季節の織り糸

入内雀 10月27日

入内雀

秋の深まりを感じる10月27日、薄曇りの空から霧が立ち込め、朝早くから静寂が広がっていた。藁塚の近くでは、木の実が一斉に落ち、地面には栗やどんぐりが散らばっている。子供の頃、友達と一緒に拾って遊んだあの楽しい日々が思い出される。

「もう秋だね。」ふとつぶやくと、周囲の静けさが一層深まった。月明かりが薄い霧に反射し、幻想的な雰囲気を醸し出している。思わず歩みを止め、空を見上げると、星々がちらちらと瞬いていた。

その瞬間、目の前に一羽の雀が飛び込んできた。小さく、愛らしいその姿は、まるで秋の使者のようだ。雀は、入内雀（いりうちすずめ）と呼ばれ、特に秋の風物詩として知られている。その姿を見た瞬間、心が和らいだ。

雀は、藁塚の周りをくるくると飛び回り、木の実や落ち葉の中をつついていた。思わず俺は、その動きに釘付けになった。「可愛いなあ。」自然と笑みがこぼれる。雀の無邪気な姿は、秋の深まりを感じさせてくれる。

そのまま、少しだけ近づいてみた。雀は警戒する様子もなく、木の実に夢中だ。小さな嘴で一つ、また一つと、実をついばむ姿に、思わず微笑む。俺も子供の頃、こうして自然と遊んでいたことを思い出し、懐かしい気持ちになった。

「君も秋を楽しんでいるのか？」そう言っても、雀はただ忙しそうに動き回る。俺は、そんな雀を見ているうちに、今の自分の生活に思いを馳せた。都会の喧騒や仕事のストレスから逃れ、自然と共に過ごす時間は、どれほど大切なものなのだろうか。

「もっと自然の中で過ごしたい。」心の中で強く思う。雀の存在が、俺にそれを気づかせてくれた。思い切って、近くの公園に足を運んでみることにした。

公園に着くと、周囲には紅葉が美しく色づいていた。赤や黄色の葉が、木々を彩り、風に揺れるたびにカサカサと音を立てる。その音は、秋の訪れを一層感じさせた。子供たちが遊ぶ姿も見受けられ、笑い声が響き渡る。

「さあ、君も遊ぼう！」そう言って、俺は思い切って落ち葉の中に飛び込んでみた。ひらひらと舞う葉が、俺の周りを取り囲む。心の中にあった重荷が、少しずつ軽くなっていくのを感じた。

しばらく遊んでいると、先ほどの雀が近くに舞い降りた。俺はその雀に微笑みかける。「君のおかげで、こうして楽しい時間を過ごせたよ。」雀は、まるで俺の気持ちを理解しているかのように、鳴いて応えてくれた。

時が経つのを忘れ、心の底からリフレッシュできた気がした。自然の中で過ごす時間は、心に余裕をもたらしてくれる。久しぶりに感じたこの感覚が、俺を再び生き生きとさせてくれる。

公園を後にする頃、太陽が西の空に沈みかけていた。柔らかな光が地面を照らし、周囲が金色に染まる。帰り道、頭の中にある思いがふと浮かんだ。「これからも、自然と向き合っていこう。」

心の中に芽生えた新しい目標に胸が高鳴る。いつか自分の家の周りに小さな庭を作り、季節ごとに移り変わる自然を楽しむことができたらいいなと思った。そして、毎年秋になるたびに、あの雀と共にこの季節を迎えられたら、どれほど素晴らしいだろう。

それが、これからの生活における俺の目標となった。雀の存在が、俺の心に小さな希望を与えてくれたのだ。感謝の気持ちでいっぱいになりながら、家路を急ぐ。秋の夜空が、俺を優しく包み込んでいた。

完


10月27日

藁　塚

霧

木の実

栗

どんぐり

秋暮る

月

紅　葉

萩

一位の実

めはじき

秋蒔き

冬　瓜

松ふぐり

萩

蓮の実

雁渡し

入内雀