このユーザは規約違反のため、運営により削除されました。 前科者みたい 小説家になろうを腐ったみかんのように捨てられた 雑記帳

AIと心の物語

『AIと心の物語』

サクラは、机に向かいながら考え込んでいた。学校の課題として「未来の小説家」について書かなければならないのだが、どうしても頭がまとまらない。教室で聞いた先生の話がずっと引っかかっている。

「最近では、AIが書いた小説が賞を取るようになってきていますね。未来の文学はどうなるんでしょう？」

クラス中がざわついた。友達のハルカが言った言葉が耳に残っている。

「もしAIが芥川賞を受賞するようになったら、私たちの物語を書く意味ってなくなるのかな？」

サクラは首を振った。「そんなことないよ！」と、咄嗟に言い返したものの、その理由を言葉にするのは難しかった。

その夜、サクラは自分の部屋でパソコンを開き、アルファポリスにログインした。今日は新しい投稿をするつもりだったが、どうにも心がざわざわして文章が浮かばない。ふと、検索窓に「AI 小説 芥川賞」と入力してみた。

画面には、AIが書いたと言われる小説のタイトルや解説が並んだ。それらは、確かに巧妙に作られていた。人間の作家が書いたと言われても違和感がないくらいの文章だ。サクラは少し悔しさを覚えた。

「これって、本当に心がこもっているの？」

AIの作品は技術的に優れていて、論理も矛盾がなく完璧だった。でも、何かが足りないような気がした。

次の日、サクラは放課後の図書室で、担任の先生と話す機会があった。先生は本が大好きで、よく「良い文章とは何か」を話してくれる。

「先生、AIが書いた小説って、本当にすごいけど……私たちが書く意味ってあるんですか？」

先生は少し驚いた顔をしたが、すぐに柔らかく微笑んだ。

「サクラさん、確かにAIはすごいよね。けれどね、文章には『心』があるんだよ。」

「心？」

「うん。たとえばサクラさんが友達のことを思い浮かべて、その子のために書いた物語。それには、AIには真似できないサクラさんだけの気持ちがこもっているんだ。」

その言葉を聞いたとき、サクラは胸が少し軽くなった気がした。

家に帰ると、サクラはパソコンを開き、自分の物語の続きを書き始めた。

「AIには書けない物語ってなんだろう？」

サクラはそう考えながら、友達のハルカのことを思い浮かべた。ハルカはいつもサクラを応援してくれて、時にはお菓子を分けてくれる優しい子だ。でも最近、少し元気がなかった。何か悩んでいることがあるのかもしれない。

「そうだ、ハルカに元気を出してもらえるようなお話を書こう！」

サクラはキーボードを叩き始めた。物語の主人公は、少し元気を失った女の子。その子が仲間たちの力を借りて、また笑顔を取り戻す冒険を描くことにした。文章は簡単で、語彙も多くない。それでも、サクラの気持ちは物語の中にしっかりと込められていた。

数日後、ハルカはサクラに駆け寄ってきた。

「サクラちゃん！昨日の投稿、読んだよ！すごく元気をもらえた！」

ハルカの笑顔に、サクラの心も弾む。

「ほんと？よかった！」

その瞬間、サクラは気づいた。自分の書いた物語が誰かの心に届いたのだ。これこそが、AIには書けない「心のおもてなし」なのだと。

サクラはこれからも、自分だけの気持ちを物語にして書き続けると決めた。アルファポリスの世界で、そしてその先の未来でも、きっと彼女の物語は誰かの心を照らすだろう。

「AIが芥川賞を取る時代でも、私たちが書く意味はちゃんとあるんだよ。」

サクラはそう信じていた。