季節の織り糸

夏休みの宿題

夏休みの宿題

夏休みの朝、青い空に白い雲が浮かび、鳥のさえずりが心地よい。町の小学校の裏庭にある大きな木の下に、由紀はノートと鉛筆を広げていた。夏休みの宿題を一気に片付けようと決心していたのだ。

「さて、まずは自由研究から始めようかな。」由紀は小さな声でつぶやいた。彼女の自由研究は、植物の成長を観察することに決めていた。自分の部屋の窓辺に置いた鉢植えの植物が、どのように成長するかを記録することにした。

彼女は鉢植えの植物を取り出し、その根元に小さなラベルをつけた。「ミニトマト」と書かれたラベルが、植物の成長を記録するための重要な道具だった。由紀はノートを取り出し、植物がどれくらいの大きさに成長しているのかを記録するためのページを作成した。

「8月1日。ミニトマトの苗が葉を3枚持ち、順調に育っている。」由紀はノートに書き込みながら、鉢植えの土を優しく触った。毎日の水やりと観察が、彼女の自由研究の一環となっていた。

その時、由紀の妹である美咲が、宿題を持って庭にやってきた。「お姉ちゃん、算数の宿題が終わらないよ。助けて！」

美咲は泣きながら言った。彼女の目は涙でいっぱいで、鉛筆を握る手が震えていた。由紀は優しく妹に近づき、「どうしたの、美咲？ どんな宿題なの？」と尋ねた。

「算数の問題集の一番最後のページがどうしても解けないの。」美咲はノートを広げ、問題を指さした。

由紀は問題を見て、少し考えた後、「これね、まずはこの数式を分解して考えるといいよ。例えば、分数の掛け算はまず分子と分母を分けて計算するんだよ。」と説明した。

美咲は由紀の説明にうなずき、筆を取りながら「分かった、お姉ちゃん。ありがとう！」と嬉しそうに言った。由紀は妹の手助けができて満足した。

「よし、次は読書感想文だ。」由紀は自分の宿題に戻り、図書館で借りた本を取り出した。「『ハリー・ポッターと賢者の石』」と書かれた本が、彼女の読書感想文の基となるものだった。

由紀は本のページをめくりながら、自分がどの部分に感動したかをノートにメモした。物語の冒険や友情のテーマが彼女の心に深く響いた。「ハリーと友達が困難を乗り越える姿が、とても勇気をもらえるな。」と感じながら、感想文の構成を考えていった。

昼過ぎになり、由紀はお腹が空いてきた。母親が作ったサンドイッチと冷たいジュースを取り出し、テーブルの上に広げた。「美咲も食べる？」と声をかけた。

美咲は頷きながら、由紀と一緒にサンドイッチを食べた。二人の姉妹は、お互いに宿題を手伝いながら、楽しい時間を過ごした。由紀は妹が宿題を終わらせる手助けをし、妹も由紀の研究や感想文のアイデアを聞いて楽しんでいた。

午後になり、由紀は最後の宿題に取り掛かった。「夏休みの思い出を書く」という課題だ。彼女はノートにペンを走らせ、最近の家族旅行や友達との遊びのことを書き始めた。「この夏、家族で海に行ったり、友達と公園で遊んだりして、とても楽しかったな。」と感想を書きながら、笑顔がこぼれた。

夕方が近づくと、由紀の宿題がほぼ完成していた。彼女は安心した気持ちで、鉛筆を置いた。「これで、あとは自由研究の記録をつけて、宿題は全部終わりだ。」とつぶやいた。

その晩、由紀と美咲は、宿題が終わったことを祝って母親と一緒に夕食を楽しんだ。由紀は、妹と協力しながら宿題を終えることができた喜びと、家族と過ごす幸せな時間を感じていた。

「明日からは、もっと夏休みを楽しもうね。」由紀は妹に微笑みながら言った。美咲も笑顔で頷き、「うん、遊びに行こう！」と応えた。

由紀は、宿題を終えた達成感とともに、家族と過ごす幸せな日々が続くことを願いながら、夏休みの夜を迎えた。