不撓不屈

千の夢、千の光

千の夢、千の光

太陽が少しずつ姿を見せる頃、菜月はまだ眠りについていなかった。寝室のカーテン越しに差し込む朝の光が、部屋の隅々を照らしている。彼女の頭には、昨晩から考えていた一つの目標が浮かんでいた。

「1か月で1000ポイント…そして1000円…」と彼女は心の中で反芻する。アルファポリスの投稿インセンティブプログラムで、彼女はこれまでに何度かポイントを得てきた。しかし、1か月で1000ポイントを達成し、それによって1000円を稼ぐという目標は、これまでの彼女の挑戦とは桁違いのものであった。

「私にそんなことができるのだろうか？」菜月は自問する。これまでの経験から、ポイントを稼ぐことがいかに難しいかはよく分かっていた。特に、数千文字を費やして作り上げた作品が、思ったように評価されないことも多々あった。

しかし、彼女の心の奥底には、どうしても挑戦したいという強い意志があった。1000ポイントという具体的な目標は、単なる数字ではなく、彼女が作家としての実力を試すための一つの指標でもあったのだ。

「どうすれば、もっと多くの人に読んでもらえるのだろう？」彼女は頭を抱えた。読者の心を掴むためには、ただ良い作品を書く以上に、工夫が必要だった。魅力的なタイトル、印象的な表紙、そして読者の期待に応えるストーリー展開。それら全てを考慮する必要があった。

菜月は、パソコンの前に座り、これまで書いた作品を一つ一つ見直し始めた。自分の強みはどこにあるのか、何が読者に響いたのかを分析しようとした。しかし、過去の作品に対して批判的になりすぎてしまい、思考が堂々巡りしてしまう。

その時、彼女はふと、一人の読者からのコメントを思い出した。「あなたの物語には、私の心に響く何かがある」と書かれていたその言葉は、彼女にとって一筋の光だった。それを思い出すと、少しだけ自信が戻ってきた。

「そうだ、私には私のスタイルがある。それを信じよう」と彼女は決意した。

菜月は、その日から1か月の目標に向けて、具体的な計画を立て始めた。まずは、毎週新作を投稿し、継続的に読者を引きつけることを決めた。さらに、過去に評価の高かった作品を再編集し、新しい読者にも届くようにした。

彼女の作業は決して簡単なものではなかった。昼夜を問わず、パソコンの前に座り、アイデアを練り、文章を磨き続けた。時には、思うように進まないこともあり、何度も挫折しそうになった。

しかし、彼女はいつも心の中で、「1000ポイント…1000円…」と唱えながら、再び立ち上がった。それは、単なる金額の目標ではなく、自分自身の限界を超えるための挑戦だったのだ。

やがて、1か月が過ぎた。彼女は投稿した作品の評価を確認するため、パソコンの画面を凝視していた。指先が震え、胸が高鳴る。ついに、ポイントが表示された瞬間、彼女は目を見張った。

「1002ポイント…」彼女は思わず息を飲んだ。自分が設定した目標を、わずかに超えていたのだ。その瞬間、彼女の胸に達成感が広がった。

しかし、それ以上に彼女が感じたのは、次なる挑戦への意欲だった。1か月で1000ポイントという目標を達成したことで、彼女は自分の力を少しだけ信じることができるようになったのだ。そして、その次に何を目指すかという新たな夢が、彼女の心に芽生えた。

「次は…2000ポイントを目指そう」と彼女は小さく呟いた。アルファポリスの投稿インセンティブプログラムは、彼女にとって一つの通過点に過ぎなかった。作家としての道はまだまだ続いている。

そして、菜月は再びパソコンに向かい、新たな物語を紡ぎ始めた。彼女の心には、これまで以上に強い光が差し込んでいた。千の夢を抱いて、千の光を目指して、彼女は止まることなく進んでいった。