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寂しさの徒然に 8

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大きな蓋を開けるともくもく白い湯気が立ち上り、お好み焼きの香ばしい香りが拡がっていく。

まるで終わらない deja vu。

冷蔵庫に入っていた残り物の野菜キャベツとほうれん草に卵を混ぜただけの簡素な朝食。

焼きたてのお好み焼きをフライパンから皿に移し、だし醤油をかけて

「いただきまーす」

キャベツの甘さが口の中一杯に拡がり、チョッパーで少し細目に砕いた野菜は難なく食道を通過した。

食べる時に使ったものは大皿と箸だけなのに、流しの洗い物は、

俎板、包丁、計量カップ、チョッパーの部品が3つ、ボール、菜箸、おたま、フライ返し、フライパン。

そして、食べおわった皿と箸。

これだから、段々独り暮らしは自炊が面倒になってしまう。

まして、昨日も書いたように湯沸かし器が壊れている。

全部洗い終わるころには、手が真っ赤になりお風呂場のお湯で温めないといけないくらいに悴んでいる。

それでも、ため込まないでピカピカになっているステンレスの流しが嬉しかった。

そう、後では絶対に嘘なのだ。

押し入れから、修繕しようとビニール袋に入れていた穴の開いた靴下を取り出す。

結局、繕う事もなく溜まっていくのよね。

そして、奇妙に片方だけになった物も含めて深いため息を吐いた。

捨てられないのだ。

ときめかないのに、多分修繕しないのに……、

心も同じ状態なのだろう。

フラッシュバックするような嫌な事件もひっくるめて、いらない物を取っておく。

精神科の医者に言われた、

「そんな事は早く忘れてしまいなさい」

言われた当時は、その言葉に腹を立て

「忘れられるなら忘れたいのに、忘れられないから困っているのに……」

と、理解の無さを嘆いたが、

何度も何度も捨て去ることが必要なのだろう。

捨てやすいように分別してあるのにね。

またきっと押し入れにしまっちゃうんだろうな。

そんなどうしようもない自分の弱さを知っても、受け入れられる様になったことを祝おう。

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