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セルフネグレクトなお正月 綾乃65歳

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綾乃は、ゴミだらけの部屋で

お好み焼きを食べてる。

もう、何日、リアルで人と話をしていないのだろう。

いや、何ヶ月かもしれない。

このまま、綾乃がセルフネグレクトして

孤独死したとしても、腐乱死体になるまで

誰も綾乃の家を訪ねてくることはないであろう。

人は何のために生きているのだろうか。

東京都では、一日に孤独死で21人の人が死ぬ。

「なんとかしないと」

希望や明るさや楽しさだけしか分かち合えないのかな。

寂しさや不安はだめなのかな。

ツイッターにネガティブなことを書くと

いいねの数は激変する。

何とか少しでも、掃除をしようとするのだが、

動く元気はなかった。

11月の中旬くらいまでは、

元気に小説家になろうという投稿サイトで

小説を書いていた。

何とか子供たちに残してあげたかったからだ。

それを15年も使い続けてきた

西尾和美先生の文章で

著作権違反だとID削除されてしまった。

ヤフーのブログは12月15日で終了した。

綾乃に今残してあげられるものは

小説くらいしかなかった。

小説家になろうの運営さんにせめて

バックアップだけでもとお願いしたが

だめだと断られた。

「ごめんね」

「ほんとにごめんね」

小説家になろうで書いた小説は

160作品をこえていた。

綾乃の命の結晶であった。

子供たちがこれを読んで、

少しでもがんばって欲しいから書いたものばかりであった。

綾乃は小学生のときから、統合失調症で

幻覚幻聴がひどく、家出ばかりを繰り返していた。

子どもたちを生んでからも、

子供を置いて、何度も家を出て行った。

記憶がなくなり、解離性遁走して突然いなくなる。

子供たちは小学生のときからネグレクトされ、

何度も養護施設に入っていた。

なのに、一度も綾乃を責めたことはなかった。

そして、綾乃が寂しいとき、困ったときには

いつもそばにいてくれた。

まさか、ラジオ体操にもまったくいけず、

誰とも口をきいていない状態だとは

二人とも考えなかったのである。

そのまま、綾乃は息耐えた。

誰にも見取られることなく。

1月2日の出来事だった。

ツイッターのツイートはとまった。

どういうわけか

いつもなら気にして電話したり

スカイプしたりするのに、

二人とも状態は悪かった。

冬季うつ病のせいもあるのだろうか。


それから、一週間

1月8日、息子が綾乃のアパートに通院するのに寄った。

綾乃とは1月1日に会っていた。

はじめ、息子は綾乃が身罷ったことがわからなかった。

眠っているものだとばかり思っていた。

しかし、呼んでもゆすっても起きてこない。

氷のような冷たさに息子は驚いた。

「ママ」

「苦しまないで死ねてよかったね」

「ママ、ごめんよ」

「ママ、ありがとう」


東京都では、今日も孤独死で21人の人が

命を閉じている。


心の吐露は
誰からも👍もらえない
いくら書いても
叫んでも
ツイートの渦の中に埋もれていく
まるであの落ち葉たちのように
そうね
どろどろとした
ねたみや嫉妬や不安の詩なんて
👍したくないのよね
了解
うわっっらだけで付き合います
悲しみを押し殺し
何もなかったことにして
幸せそうに振舞います


読んで下さって、ありがとうございます。







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