイトルが見えた。
【もっと困らせる日常呪い中級ダンス編】
ちょっとだけ→もっと
初級→中級
ララの踊りは確実にレベルアップしている。
♬ちゅるっちゅ、ちゅちゅちゅー♬
53
お気に入りに追加
1,898
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる