へたれゲーマーだということを証明します

泣き虫のミルク

「泣き虫のミルク」

ミルクは、真夜中の静けさの中、パソコンの前でじっと画面を見つめていた。カチカチと鳴るキーボードの音はいつの間にか止まり、彼女の手は動かなくなっていた。

「どうして私はこんなに孤独なんだろう…」

部屋の中は冷え冷えとしていて、まるで自分の心が凍りついてしまうかのようだった。机の上には書きかけの原稿が広がっている。いつもは時間を忘れて没頭するはずの小説だが、今日はその文字一つ一つが重く感じられた。

ミルクは、作家としての道を歩み始めたときのことを思い出した。夢だった小説を書けることへの喜び。自分の想像を文字にして物語を紡ぎ、誰かに読んでもらえることの興奮。最初の頃は、その熱量だけで書き続けることができた。しかし、時間が経つにつれ、その情熱は次第に薄れていき、今ではただの重荷となりつつあった。

「こんなに頑張って書いているのに、誰も私のことを見てくれない…」

ミルクはパソコンを閉じ、手元にあった小さなぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。涙が頬を伝い、ぬいぐるみの毛が少し濡れていく。彼女は子供の頃からずっとこのぬいぐるみを手放すことができなかった。それは、彼女が唯一頼れる存在だった。

孤独と戦う日々
ミルクが感じている孤独は、誰にも理解されないことからくるものだった。彼女は他人に自分の内面を見せるのが苦手だった。友達にも家族にも、本当の自分の思いを打ち明けたことはない。小説だけが、彼女が自分の心を吐露できる唯一の場所だった。

けれども、書いても書いても、反響は少なかった。読者からのフィードバックはほとんどなく、評価も伸び悩む。SNSで他の作家たちが次々と成功していくのを見て、ますます自分が無価値に思えてきた。

「私なんて、いなくてもいいのかもしれない…」

ミルクはそんな暗い思考に囚われ始めていた。書き続けることに意味があるのか、自問自答する日々。何度も何度も心の中で叫びたかった。しかし、誰に叫んでも届かないような気がして、結局その思いは彼女の胸の中で押し込められてしまう。

涙の夜
その夜、ミルクはついに声を上げて泣いてしまった。ずっと抑えていた感情が、突然堰を切ったように溢れ出したのだ。枕に顔を埋め、すすり泣きが響く。

「どうしてこんなにさみしいんだろう…私は何のために書いているんだろう…」

彼女は自分が小説を書いている理由すら見失いそうだった。元々は楽しいから書き始めたはずなのに、今ではそれが苦しみの一部になってしまっているように感じた。

「誰か、私の声を聞いて…」

涙が止まらない。ミルクは、こんなにも自分が孤独だと思ったことはなかった。

希望の光
しかし、しばらく泣き続けた後、ふと、彼女は自分の書きかけの原稿に目をやった。そこには、自分が一生懸命書いたキャラクターたちが並んでいた。彼らは、ミルクの心の一部だった。

「この子たちは、私が書かなければ存在できないんだ…」

彼女はそう気づいた。小説の中の登場人物たちは、自分の創造力によって命を吹き込まれた存在であり、自分が書かなければ、彼らの物語は進まない。ミルクは、彼らに対する責任感と愛情を再び感じ始めた。

「書くことが、私の生きる意味なんだ。たとえ誰も見ていなくても、私はこの子たちを生かしてあげたい…」

ミルクは涙を拭い、新たな決意を胸に、再びパソコンの前に座った。画面の中の白紙が、彼女を待っている。

再び動き出す手
ミルクの手が再びキーボードに触れ、ゆっくりと文字を打ち始めた。最初は重かった指が、次第に軽やかに動き出す。頭の中に浮かぶ物語を一つ一つ形にしていく。その過程で、ミルクは自分がなぜ小説を書き続けているのかを少しずつ取り戻していった。

「私は、書きたいから書いているんだ…」

自分の心の声に耳を傾けたとき、ミルクは少しだけ暖かさを感じた。孤独でも、誰も理解してくれなくても、自分が書くことに意味がある。それを信じて、彼女はまた一歩を踏み出した。

泣いた後の静けさが、少し心地よく感じられた。