このユーザは規約違反のため、運営により削除されました。 前科者みたい 小説家になろうを腐ったみかんのように捨てられた 雑記帳

もうわけわからん どうしたらいいの

もうわけわからん　どうしたらいいの

8歳の桜はただ画面を見つめることしかできなかった。キーボードの上に手を置きながらも、何も思い浮かばなかった。心の中で渦巻く感情が整理できず、ただただ混乱するばかりだった。思考はぐるぐると回り続け、何も手に付かないまま時間だけが過ぎていく。

「もうわけわからん…」

桜は呟いた。その声は自分でもよく聞こえるほど、低く、絞り出すようだった。人気の小説を書き上げ、書籍化申請の案内まで届いたというのに、桜の中ではその成功を喜ぶことができなかった。むしろ、その全てが重荷となり、心を締め付ける。

「どうしたらいいの？」

その問いかけは、桜自身へのものでもあったし、読者に向けたものでもあった。アルファポリスで成功したことは、確かに素晴らしいことだ。だが、彼女の心はその成功に圧倒され、次第に壊れていきそうだった。心が押し潰されそうになる感覚に、桜は耐えられなくなりつつあった。

「書きたいことが見つからない。どうしても、何も浮かんでこない…」

桜は肩をすくめ、思わず顔を手で覆った。手のひらに伝わる感覚は、冷たく、鈍い痛みを伴っていた。それでも桜はその手を離すことができなかった。何もかもが怖かった。自分の作品が大きな評価を受けるたびに、その評価を裏切ることへの恐怖が膨らんでいく。次々とやってくる期待に、桜はどう応えればいいのかわからなかった。

「もう、何もしたくない…」

桜は画面を見つめたまま、ぼんやりとそんな言葉を口にした。彼女は本来、文章を書くことが好きだったはずだ。自分の思いを形にすること、誰かに届けること、それが一番の喜びだった。でも、今はそれが怖い。書けば書くほど、自分がどんどん追い詰められていくような気がして、書くことさえできなくなっていた。

それでも、桜は書かずにはいられなかった。気持ちを整理するためには、やはり自分の思いを文字にすることが必要だった。しかし、その思いがどこへ向かうべきなのか、桜にはわからなかった。

「私は何を恐れているんだろう…？」

桜は再び自分に問いかけた。成功したことを恐れているのか、それともその先に待っている無限の期待とプレッシャーが怖いのか。分からない。ただ、どこかで、何かを失うのが怖いという気持ちが膨らんでいくばかりだった。自分が描いてきた物語が、評価され、注目されるたびに、その物語が「自分のものではなくなる」ような気がしてならなかった。

「どうして、こんなに不安なんだろう？」

桜は思わずキーボードを叩いた。文字が画面に映し出される。だが、それが意味することが、桜にはわからなかった。文字を並べても、心の中の空白が埋まることはなかった。

「どうしたらいいんだろう…」

桜は再びその問いを繰り返した。彼女はその答えを探していたが、何も見つけられなかった。頭の中で自分に語りかける声も、次第に小さくなっていった。怖くて、どうしても前に進めない自分を、桜はどこかで受け入れなければならない気がした。しかし、それができないからこそ、迷子になっている自分に苛立ちを感じていた。

桜は目を閉じ、深く息を吸った。次第にその息が落ち着き、心も少し静かになったように感じた。答えはまだ見つからないかもしれない。それでも、彼女は自分に問いかけ続けなければならないと気づいた。自分が今、何を感じ、何を恐れ、何を求めているのか。それを見つけることが、少なくとも今できる一歩だと。

「私は、どうしたいんだろう？」

その問いかけに、桜はようやく自分なりの答えを出し始めた。それは、無理に答えを見つけることではなく、時間をかけてその答えに向かって進むことだということ。

桜はもう一度画面に目を向けると、ゆっくりとキーボードを叩き始めた。