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僕の好きなおにぎりは一つ298円

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僕の好きなおにぎりは一つ298円

アルファポリスで小説を書き始めて、5年が経つ。

僕は、アルファポリスで書いている小説で、何とか少しでも生活ができるようになりたいと思っていた。でも、現実は甘くない。最近、気づいたことがある。それは、おにぎり一つの価格が、僕のアルファポリスでの3日分の収入に相当するということだ。

アルファポリスでの収入は、小説のPV数、評価、レビューなど、読者の反応に左右される。結局は、人気作家になれるかどうかにかかっている。僕はまだ駆け出しの作家で、ほとんど収入は得られていない。それでも、コンビニで一番安いおにぎりなら、なんとか3個買える程度の金額だ。

おにぎりの価格が298円だと知ったのは、ふとした時だった。コンビニに立ち寄り、食事を何にしようか迷っていると、いつものようにおにぎりコーナーに目が止まった。定番の鮭や梅、ツナマヨなどが並ぶ中、僕の目に留まるのはいつも決まって鮭いくらおにぎりだった。焼鮭の香ばしい匂いが食欲をそそる。大ぶりの鮭と、口の中でプチプチと弾けるいくらの食感がたまらない。コンビニ定番の、あの鮭いくらおにぎり。一つ298円。僕はその値段を見て、ふと考えた。

「これが僕の3日分の収入に相当するんだ…」

アルファポリスの管理画面を開き、売上額を確認する。いつもながら、その数字に落胆する。何時間もかけて、時には徹夜で書き上げた原稿が、おにぎり3個にも満たない金額にしかならない。その事実に、虚しさが込み上げてくる。

家計が厳しいこともあって、最近は外食も控えている。食べたいものを我慢して、おにぎりを買って帰ることが増えた。それでも、毎日おにぎりを食べていると、心の中で何度も自分に問いかける。

「このままでいいのか?」

そんな自問自答を繰り返す毎日に、疲弊の色が濃くなっていた。もっと、ちゃんとお金を稼げたらいいのに。もっと、安定した生活がしたい。でも、そんな思いを抱えながらも、やっぱり書き続けてしまうのだ。小説を書くことが、自分にとって唯一の意味のあることだから。

かつて、一度だけ、小さな文学賞を受賞したことがある。地方の小さな賞だったけれど、それでも嬉しかった。授賞式の後、編集者から「君の文章には、人の心を動かす力がある」と言われた時、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。その言葉は、僕の心に深く刻まれ、今日まで僕を支えてくれた。でも最近は、日々の生活に追われる中で、その時の記憶も薄れかけていた。

ある日のこと、いつものように鮭いくらおにぎりを手に取って、レジに向かっていた時に、一人の店員さんが声をかけてきた。

「お疲れ様です!いつもおにぎり買ってますよね。鮭が好きなんですか?」

驚いた。まさか、僕が毎回鮭いくらおにぎりを買っていることを覚えているとは思わなかった。にこやかな笑顔が印象的な、若い女性の店員さんが、少し照れくさそうに笑いながら話しかけてきた。

「毎日同じの買っているから、気になっちゃって。おにぎり、一番好きなんですか?」

僕は少し戸惑ったが、つい答えてしまった。

「うん、まあ…これが一番好きなんだ。」

「そうなんですね!それじゃあ、今日は特別にこれ、サービスでつけますね!」

店員さんは、急に何かを手に取って僕に渡してきた。それは、丁寧に包装された梅おにぎりだった。何も言わずに差し出されたおにぎりに、僕は驚き、そしてじんわりとした喜びを感じた。たかがおにぎり一つで、こんなにも心が温まるなんて、想像もしていなかった。もしかしたら、これが今の僕にとっての、かけがえのない幸せの形なのかもしれない。

店員さんは、少し照れながらもにこやかに言った。

「頑張ってくださいね!応援してます。」

「頑張ってくださいね!応援してます。」その言葉は、まるで乾いた喉に染み渡る水のように、僕の心に深く響いた。

その夜、家に帰りながらふと思った。おにぎり一つ298円。確かに、それは僕の3日分の収入と同じだ。でも、それ以上に大切なことがあるということに気づいた。お金がなくても、日々の小さな幸せや、誰かの優しさが、僕を支えてくれているのだと。

それでも、やっぱりもっとお金が欲しいと思うのは正直な気持ちだ。もっと、安定して生活できたらいいのに。でも、今はまだその途中だ。おにぎりがくれた温かさを胸に、僕はキーボードに向かう。

アルファポリスでの収入は、今日もまだおにぎり数個分かもしれない。それでも、このおにぎりを力に変えて、僕はまた書き続ける。いつか、この物語が、誰かの心に届くことを信じて。体は食べたもので作られる。今日も僕は好きで満たされていく。

今日のインセンティブは、18。

おにぎりは、16日分に遠のいていく。
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